『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』より‐花總まりさん
(公演プログラムより)
「-自分にない部分もきっちり整え、前には出せなかったものを出したい-
ヨーロッパの名門王家に死の象徴トートを登場させ、美しい旋律とロック調の曲にのせてパンチのある歌が次から次へと。ウィーンで初めて観た『エリザベート』は衝撃的でした。退団公演で挑戦できることになり、本当に嬉しかったのですが、宝塚生活最後の気分を味わうどころじゃなかった。歌の多さ、難しさに、今まで自分は何をやってきたんだろうと発声練習を一からやり直しました。エリザベートを生きつつ全て歌で表現していく作業は初めての挑戦で私の苦悩の日々となりました。終わった時には荷が下りた感じで涙すら出なかった。自分の全力を傾けた半年間でしたし、それがなかったら、退団がさみしくて、タカラジェンヌ白城あやかを全うできなかったかもしれません。2006年のガラ・コンサートに出演した際には、退団公演の時に楽しめなかった分、周りの方々との交流も楽しむことができました。
退団して20年、舞台を観る側になってお客様が何を求めて劇場に来るのか、そこにも思いを寄せられるようになりました、やっと。現役時代には触れなかった部分もきれいに整える! これが今回の課題です。以前はエリザベートが運命に翻弄されたかわいそうな人、と捉えていました。生きている限界が全く違いますが、私自身、結婚・出産、子供の成長を経てエリザベートに深く共感できる部分とそうでない所がはっきり見えてきました。それゆえ人の一生を表現することの難しさをまた痛感していますが、今の私が感じるエリザベートをどうぞ楽しんでください。そして新鮮さも忘れずに頑張ります。」