井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

「もののけ姫」に息づく『日本精神』

2020-07-14 22:12:16 | 映画
基本的に、恐い映画やドラマはダメなのだ。ウルトラマンは言うに及ばず、「マグマ大使」もゴアと人間もどきが恐くて数分で見るのを止めた。

同様に、ジブリ映画のほとんどが恐くて、まともに見ていない。
恐くない「となりのトトロ」は、まともに見れたけど、今度は何が面白いのかわからなかった。

20年ちょっと前になるが、編曲する資料として「もののけ姫」のビデオを渡された。あっという間に恐いものが出てきたので、画面は見ずに音だけ聞いていた。音楽がないところは跳ばして。

そんな見方だから、筋がわかる訳がない。

しかし、数々の金字塔を打ち立てた「名画」だから、いつか見た方が良いのかも、と思い続けて20数年、ついにその機会がやってきた。

始まって十分ちょっとしたら、もう泣いていた。断っておくが、恐いからではなく「感動で」である。

その後も数回は泣いてしまった。

何に泣いたか。

一言で言えば「大和魂」「武士道精神」に泣いた。

20世紀末に公開された映画だが、当時観るのと、今観るのでは、意味合いがかなり変わるのではないだろうか。

当時、日本の状況は全く良くなかったが、今はもっと悪くなっている。

今は、リアルもののけ国がお隣にいくつも出来てしまった。

映画「もののけ姫」には、根っからの悪人は出てこない。立場上、戦わざるを得ず戦っている。そして、いわゆる武士道精神に則って正々堂々と戦っている。ここに涙してしまった。

リアルもののけ国は、全く正々堂々の正反対!
勝つためなら騙しても裏切っても良い。卑怯という概念がない。

おまけに、我が国の政治家にもリアルもののけ国に忠誠を誓っている人がたくさんいる。

この汚れきった我が国の状況だけを見ていると絶望的になる。

が、

その中で観る「もののけ姫」は、ものすごい希望を見せてくれた。

この映画には、根底に『日本精神』が横たわっている。その上に組み立てられたソフトパワーは、実はものすごく強いはずだ。

この映画を見た人は、無意識に「正々堂々と戦う」ことが美しい、と思うだろう。

それこそが、私が今、一番主張したいことであり、全世界で共有してほしい価値観である。
これを、ヒステリックに叫ぶのでなく、映画を通して主張してくれていたことに、私は感激して泣いてしまったのだ。

これからは、会う人会う人に「もののけ姫を観ましょう」と言ってさるこう。
(「さるく」は「歩く」の意)