★ 昨年、12月に京都で開催された『国際経済フォーラム』(国際会議場)が本になりました。
私も買って読み、思い出しています。その時の講師のひとり、柴山佳太先生がその時のことをメルマガで書かれています。
From 柴山桂太@滋賀大学准教授
昨年12月に行われた、京都国際シンポジウムの記録が本になりました。
「グローバリズムが世界を滅ぼす」(文春新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/4166609742
http://honto.jp/netstore/pd-book_26207450.html
びっくりするようなタイトルですが、中味はいたってまじめです。
収録されているのは、シンポジウムにおける各氏(トッド、チャン、藤井、中野、柴山)の報告の要旨と、翌日に同じメンバーで行われた座談会の記録、そして別日に行われたトッド・中野対談(司会は堀茂樹先生)の記録の三本です。
このうち、強く印象に残ったのは座談会でしょうか。字数の関係で活字になった部分は少ないのですが、実際には昼前から夕方遅くまで、ずっと議論が続きました。途中の休憩を除いても、5~6時間は話したのではないかと思います。
座談会後は遅くまで楽しい宴が続き、そこでもう少し踏み込んだ会話がなされたりと、今思い返しても忘れがたい一日となったわけです。
活字にならなかった部分を書くのは控えますが、活字となった部分だけを見ても、たとえばチャン氏の「アメリカが実は世界でもっとも強力な産業政策を行っている」という発言や、トッド氏の「20世紀初頭までのグローバリゼーションの時代と今日が著しく異なると思うのは、教育の効果です」という発言など、実に興味深いものがあります。
両氏とも、国際的に見れば日本はうまく行っているという趣旨のことを繰り返し述べていたのが印象的でした。
特にトッド氏はアベノミクスをずいぶん評価しており、本書でもアベノミクスは「国際的に見れば左派的な政策だ」と述べています。
これは、特に拡張的な金融・財政政策を念頭に置いての発言です。
国民の連帯を強めるから、というのがその理由です。
ここからも明らかなように、右派/左派の区別は再定義が必要です。
国民の連帯、という言葉のうち「国民」の方に力点をおけば右派的に、「連帯」の方に力点をおけば左派的になりますが、どちらにせよ同じコインの裏表です。共通の敵は、国民の連帯をばらばらにしかねない政策やイデオロギーです。
この点、アベノミクスの第一、第二の矢は国民の連帯を強めうる方向に、第三の矢はそれを壊しかねない方向に向かっています。
ユーロの場合は、通貨主権を放棄してしまったために機動的な金融・財政政策がとれないわけですから、国民の連帯を維持するのが難しい。
議論を単純化しすぎかもしれませんが、今の日欧が抱えている問題をそのように理解することができると思います。
アメリカについては、見方が微妙に分かれたりしたのですが、詳しくは本書でご確認いただくとしましょう。
私にとっては、グローバリゼーションの今後を考える上で、人口動態に注目すべきだというトッド氏の指摘は得心のいくものでした。
たとえばトッド氏は、高齢化が進むと、人々は現状を大きく変えようとはしなくなるので、社会的な分断(たとえば所得格差)を放置しがちになる、という仮説を出しています。今の先進国で格差是正の動きが生じにくい理由も、ここにあるのではないかと。
逆に、人口構成の上で若者の比率が大きい国では、現状に対する不満が社会変革につながりやすいということで、新興国の抱える政治リスクもこうした人口学的な視点から説明できるでしょう。
またトッド氏は、教育水準の上昇が一方で「ナルシズム的自己」を生み出すと同時に、他方で教育格差が潜在的な不平等の意識を強めるとも発言しています。このあたりは、もう少し時間をかけて考えてみたい問題ですが、教育水準の向上が社会統合を強めるのではなく、弱める可能性があるという指摘は重要です。
などと重々しいことを書きましたが、実際のシンポジウムや座談会で行われた会話はもっと軽妙で、話があちこちに飛びながら話題と笑いが次第に広がっていくというものでした。
特に中野さんのジョークは冴え渡っていて、何度も笑いをとっていました。(氏のジョークは国際競争力があるようです。)
そういえばシンポジウムの語源は、酒宴とか一緒に酒を飲む、という意味だそうで、酒精の力を借りて話を政治経済から文化まで、重々しいものから軽いものまで、自在に広げていくというイメージなのでしょう。その意味でのシンポジウムは別に知識人の専売特許ではありません。
日本の各地で宴が開かれて、楽しくもまじめな議論があちこちで花開くとしたら、連日の暗いニュースも吹き飛ぶというものです。
本書もまたそうしたシンポジウムの産物です。読後に明るい気分になるかと言えばならないと思いますが、暗い話題を語るなかにも軽妙の精神が息づいると感じ取ってもらえるとしたら、参加者の一人としてうれしく思います。(以上、柴山佳太先生)
★ あの日は自然豊かな京都の国際会議場で、朝から夜までずっとでした。
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/bgc/
(・・・これはその時の「お知らせ」で、これを見て参加を申し込みました。)
メモをするにも疲れ果てて断念し、講師の方々のお話を聴くことに専念、藤井聡先生が中心になってお世話されていました。
それがこの本一冊になっていることを思えば、メモなどとんでもないことでしょう。
この時のことは当ブログに書いています。
http://blog.goo.ne.jp/bellavoce3594/e/5884f0faafd39080e07a0c6467b95fe6
http://blog.goo.ne.jp/bellavoce3594/e/bb03c98e99f2be9b35faee4557186092
★ あの時の講師の先生方のお話が動画になっているのを発見!!
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/bgc/presentation/index.html
・・・ここをクリックして各先生方の講演をお聴きください。下記にもyoutubeを貼り付けています。トッド先生の日本語訳がないので残念。
藤井聡先生の開会の挨拶と講演
国際シンポジウム「グローバル資本主義を超えて」:藤井聡(京都大学大学院教授・京都大学レジリエンス研究ユニット長・内閣官房参与):「トータリズム(全体主義)としてのグローバリズム」
国際シンポジウム「グローバル資本主義を超えて」:ハジュン・チャン(経済学者):「新自由主義の失敗と資本主義の未来」
国際シンポジウム「グローバル資本主義を超えて」:柴山桂太(滋賀大学経済学部准教授):「歴史は繰り返す?第二次グローバル化の未来」
エマニュエル・トッド氏(日本語訳を製作中)
International symposium "Beyond Global Capitalism", Emmanuel Todd
国際シンポジウム「グローバル資本主義を超えて」:中野剛志(評論家・元京都大学大学院准教授):「新自由主義と保守主義」
お金は「男」「女」?
MBAという資格(?)が台頭し始めてから酷くなってきました。経済学修士でしたっけね。
こいつらがあくどいビジネスモデルばかりやり始めてから、米国の衰退が始まった気がします。昔はガッツある白人のおっさんたち、トニー・マラーノ氏みたいな人が大勢いて製造業で頑張ってたんですがね。なんせ、せこい小ズルイ金目当てのやつばかりがもてはやされ・・・
日本の会社も短期収益しかみなくなったか、いつぞやコマツは、売り上げ危機時になりふり構わず子会社という子会社をすべて売り払ってしまいましたね。これにより、人材(人財)があっというまにいなくなり、いま社内は支那人だらけとか・・・衰退も間近かも。
ヒトラーは、ナイツテンプラーという借金しても金利をつけない仕組みの金融を押してたが、対する連合軍はイルミナティで親子でも金を貸したら利子を取るという仕組み。今もアラブ系金融は、金利や利子は取りませんし、銀行は投資先しか教えませんね。
利子を生むと考えるユダヤにとって、お金は「女」ですね。
資本主義が瓦解するとしたら、金利制度からかも・・・
今は賭けごとに近い要素があり、しかも投資することは「自己責任」です。
勝負は時の運、だったのですが、あくどいことをして
これでは将来の発展はありません。
いわゆる「叩き上げ」の職人・商人がいなくなり、
生産業は衰退し、人々はチームワークもなく
バラバラになります。
「資本主義が瓦解したら金利主義かも」と仰るその言葉、真実でしょう。
人類の文化や常識が衰退です。
「勝ち組負け組」という品のない言葉が一時流行しましたが、勝ち負けって何でしょうね。
日本人は質実剛健に暮し、軽薄な考えに乗らないだけの賢さを持つべきと思います。
このごろ北朝鮮との交渉も不信感を持ちます。
有難いですよね。
本当にメモを取るのも
途中から疲れちゃいました♪
でもとても興味深く、勉強にもなり
そしてランチがまた、よかったですよね・・・・!
通訳はちょっと
聞きづらいところもあったけどね
~。
また、読んでみたいと思います。
いるのでうれしかったです。
メモも追いつかず、トッド先生のフランス語の通訳は
咳払いしか聞き取れず、みなさん困っていましたね。
トッド先生の仰ることを今更ながら、出会う気持ちです。
ランチタイムもごちそうでした。
贅沢なお料理でした。これでランチ込みで2千円なんて、
あとで調べたらあのお料理はかなり高かったようです。
前日が西田昌司先生の講演会で京都には
国際会議場のロッジに一泊しました。
広くてきれいで6千円、でも食堂のないところで
山の中というか、講演会が終わってから帰るのが
怖かったです。
朝から道に迷うし、でもきれいな景色、澄みきった山の
空気、田舎にきたと思いました。
なつかしい本です。
藤井先生、この会のために奔走されていたのですね。