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O

2020-03-18 | 小川洋子

 

小川洋子
『猫を抱いて象と泳ぐ』★★★

 

過去題名に惹かれ冒頭だけ読みそのままになっていた本
この題名だけでセンスが分かると言うもの。
ちょっとした御伽噺

 

チェス
そこから浮かぶのは『鏡の国のアリス』
あと相棒の右京さん(笑)

 

主人公は伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒン
そのひそやかな奇跡を描き尽くした、せつない長篇小説

読み進めている内にこのお話はどう着地するのか、
ハラハラと言うか何というか、一つの希望を願わずにはいられなかった。

どうかチェスの神様!

 

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祖父が描いてくれたばかりのチェス盤を少年はもう一度目でなぞった。慎重に真っ直ぐ定規の上を滑っていった、筆の動きを思い出した。電球を消したあともそれはなかなか目蓋から消えなかった。升目は暗闇に包まれ、チェス盤の海はますますその深みを増し、少年は一人、途方もなく広大な深海の底に取り残された。
「チェス盤の中にいれば、飛行機なんて乗るよりずっとずっと遠いところまで旅ができるよ」
目をつぶったまま、少年はそうミイラに語りかけた。

 

 

 


「いいや。運は無関係だ。運がよかったと思える試合でも、それは天から偶然降ってきたのではなく、本人が自分の力で導き出したものだ。チェス盤には、駒に触れる人間の人格すべてが現れ出る」
宣誓文を読み上げるようなかしこまった口調で、マスターは言った。
「哲学も情緒も教養も品性も自我も欲望も記憶も未来も、とにかくすべてだ。隠し立てはできない。チェスは、人間とは何かを暗示する鏡なんだ」

 

 

 

 

「ええ、チェス盤の海は果てしがありませんからね。心行くまで身を任せればいいんです」
チェスの海に、身を任せなさいとかつて教えてくれたのはあなたなんですよ、という言葉をまた彼は唇の奥だけにそっと忍ばせた。

 

 


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同時進行読書でも、その順番は特に決めずランダム

と、今回は4冊を順番通りに読んでみた。

まず渋いぜ渡辺先生の『男と女』
次に続々長丁場『アンナ・カレーニナ㊦』
そしてこちら『猫を抱いて象と泳ぐ』
最後に江國香織『金米糖の降るところ』
男女の関係を解く濃密さにうなり、
毎度のロシアの激情に触れ、
研ぎ澄まされた独特のチェスの世界に誘われ、
そして現実に戻りグレーな恋愛話にホッとする。

 

 

 

コロナコロナコロナ
うちみたいな中小だとまだテスト段階な在宅
大手は当たり前に在宅、そして外出自粛令が出ているのにね。


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