ゴーストディレクター

2006年09月14日 23時12分15秒 | 回想録・「解体心書」

私は「まともに芝居を板の上に揚げられない。」演出家。
演劇業界(用語)にスカスカのスポンジ状態の私は、その言葉を全身で受け止め、
そうか~舞台のことを板といもいうのか…へぇ~と、ダメージと共に記憶。
客演者同士で交わされる会話は虫食い問題。私にはキーワードがブランクなのだ。
緊迫した空気の中で、どうやらシャク?の話し合い。しばらく固唾を飲んで見守る。
前後の文脈から、シャクって尺?…尺って…ああ、台詞をいうのにかかる時間か!
わかった時には、時すでに遅し。
話し合いの焦点からもみんなのいる位置からもズレている。
演出として先導できず、逆にみんなを後ろから追いかける。
音響のこと、照明のこと、後から後から…私は何も知らない…演出以前の問題である。
自身で招いた演出不在の事態。
では、誰が?
みんなが、いた。アドバイザー、客演者、スタッフの方々…
本来なら、お互いの領域を侵し合うことはない。演出の権限は絶大だ。
力のあるポジションだけに、力のない私には荷が重すぎた。
責任をとれない私を見かねて、領分を越えてきてくれたのである。
私、一人の劇団です。なんて厚顔無恥な思い上がりだろう…
ひとりでは何も生めない。一人ではいきれない。私、独りじゃなかったんだ…
透明人間の心に沁みた。
みんな、私と共にいてくれた。この支えがあったからこそ、旗、揚げられた。
ありがとうございました。

公演後、小屋の方へご挨拶、「私、主宰としてはどうでしょうかね…」とつぶやくと、
笑って「大丈夫!上がしっかりしていないところは、下(劇団員)がしっかりするから!」
なんだか、嬉しかった。
これでも、それでも、やっていけそうな気がして…
私も笑って「そうですよね!」と答えた。

※知らないと堂々といってのける甘さが…甘すぎる。


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