「小学生が弾く曲」をイグラーユさんが紹介した途端に,アクセス数が普段の10倍以上に跳ね上がった。相変わらず「ビバ!~」の影響力はすごい。
しかし,あれでおしまいではない。それを基に井財野としてはどう考えるか,というのが続くのである。幸いにして,何もせずボーっとしている時間を与えられたので,考えるのにちょうど良い時間になった。
かねてから思っていた。書道,珠算や柔・剣道,囲碁,将棋の「段」のようなものがヴァイオリンにもあれば良いのに・・・ということ。柔道の段位は,学習者の励みになるために,囲碁将棋か何かを参考に嘉納治五郎が考えたと言われている。20年くらい前には,英語道を考えた人もいたなぁ。
勝手に考える分には自由なのだから,勝手に考えてみたいと思う。せっかくの「梅鶯林」という鈴木先生の造語をここに活かして「梅鶯林道」。梅鶯凛道の方がきれいかもしれないけれど,やはりここは鈴木翁に敬意を表しておこう。
【5級】
ここから始まることにする。第1ポジションに習熟する段階である。
【4級】〔白い本,第3巻の途中まで〕<鈴木3,4巻相当>
初心者が最初に超えなければならない関門「シフティング」(ポジション移動)をクリアしてからの段階である。
まず,第3ポジションまで習熟する必要がある。
(ガラミアンの音階を応用すれば,第3ポジションまでの音階練習を導入できる。)
筆者としては,この段階で右手首の練習を導入することをお勧めする。使用するのはシェフチーク(セヴシック)作品1-1の11番。
代表的なレパートリーは,
・ヴィヴァルディ:協奏曲 イ短調 作品3-6
【3級】〔白い本,第3巻の後半から第4巻程度〕<鈴木5,6巻相当>
第5ポジションまでの習熟段階で,重音も少しずつ導入される。
2オクターヴの音階(小野アンナ等)も必要。
筆者としては,この段階でトリルの練習を導入することをお勧めする。使用するのはクロイツェル42の練習曲の15番(から22番)。
ちなみに「クロイツェル」,筆者は子供の頃,1番を除いて最初から順番にやったし,今でも生徒さんにはそうさせているが,今回学習段階を整理して思うのは,必ずしも全部を順番に弾く必要はない,ということ。シェフチークやスケールで代用できるものもあるし,クロイツェルに特徴的なのは,このトリルと4番のルーレ(スラー・スタッカート,スタッカート・ア・ラ・コルダ)で,極論すれば,それ以外はやらなくても良いし,逆に,トリルとルーレはぜひやるべきだ。
その代わり,という訳ではないが,「手のヴィブラート」と「指弓」の訓練は,この段階で行いたい。
代表的なレパートリーは,
・アッコーライ:協奏曲
・エックレス:ソナタ
・ヘンデル:ソナタ第3番,4番,2番
・バッハ:協奏曲第1番 イ短調
(SJリスト共に,第1番と第2番は同レヴェルにしているが,両曲において重音の扱い方がかなり違うので,井財野版はグレードを分けることとする。)
・ドルドラ:思い出
・マスネ:タイスの瞑想曲
また,跳ねる弓にも慣れる必要が生じてくるため,お勧めの曲。
・ダンクラ:エア・バリエ第2番
少しだけリコシェが出てくる。
私もビバさんから飛んできた口です。
ヴァイオリンのグレード、面白い発想ですね。
ただ、曲をこなしても、正しい運弓方法(飛ばすとか跳ねるとか)が出来たかとなると、非常に自信が持てません。グレード審査する先生の一定の見解も必要になってきますね。
実現可能かどうかはさておき、この先の展開が非常に楽しみです!
おっしゃる通り,曲をこなしてできるようになる,というものではありません。
後々本編で説明するつもりではありますが,指導する側に一定の見解がないと,あまり意味がないと思います。
私自身はシェフチークを何年もさせて,スピッカートができる方法をとってきたのですが,これはやる側もやらせる側もなかなか辛いです。
それで,様々な曲を練習曲としてやる方法を考えてみたのでした。
あと3つ先の記事にする予定です。お待ち下さい。