’07/12/24の朝刊記事から
薬害肝炎 一律救済へ
方針転換 首相が表明 今国会で議員立法
福田康夫首相は23日、薬害C型肝炎訴訟の和解協議に関し、患者全員を一律救済する法案を、議員立法で今国会に提出する考えを表明した。
与党は野党にも協力を呼び掛けた上で、今国会での成立を目指す。
原告・弁護団は「大きな一歩」と評価するとともに、国の責任がどの程度盛り込まれるのかなど、法案の内容を見極める構えだ。
原告団「大きな一歩」
感染源となった血液製剤の投与時期で救済対象を「線引き」する政府の従来方針には、与党内からも異論が出ていた。
このため首相は、薬害肝炎や年金記録問題などによる内閣支持率急落に歯止めをかける狙いもあり、方針を転換した。
首相は23日、首相官邸で記者団に「可及的速やかに法案を通してほしい」と述べ、民主党など野党側に協力を求める姿勢を強調。
議員立法にする理由を「(一律救済は)司法、行政の枠を超える」と説明し、行政の判断には限界があるため自民党総裁として決断したとの認識を示した。
また「行政の責任は免れることはできない」と国の責任を認めたが、法案に書き込むかどうかは明言しなかった。
舛添要一厚生労働相も同日「国の責任問題は今後詰める」と述べるにとどめた。
政府高官は同日、法案について「期間を区切らず、症状に応じて救済していくことになる」と述べ、血液製剤の投与時期にかかわらず、和解金を支払う方向で検討する方針を示した。
薬害肝炎訴訟
1970-90年代前半に出産や手術の際の止血用などとして、汚染された血液製剤「フィブリノゲン」などを投与されてC型肝炎に感染した患者らが、国と製薬企業に損害賠償を求めた訴訟。
2002年10月から全国5カ所で提訴し、現在の原告数は約200人。
大阪、福岡、東京、名古屋の4地裁は国と企業の責任を認めたが、今年9月の仙台地裁判決は国には責任はなかったとした。
大阪高裁が11月7日、和解を勧告、12月13日に和解骨子案を提示した。