都市徘徊blog

徒然まちあるき日記

光福寺

2011-11-12 | 静岡県  
光福寺 本堂
所在地:静岡市清水区柏尾97  Google Map
建設年:1924〜27(大正13〜昭和2)
構造・階数:RC・2F
備考:静岡県指定文化財
Photo 2011.2.19

 清水区北西部の山裾に位置する寺院の本堂。大正末から昭和初期のこの時期に、地方都市の町外れにこのようなデザインの寺院が建設されたことにやや驚かされる。コンクリートの老朽化が心配だったが、しばらく訪れぬ間に修復が行われたようだった。不思議な柱頭デザインの4本の柱、左右に付く塔など、エキゾチックなたたずまいを見せる。一方で火灯窓、玄関の構えなどに和風の要素も持ち、なんとも言えない変わったお姿。

軒上の天女と蓮の装飾

 柱頭、屋根の隅に付く塔、中央の家紋?など奇妙なデザインが目を引く。衣服をたなびかせているのは天女だろうか。観音か阿弥陀さまにしてはちょっと艶めかしい。清水→三保の松原→羽衣の天女、なのかもしれない。この部分は漆喰なのか、以前はやや剥げていたが、修復後は風雨の直撃を避けるべくアクリルパネルが立てられている。

 玄関は両開きの木製引き戸。式台のような玄関には両サイドにも引き戸の入口がある。また、組み物もコンクリートで作られている。

 柱頭のレリーフは他で見たことがない形。窓はスチール製(現在はアルミ?)の観音開き。壁面には卍模様が並べられている。中央にはお寺の紋が掲げられ、九輪の小塔が聳える。

 本堂は総二階の立方体のような形をしている。軒はやや強い反りで、傾斜屋根が巡らされているが、基本的に屋根は陸屋根。何度見ても奇妙な姿だ。

 窓ガラス越しに堂内を拝見。1Fは石敷の土間。真っ白な空間の正面中央に須弥壇がある。導師は中央の板敷きの場所に座布団で座り、参列者は折り畳み椅子や木製の腰掛けに座って拝礼するようだ。金色の天蓋がお坊さんの座る場所より手前にあるけれど、これでよいのかしら? 天井には6灯の灯りが2基。簡素だが清浄な感じのする空間だ。

 本堂左手に外階段があり、これを上ると2Fの方も外から拝見することができる。  2Fは畳敷きの広間でこちらも壁や天井が真っ白。中央正面は位牌堂、右奥は床の間付きの和室、左手前は資料室だそうだ。2Fは式の前後に使用する控え室のような場所なのだろうか。右端は1Fからの階段。正面玄関を入ったところの頭上を階段が横切るように実はなっている。

 いろいろな部分がイレギュラーなデザインの建物だが、このお寺、なんとなく好きです。豪華ではないけれど、意外と真面目にデザインしているあたり、好感が持てる感じ。

お寺の風景と陶芸光福寺 最古級の鉄筋コンクリート造り本堂

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#寺院  #古い建物 静岡県  #近代建築  #都道府県指定文化財 
コメント
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