若人が旅に出ると、なんの役に立つのかとか、将来どのような利益があるのか。
と言う人がある。
私も60過ぎた今、どのように役に立ったのだろうかと考えると、明快な返事は出来
ない。
若くても、そうでなくても、旅に出ると必ずいろんな人のお世話になってしまう。
優しく親切な人に、たくさん出会ってしまう。
そして、いっぱいいっぱい感謝することになる。
こういう体験は、いろんな方法で出来ると思うが、旅に出て遠く離れた土地で、心細い
ときにあじわう感謝の気持ちは、貴重な物だ。
一生の宝物を手に入れたと言える。
私は、この写真を40年以上見てきた。その度に知床の漁師さんの倉庫に泊めてもら
ったことや、警察の護送車に泊めてもらったことや、相棒のこと、愛車のことを思い出
す。
もちろん熊君の爪の感触もね。
そして今、「役に立つか?」なんてやぼな質問をしない年寄りになっている。