ふみさんの日々雑感

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映画「明日への遺言」

2008-03-22 22:08:46 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
いつか見ようと思っていた。今日は予定も無いので、夫と見に行って来た。

第一次大戦からの空爆の映像。B-29から、雨のように振りまかれていく爆弾や焼夷弾。燃え盛る家、家、家・・・。そして、積み上げられた黒焦げの人達。片腕で黒焦げの小さい塊を抱いた、胸の膨らみで母親だろうと思われる黒焦げの人型・・・。モノクロの映像。

ピカソの「ゲルニカ」。燃え盛る人や家の、映像より凄まじい「東京大空襲の絵」。心をえぐってくるような、正視できないような真っ赤な炎の絵。

岡田資(たすく)元陸軍中将の法廷での戦い。

名古屋大空襲後、パラシュート降下した米兵を処刑した捕虜虐待の罪で裁かれていた。でも、岡田中将は「彼らは捕虜ではない。軍事工場など無い住宅や商業地への空爆は条約違反だ」と一貫して否定して行く。無差別に空爆し非戦闘員を多数殺した罪で処刑したと。

そして、なんとしても部下を救いたい、罪は自分一人だと、すべての責任は自分にあると、胸を張り堂々と坦々と信念の元に証言して行く。

その真摯な心は、いつかその法廷にいる日米すべての人々に感銘を与えて行く。アメリカ側からも減刑の嘆願書が出されたいう。

狭い独房の窓に、花瓶に挿した一輪のユリの花。見えない空は柔らかく青く晴れわたる。一人、背筋を伸ばして正座し、朗々と詠う姿。

青い月明かりの中を処刑場に向かう岡田中将。開かれた扉の中には上に向かう階段。その階段を一人、まるで月に向かって行く様に昇って行く。

私は涙が止まらなかった。それでなくても、花粉症で涙腺が弱っているのにまぶたがポコポコになってしまった。嗚咽が漏れそうになった。終わった後、立ち上がれなかった。明かりがついても、周りの人達も、すぐに帰ろうとはしなかった。

人の上に立つという事は、すべての責任を取るという事ではないだろうか。今を見渡してみれば、あまりにも、政治家、官僚、企業家達のお粗末さばかりが目立つ。

あの、戦争で沢山の人達が死んで行った。戦地で空襲でヒロシマ、ナガサキ、オキナワで。私達は、彼らに恥ずかしくない国を作り上げて来たのだろうか。テレビの中で頭を下げる「偉い人達」は、いったい、どんな正義と信念を持っているというのだろう。

私自身も、長く生きて来た。もう一度、自分自身も見つめ直してみよう。


コメント
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