その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

吉原 珠央『自分のことは話すな 仕事と人間関係を劇的によくする技術』 (幻冬舎新書、2019)

2021-01-16 07:30:26 | 

お正月の読書3冊目。よく妻から注意されていることがそのままタイトルになっていたので、つい衝動買い。いわゆる典型的なノウハウ本なのだが、前半部分は思い当たることも多く、気づきになった。3章構成だが、第2章以降は(私には)冗長かつ内容も薄かったので流し読み。

エッセンスはまえがきでほぼカバーされている。要は、「雑談」「余計な話」は相手にとっても時間の無駄。表面的に感じよく振舞うことができても、仕事の結果は出ない。自分のことや自己満足だけの話しのネタは話さないほうが、会話の行方も相手への印象も圧倒的に良くなっていく。一歩踏み込んだ深みのある会話にチャレンジしよう。ということだ。お客様やビジネスパートナーとの会話で、沈黙の時間が耐え難い私は、無理にでも話すように汗をかいているわけだが、どうもアプローチが違っていたようだ。

幾つか抜粋する。自分のことばかり話す人は、自分にとって都合よく状況を決めつけがちなので、そうならないよう一歩離れて、自分と相手とを観察しながら振り返って欲しい(p24)。どうでもよい雑談に相手を突き合わせる人は、むしろ「話がかるい人」「内容が浅い人」などの印象を相手に与えてしまう。雑談と言う甘えを捨てて、話すべきことを話す時間を、あなた自身で作り出していくべき(p39)。

更なる、なるほどもあった。お客様が求めているのは、「雑談」ではなく、「自分を大事に思って接してくれている」「自分にとって必要な提案をしてくれている」という2つの実感(p45)。「好かれる人」ではなく、あなたが相手にとって絶対的に必要だと思わせるほどの「少し緊張させる人」(人に刺激を与えて、目標を達成させることができる人、心が強いと思わせる人、トラブルに動じない人、「次のステップは?」と言える人、「あなたと食事がしたい」と1対1で誘える人など)を目指すべき(p71−77)。

読んではないが「雑談力」という本も巷には出回っているので、それに対するアンチテーゼの意味合いもあるのかもしれない。プライベートな会話では雑談こそが楽しみであり、悦びなのだが、ことビジネスシーンにおいては気を付けなくてはいけないという、当たり前と言えば当たり前のことに気づかせてくれた一冊だった。まえがきと第1章だけで良いので、読む価値ある。

コメント
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