本当に雨が酷かった。
開門を待っている時も、「早く、早く時間になって」 と思った。いつもよりも早く開場します、と言っても5分だけ。
やっと中に入って席を確保。来ないと連絡のあった人以外に席番を連絡してコンコースに出る。
仲間も半分しか来なかったが、清水サポが雨の中頑張ってるねと話しながら、穏やかに試合の開始を待つ。
都民銀行の会長さん(?)の挨拶が凄く良かった。
「FC東京は、今、あまり良い成績ではありませんが、こんな時こそ、私達サポーターが熱く応援しなければいけません。」と青赤ユニの背番号12を、私達サポーターに向ける。
そして、「勝利を目指して、ガンバロー!!」 と雨空に向かってこぶしを上げた。
この、熱い言葉に、私達ゴール裏の雰囲気が一気に変わったように思った。
そして、雨の中を選手に抱っこされてピッチに入って来た赤ちゃんを見ては、気合が入らないわけが無いと思う。
いつも私達がいるメインに近い端の方は、だいたい、座って試合を見ていることが多い。
でも、この日は違った。意外と立って応援している人達がいる。私も、90分立って歌い手拍子をし体を揺らした。
雨に濡れる前の方にも、札幌戦と違い、カッパを着て応援している人達もいる。透明のカサに赤い花が散っているカサをさした女性が、雨の中に立って応援した。気が付いたら、一番前まで行ってカサをさして楽しそうに応援していた。
私達の周りには、大人たちが立っているので、見えない子供達が座席に立って声を張り上げていた。そして、時々、カッパを着て下の方へ行ったりしていた。
何だろう、この雰囲気は、なんか楽しいのだ、面白いのだ。
ピッチで繰り広げられているプレーは、お世辞にも上手いサッカーではない。でも別の意味で面白かった。
ボールを蹴れば水しぶきが上がり、おいおい蹴り過ぎだよ、というボールがなぜか、ポトンと落ちて止まって慌てて走っていた選手がブレーキをかけて転びそうになったり、反対に、止まると思ったボールが、滑ってピッチ外に出たり、想定外のボールと選手の動きに、私達は笑ったり悲鳴を上げたり。
そして、いつの間にか、清水のサポーター達も屋根の下へ移動していた。
雨がもっと酷くなった後半、ゴール裏は本当に盛り上がった。私達の周りもほとんどの人が立ち上がって応援している。
こんなに酷い豪雨の中スタジアムへ足を運ぶ人は、本当に東京が好きな人たちなのだろう。人数が少なくても、熱い人達が集れば、熱い応援になる。
味スタが無かった頃は、ホームスタジアムには屋根が無かったので、こんな雨の日はカッパを着ていてもビショビショになった。
台風の江戸川陸上での試合で、ピッチが多数の水たまりで、ほとんど空中戦になった。アマラオだったか誰だったか忘れたがセンターラインを過ぎたあたりから、大きく蹴り上げたボールが、思いのほか伸びて、前に出ていた相手キーパーの頭の上を通り過ぎてそのままネットを揺らしして勝利した事があった。
国立での集中豪雨の時は、雷も鳴って遅れてのキックオフだった。昔のベンチシートで、雨が上から足元を滝のように流れ落ちて来ていた。バックスタンドに座っていた私達は、両足を浮かして応援していた。くるぶしまでの水が流れ落ちて行くのだ。その時は、梶山のゴールで勝ったっけ。
友達と、「何か楽しいね」
ボールも重くなり、芝生も水で重くなり、思うようにパスを操れないピッチでは、パスよりも蹴る事の方が多くなり、それこそ、体力勝負。
勝ちたいだろう選手達、でも、絶対にゴールを割らせたくない選手達。
必死にボールを追い、ビッチに倒れ込み、そんな姿に、ゴール裏は本当に応援に盛り上がった。中心部の方を見ると、全員がこぶしを振り上げて応援している。そして、外れの方の私達も。
そういえば、今年の浦和戦の、あの集中豪雨&雷で開始時間が遅れた試合でも、避難したコンコースから歌って盛り上がったっけ。
「何か、ゴール裏盛り上がったいて、楽しそうじゃない」
「東京は、こんな部活サッカーみたいな試合が好きなんじゃない」
「そうかも」と笑っちゃった。
他のサポーターはどうだったか知らないが、今年はもう終わったと思っている私には、内容よりも目の前で、豪雨の中で泥臭く必死に戦う東京の選手達のプレーに、久々に楽しんだ。
そして、この、盛り上がっているゴール裏の雰囲気は、現地にいる人しか味わえない。
帰り、友達と、「勝てなかったけど面白かったよね」
こんな日は、楽しんだもの勝ちだ。
「ホームゲームはあと一回か。早いね。今年は天皇杯は無いし、オフが長いね」と言いながら帰った。
ドロンパもビール売りのお姉さんもハロウィーン。