眼鏡、踏む。 車、あたる。
踏んだり蹴ったりの何かと凹む日々を乗り越え、久しぶりにここに帰って参りました。
携帯電話に保存した一枚の写真を眺める。
息子と二人、伊吹山に登った時にお見かけした見ず知らずの老夫婦を写した写真。
奥様は少しお足が悪いのか、旦那様が二人分の荷物を持ち、奥様が肩の高さに差し出した手を
旦那様が下から支えながら下山している様子が写っている。
手を繋ぐ時、奥様が手の甲を上に肩の高さに差し出す様がなんとも上品で・・・
普段写真など撮らない私がどうしてもこの光景を写真に収めたくなり、
カメラがないのでやむをえず携帯で写したというもの。
私のつたない文章ではお二人が醸し出す仲睦まじさまでお伝えできない。
こんな時、一枚の絵(写真)のすばらしさを思わずにはいられない。
追 伸
この話を書き終え、過去にも似たようなことがあったようなと検索してみると、
第13話 人文字 という作品で、梅田の地下街で見た老夫婦の後ろ姿について話を書いている。
検索するのも大変だと思うので、この下に第13話も載せておく。
470話と13話、私はこのような光景に弱いらしい。(昔の文体は今より口語体だったなと)
第13話 人文字
梅田第4ビルの地下街を歩いていた時のこと。
5メートルほど先を行く老夫婦の後ろ姿に、驚愕!
何?どっちが?え?どうなってるの?…すごい。
老夫婦は手をつなぎ、どんなに凝視しても、どちらがどちらに寄りかかっているのかわからないくらい
ほどよくお互いを支え合って歩いていた…まさにその後ろ姿は「 人 」という字!
こ、これはっ…金八先生~!!
感動した。
この美しさを残したい。
あの当時、カメラなど持ち歩いていなかった私はその光景を目に焼き付け、角を曲がった。
カメラ付携帯などまだ存在しなかった、私、18の時の出来事。
歳をとることも悪くないな…と微笑んで、初めて老いることを肯定した記憶がある。
それから数年後、トラン・アン・ユン監督(映画)の言葉を知る。
「男女の間でも、西洋はぶつかり合う、東洋は、長い間にお互いをしみ込ませるようにしてゆく」
私があの時、圧倒されたのは、「人」という一文字に二人の経てきた時の長さを感じたからであろう。
今までどんなことがあったのか…知るよしもないが、
様々な出来事を乗り越え、共に過ごした時の重みを、二つの背中は静かに物語っていた。
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