アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

「あとに何も続かない」前奏曲

2017年05月28日 | ピアノ
すべての調が揃っている曲集として誰でも真っ先に思いつくのは、
バッハの平均律…
それとショパンの24の前奏曲。

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ですよね。ショパン以外にも、なんか全調揃った前奏曲集っていろんな人が作ってるらしいですけど。
アルカンはもちろん、スクリャービンとかカプースチンとか。あ、そんなあとのほうの時代まで行かなくても、

フンメルとかクレメンティとかツェルニーさんとか皆さん作ってるらしくて、そういやなんで前奏曲っていうと全調揃える感じになるのか、ということはこれまで深く(も浅くも)考えたことがありませんでした。


今日は、昨日のベトソナの興奮も冷めやらぬ中で、またまた濃いぃ企画で
「プレイエルの響き ~楽器から与えられるインスピレーション~」

おゆき先生の演奏、shigさんの解説、そしてudurannさんちの平行弦プレイエルという組み合わせで、熱心な観客28人ぎっしり(場所的にもう限界ぎりぎり、というよりオーバーな感じ)。

メインテーマはショパンの前奏曲ってことで、ですがその前フリの、クレメンティさんの前奏曲とか聞いて、
そうか!! だって「前奏曲」っていうんだもんね、そりゃそうだ、こういうものだったんだ。

演奏会とかで曲を弾こうとするとき、その前に弾くちょこっとした曲。

ツェルニー著 「ピアノ演奏の基礎 Op.500」によれば
「きちんと快適に椅子に腰を下ろし、足でペダルを確認し、上着の袖先を開けます。次に鍵盤上で素早い音階か演奏する曲の調整による和音の幾つかを、pかせいぜいメッツァ・ヴォーチェで、軽やかなタッチでもって、ざっと弾いてみます。それから20秒くらいしたら、曲を始めます。(略) その時が初めての楽器を弾くならば、少し長めの前奏をすることで、楽器になじみ、その打鍵と響きを確かめる必要があります。」

そして、そういう前奏の手本として、ツェルニー自身の「前奏の芸術 Op.300」をシッカリお奨めしてるんですが

(ところで作品番号で300とか500とかなんだか間違いみたいですが間違いじゃありません。ほんとに何百も作品作ってるんです)

要するに、聞く人にとってはこれから始まる調の前フリであり、
弾く人にとっては指慣らししつつ楽器に慣れるという、
それが前奏曲。前に奏でる。

だから全部の調で用意されるわけですね。クレメンティのハ長調のを弾いてくれましたがほんとにドで始まりドで終わるっていうか、わかりやすく前奏しています。

内容も、音階とか和音とか、さささっという感じで、特段の主張とか感情とかないような、ありきたりで軽いものです。

それを考えると、ショパンのってちっとも前奏曲っぽくないですね。半端な終わり方したり、変則的な伴奏系とか、ありとあらゆるバラエティーが詰まっていて、強いて前奏曲的なところをいえば…即興的? いろんな発想をスケッチしておいた、みたいな。

今日のレクチャーコンサートは、shigさんがそういうショパンの独創的なポイントを解説しつつおゆき先生が弾いていくという進行でした。
ふつうの現代ピアノで弾いてもひとつひとつ魅力ある作品ですが、
特にショパンの時代のピアノで丁寧に奏でられる前奏曲集は、ちょっとショパンの「やりたかったこと」が見えやすいように思いました。

響きの素直さとか、ペダルの効き具合とか、現代ピアノと違いますからね。
…おもしろい…

そしてショパンがこうやって、ちっとも前奏じゃない前奏曲集を作ったら、
もっと新しい人たちは続々とそんな前奏曲集を作ったんですよね。

私が今練習中のラフマも「前奏曲」ですが、ラフマはまとめて全調セットを出したわけじゃないですが結果的に全部揃ったんですね。これまたちっとも何かに続かない、軽くもなんともない…ってかめっちゃ重たかったりしてますが…ほんと、前奏曲ってなんなんでしょうね。


今日のコンサートでは、この「あとに何も続かない」前奏曲から、舟歌で〆でした。
演奏としてセットということでなく、着想として引き継がれたという意味では前フリ的なものなのかもしれませんね。
まぁ、前奏曲集が、習作というにはレベル高すぎるけどな!!

舟歌(晩年の傑作)のすごさは形容不可能です…
おゆき先生が平行弦プレイエルで弾く舟歌はともかく素晴らしいです。

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