浜田高校吹奏楽部の歓送演奏を終えて、
浜田港を出港したにっぽん丸です。
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感激のあまり大きく手を振っているかのようです。
(紙テープは、早くもスタッフの手により回収)
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今度はボートに乗った人の姿が見えました。
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こちらに手を振ってくれていますね。
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そして、一生懸命にボートを漕いでいる様子が見受けられます。
オールを漕いで進ませるカッターボート。
遭難者の救助、緊急時の脱出、船舶間の連絡、
物資の小運搬などに使われてきました。
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オールを立てていますね。
これを「櫂立て」と呼びますが、
敬礼や万歳の意味を示す礼式なのだそうです。
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映画かドラマのワンシーンで見たことがありますが、
実際に目にするのは初めてのことで
「櫂立て」という言葉を
知ったのも後日のことでした。
良く揃っていてスゴイとは思いましたが、
それがどれほど大変なことかを
知ったのも後のことです。
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それは高校生の作文で知ったのですが、
艦長と艇指揮の下に十二人の漕ぎ手が左右に並び、
四メートル余りあるオールを持ち、
全員が一体となって漕ぐのだそうです。
このオールの重さが11㎏もあるとは驚きです。
その重いオールを垂直に立てるには相当な力が必要で、
お米を10㎏持つのも最初から諦め、割高でも2㎏、
5㎏のお米さえ購入しない私には考えられないことです。
それを十二人が息を合わせ一斉に行います。
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陸でも大変な作業を海の上で行うのです。
長くて重いオール、
バランスを崩したら大変なことです。
全身の体重をかけ、腹筋を使い、後に倒れたり、
前のめりになりながらボートを漕ぎ…
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そして、再びオールを上げて「櫂立て」
当日も素晴らしいと思いましたが、
その大変さが分かると、感動の涙です。
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力を合わせて一つのことに取り組む経験をしている彼らは、
そこから得られたものが色々とあると思いますが、
今後の社会生活にも役立つことが多々あるでしょう。
仲間を知り、信頼し、出せる力を振り絞り…
ああ、いいなぁ。
ボートに浜田水産高校の文字が見えたので、
感動した旨と写真をメールで送信してみたところ
ご丁寧な返信もいただきました。
そして、今回のマスクなしでの掲載も
快諾していただきました。
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浜田水産高校カッター部は「海の甲子園」である
全国大会にも今年出場をしています。
3回戦までは1着通過で決勝戦へと進み、
決勝は惜しくも4位ですが、敢闘賞を受賞。
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その実力の持ち主だからこそ、いとも簡単に
爽やかにやっているように見えました。
彼らの姿もボートもどんどん小さくなっていきます。
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そして、誰も見えなくなってしまいました。
外国船の日本発着クルーズでは、
船が大きいので、大きな港しか入港できず、
こうした歓送シーンは経験できませんでした。
海外クルーズでは何のイベントもなく出港となります。
まだまだクルーズの経験は浅いですが、
日本船ならではの日本人らしいおもてなしの心がこもった
感動的な歓送シーンであると思います。
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浜田港も浜田の街も良かったな、また来たいな。
そんな余韻に浸るのも好きで、
いつまでも見つめていたいと思いました。
島根県浜田市
2016.5.2
浜田水産高校の学校長様、浜田水産高校カッター部関係者様、
この度の記事掲載に関して快諾していただきありがとうございました。
来年の「海の甲子園」での優勝を心より願っております。
カッターレースにも興味が深まりました。