ヴェトナム 歴史博物館 Kodak DC4800
'06/12/29の朝刊記事から
嘉手納F15訓練 分散移転2月から
日米合意 千歳含め6基地へ
米軍嘉手納基地(沖縄県)のF15戦闘機訓練などを、航空自衛隊千歳基地など自衛隊の6基地に一部分移転する問題で、日米両政府が大筋合意し、来年2月ごろから順次、分散移転を実施する見通しになったことが28日わかった。
日米関係筋が明らかにした。
日本政府は既に本年度補正予算と来年度予算に関係経費を計上。
両政府はこの本年度補正予算が成立次第、千歳を含め本年度分の訓練移転を実施する構えだ。
また来年度は6基地で、それぞれ2~3回の訓練移転に伴う日米共同訓練を実施する方針で、日米の軍事的な一体化が一段と進むことになる。
米側は当初、訓練移転は「沖縄の負担軽減」という日本側の事情による部分が大きいとして、日本側が経費を全面的に負担すべきだと主張。
一定の負担を求める日本側と綱引きが続いていたが、最終的に自衛隊との共同訓練は日米間の相互運用性が向上する利点もあると判断し、一部負担に応じることになった。
米側の対応は基地周辺住民の負担軽減より、軍の効果的な運用を重視する米側の立場をあらためて浮き彫りにした形だ。
沖縄負担減 数日間のみ
米軍嘉手納基地などから自衛隊基地への訓練移転問題は、在日米軍再編を抑止力維持に向けた態勢強化の一環と位置付ける米国と、沖縄県の負担軽減に重点を置く日本の認識に大きな落差があることを印象づけた。
嘉手納基地は年間離着陸は約7万回にも上り、事故の危険性や騒音問題が常に指摘されているため、日本側は訓練の一部移転を普天間飛行場移設などと同様の負担軽減策として関係自治体に説明してきた。
これに対し、米軍は本土の自衛隊基地より広い訓練空域を持つ嘉手納基地の方が使い勝手がいいとの立場から移転に消極的で、経費負担交渉でも「嘉手納より訓練環境が劣る本土への移転にはメリットがない」として、当初は費用負担を拒否する姿勢を崩さなかった。
訓練の一部が移転されるといっても、わずかな戦闘機が数日間嘉手納基地を離れるだけとみられ、目に見える負担軽減につながるのか、疑問符が付く。