ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

小泉元総理の「アンドレア・シェニエ」

2008年07月11日 | 政治
 書店で小泉元総理の著作(新書)をパラパラと拾い読みしていました。  弦楽器は大変くわしいようですが、立読みの為、じっくり読めていません。
ふとオペラのところを見ますと、彼が高校時代、当時世界最高とうたわれたデル・モナコとテバルディの共演によるジョルダーノ作曲「アンドレア・シェニエ」をテレビで観て、圧倒された、と書いていました。デル・モナコのドラマティックな声に夢中になられたようで、ここからオペラを聴くようになった、とありました。

でも、あのオペラをよく観ますと、テノールのシェニエが主役のようですが、真の主役はジェラールであるように思います。
何代も貴族に仕え、貴族は高慢で使用人には冷たく、情け容赦ない、やがてフランス革命の足音が迫り、彼はロベスピエールの片腕として革命を成功させる・・・でも、あれほど願った革命は暴政であり、血に飢えた大衆が狂ったように犠牲者を増やす・・・古代ローマにおけるコロッセオでの出来事のように。

やがて詩人シェニエが祖国を想う意見を堂々と述べるのに、革命裁判の場で、シェニエを弁護してしまう・・・労働者階級の出身であるジェラール、貴族の出身だが高邁な思想に燃える詩人シェニエ、「フランスは祖国の詩人を殺してはなりません。ここにあるのは憎悪です。」と民衆を説得するジェラール、小泉さんは高校生だった・・・この場をどうご覧になったのか、興味があります。

ここがこのオペラの醍醐味ではなかったのでしょうか。
今なおある大衆を巻き込んだ独裁政治、スターリンが、ヒトラーが、毛沢東が、「ロベスピエール」でした。「革命」に名を借りた暴政、荒れる大衆、こわい構図です。

小泉さんは、このオペラからオペラの素晴らしさを知った、といわれますが、それはデル・モナコの恐るべき声量であり、女丈夫テバルディの美声だけだったのでしょうか。
高校生の時はわからなくても、このライヴのDVDまで購入し観ていらっしゃる今、もっとお感じになることはなかったのでしょうか。
コメント (2)
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