’07/12/22の朝刊記事から
JR列車停止 亀裂 高速化で増加
チェック態勢に甘さ
北広島市のJR千歳線でレールが破断し2時間にわたり列車が止まった事故で、線路の安全を点検する保線業務が、破断の危険度が増す冬季の方が夏季より点検の間隔が開くなど態勢に甘さがあることが21日、分かった。
車両の高速化で線路が傷みやすくなって亀裂は年々増加しているといい、保線の現場からは「レール交換の頻度を高めるべきだ」との指摘も出ていた。
JR北海道の札幌圏での大規模トラブルは14日に続き2度目。
影響人数は札幌駅発着の全列車が約5時間半にわたって止まった14日に比べると、約1割の約1万5000人だったが、今回は破断した線路の危険性を把握していた”人為ミス”の要因もあった。
保線業務は専用車両で線路を超音波検査し、表面や内部に亀裂が見つかると手作業で確認後、線路にマークを付け監視対象にする。
目視などで進行具合をチェックし、亀裂が広がれば板で補強したり、線路の一部を交換する。
同社幹部は21日の会見で「予算の制約を設けず、可能な範囲で線路の交換や補強を行ってきた」とし、今回の破断は想定外と強調した。
しかし、保線担当社員による徒歩の目視は、夏季が8日に1回なのに対し、冬季は積雪で線路の表面が見えにくくなるとの理由で16日に1回程度の間隔になる。
今回の千歳線は目視点検をしたのは13日前だった。
冬季は冷え込みで線路が縮まり破断の確率は高まる。
同社は目視の間隔を夏場より広げる代わりに、保線社員が列車に乗って体感で異常をチェックしているが、精度は目視より劣る。
同社は近年、運行時間短縮のため車両を鉄製からステンレス製にするなど軽量化し、普通列車でも最高時速130キロで走らせる。
速く軽くなると車体全体が揺れ、車輪が線路に当たりやすくなり、表面がはげて黒ずみ、亀裂の源となる「レールシェリング」ができやすくなるという。