『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』より‐麻路さきさん
(公演プログラムより)
「-私の人生からなくすことのできない大好きな作品、大好き役-
雪組初演でエリザベートを演じると決まり、ウィーン版を観に行きましたが、宝塚ではなかった感じの、しかもこんなに歌が中心になる作品をやるんだ・・・と、いろいろな意味で想像を超えた舞台でした。観たことで演じる目標はできましたが、そこに追いつけない苦しさ、プレッシャーもあって、分量的にもあんなに舞台で歌ったことはなかったですし、日々の舞台に無我夢中で、達成感はなかったですね。宙組で再度演じたときは、周りの皆さんが新しいものに取り組む勢いをかんじる中、身体がいろいろなことを覚えすぎていて、なぞっているような感覚があり、自分で自分の首を絞めるようなプレッシャーがありました。それから14年経ち、2012年のガラ・コンサートでは、前の苦しさが嘘のように、楽しくやることができて、もう一度表現者として舞台に戻ろうと思った一つのきっかけになりました。その後演じた東宝版は宝塚版とはキーも場面も歌詞まで違い、曲数も多くてまったく新しいものとして取り組めました。
エリザベートさんについては、どこをどう取っても凄まじい人生を歩んでいて、さまざまな面から見られるから、演じるたびに追求するのですが、資料を読み、想像して演じる、演じるたびにいつも、実際はどうだったのだろう・・・という思いがあって。日によって自分の中で感じること、悩むことも違いますし、観ている方も日々違う感じ方をされるでしょうし。本当の彼女はきっと誰にもわからないのでしょうね。初演の時からいつも乗り移ってください!とセットの肖像画にお祈りしていた、その思いは今も変わりません。『エリザベート』に出会わなかったら、ミュージカルが、歌で表現していくことがこんなにも面白いと思わなかったでしょうし、演じることがこんなにも好きにならなかった。さまざまなものを教えてくれた、私の人生からなくすことのできない、大好きな大切な作品であり役ですね。」