舞台『未来少年コナン』-2024年6月15日
今もなおパレスチナ・ガザ地区の子どもたちが殺され続けていて、世界をリードしてきてはずの西欧諸国は止めようとしない。イスラエルにはその様子を丘から眺めるツアーがあるそうです。ワイン飲みながら空爆されるのを楽しむんだそうです。この現実の狂った世界のことを考えつつ視聴。戦争で超磁力兵器を使ったことで地殻の大変動が起こり滅んだ世界。モノ言えなくなった弱い立場の民たちに銃を向けて恐怖で支配しようとするレプカ。暗い地下で暮す下級市民たち、食べるのはプラスチックでつくられたパンとスープ、本物が食べらるのは地上に暮らす上級市民たち、得点が上がれば上級市民になれるので得点を稼ぐために人々は必死に労働する。敵役ですが争いを繰返す人の愚かさを知り、現実にわたしたちを取り巻く狂った世界を体現しているという意味で敵役であるレプカに共感。配信だと表情が大きくぬかれているので、演じる今井朋彦さんの説得力がより半端ない。最後にコナンとレプカが対決する場面、原作アニメのギガントの巨大な空間を三角形の鏡二つを移動させてその上でコナンとレプカが動き、二人の台詞から実際にそこにはない空間を観客に想像させる、観客を信じて極度に抽象化した演出。ダンサーさんたちの動きと加藤清史郎君、今井朋彦さんの力で説得力のある場面に仕上がっていることにふるえます。2日目に観劇したときにはドライアイスがたかれていましたが客席前方にかなりただよったからか、なくなりました。レプカもコナンも落下したところから、生き延びたたコナンとラナが再会、なにもない舞台に二人が静かに登場して後ろ向きに歩き、背中合わせから再会を喜びあうまで台詞のない時間、そしてゆっくりとした動きでダイス船長とモンスリーの結婚式となり、全員が舞台に登場して大団円。最初に地殻の大変動で地球が滅んだことを表現した割れたテーブルをコナンとラナが再びくっつけてテーブルクロスをかけたのはラナのおじさんとおばさん。祝宴をあげて幕。
のはで劇場で観劇した時には感じませんでしたが『レ・ミゼラブル』なみに暗い舞台だったのだとわかりました。照明の美しさでラナの赤いワンピースとセットの植物の南国色が映えています。
2幕はじめの砂漠の場面、歩けなくなったラナをコナンが優しく膝枕しているところとラオ博士が二人を助けるところ、下手から観劇したせいか、暗いなかでちゃんとみえていなかったような気がします。ラナを二度ともさらっていったのはダイス船長だったという流れが十分にわかっていなかったような気がします。細かいところを再確認。
1幕終りのラナがコナンを助ける水中シーンはコナンもラナもダンサーが演じていますね。さすがにワイヤーでつられながら二人がやるのは無理だったでしょう。美しいコナンとラナの歌声、袖で加藤清史郎君と影山優佳ちゃんが歌っていたとのこと。声の相性もよくてラナが影山優佳ちゃんで本当によかった。カーテンコールで優佳ちゃんの清史郎君の髪に落ちたひらひらのひとかけらを載せてそれがまた落ちてしまって笑っている二人が微笑ましい。ホリプロさんに有能なプロデューサーがいらっしゃるのか。素晴らしいキャスティング。コナンとジムシーが出会う場面のトカゲのダンスがのりのり、かぶりものでここまで踊れる身体能力と表現力、素晴らしいです。
ジムシーの成河(ソンハ)さんの身体能力、表現力、歌、清史郎君と親子ぐらいちがうのに友だちとして存在しているのはさすがです。ラナのおじさんとおばさんの家でおいしそうに食事する場面に、開演前、東京芸術劇場地下のカフェでいただいたコラボメニューのパンとスープの美味しさがよみがえります。本物のパンとスープが食べられる幸せをかみしめています。このまま自公政権が続けば遠からず食べられなくなる日がやってくるという危機感をもっています。だから投票にいきましょうと思いながら視聴している配信映像。