’07/12/27の朝刊記事から
クラスター爆弾 全面禁止運動 新枠組み 前途多難
「保有大国」米ロ中不参加 日本は「対象限定」を主張
【ウィーン26日石井群也】不発弾による民間人被害が問題となっているクラスター(集束)爆弾の全面禁止運動が国際的に盛り上がっている。
国連での論議は米国やロシアなどが消極姿勢で停滞気味だが、ノルウェーなどが新たな国際論議の枠組み「オスロ・プロセス」を開始、2008年中の禁止条約策定を目指し、年明けから作業を本格化させる。
ただ、禁止対象を限定するよう求める国も少なくなく、先行きは予断を許さない。
「米国など大国が条約策定に加わらなくても、138カ国の声は無視できない」。
12月にウィーンで開かれた同プロセスの第3回会合閉幕後、参加した国際的な非政府組織(NGO)「クラスター爆弾連合」の幹部はこう強調した。
2月に49カ国で始まった同プロセスは、国連加盟国の7割が参加するまでに拡大したが、集束弾を大量に保有、製造する米ロ中の3カ国は参加していない。
もともと集束弾の禁止論議は、国連特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW、103カ国)の枠組みで始まり、日本などは「主要な生産・保有国が参加した形での合意でなければ意味がない」などとして、CCW優先の外交交渉を進めている。
こうした状況に業を煮やしたノルウェーやオーストリアなどがアフリカや中東の被害国などに呼びかけ、国連とは別枠の同プロセスを開始。
来年2月の第4回会合から禁止条約の具体的な条文策定作業に入り、08年中の署名を予定している。
しかし、日本、ドイツ、フランスなどは同プロセスに参加しながらも、民間人に被害を与える可能性が小さい「自爆装置や誘導装置付きの集束弾」は禁止対象から除外すべきだと主張、全面禁止を求めるオーストリアなどと対立している。
一方、CCWも来年1月に政府専門家会合を開き、禁止を含む交渉をようやく始めるが、ロシアなどが使用禁止を前提にした議論に難色を示しており、「08年中の条約はほぼ絶望的」(CCW外交筋)とみられている。