今日は私の建国記念日!
あの当時…記念日好きだった私が、一人暮らしを始めた日。
住む家はそのず~っと前に契約を終え、家賃を払い、徐々に家電製品も揃え、終わっていた。
後は身の回りのものを残すばかりのところで、なかなか引っ越しできない。
父も弟も車を出してくれないのだ。さんざん頼んでも、二人は動いてくれなかった。
私の場合このまま実家にいてはいつまでたっても甘えてしまう…自立しよう。
自分で生活できることが自信に繋がるのではないか…
そんな期待を込めて決意した一人暮らしである。
にもかかわらず、私自身も家を出る勢い(きっかけ)をつかめずにいた。
仕方がない。引っ越し目標日を建国記念日に定めた。
実家暮らしの期限と定めたその夜、私は何かにつけて家族にいちゃもんをつけた。
「ずっと前からさんざんゆってるのに、ちょっとぐらい車出してくれてもいいやんか!」
親子喧嘩の勢いをかりて、家を飛び出した。
自転車につめるだけの荷物を積み、ふらふら新しい家にむかった。
新居での初めての夜、今まで気にかけなかった音が気になり、なかなか寝付けなかった。
風の音、冷蔵庫の音…。部屋もなかなかあたたまらない。寒かった。
翌朝、実家を訪ねた。
父が「…よく、眠れたか?」とそっぽを向いたままつぶやくので「…うん」と答えた。
台所で母が「あんたに家から出て行ってほしくないから、お父さん車ださへんかってんで~」と
真っ向からいうので、私は「…うん」とそっぽ向き、冷蔵庫の中を物色した。
しばらくは朝起きて、あらぬ方向に向かって歩く自分に笑えなかった。
おトイレも、洗面所も…実の家とは違う場所にある。
体に染みついた生活習慣歩数が心地よく、新しい家に馴染むのに時間がかかった。
一人暮らしをして、ポンとはでてくるはずもないご飯ができるまでを思い知った。
人気のない家の寒さを知った。安心して眠れていたことを知った。
なんと水に垢があることを知って、母が磨いていてくれていた私の知らない時間を知った。
あの日の父の言葉をきけて…
照れずにちょっとしたことでも家族に「ありがとう」といえるようになって…
一人暮らしを経験してよかった…と思う?
母の見つけてきた私の城は、左手は祖母の知り合い、右手は母の知り合いが住む
という偶然に見守られ、実家から徒歩3分、家族全員合い鍵を持っていた…
お家騒動虚しく、恥ずかしながら、まだ私の独立記念日なるものは、ない。
※この話は2/11付、劇団カプチーノHP掲示板に公開していたものです。
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