そのSが数日前旦那を連れてやってきた。私は家にいたけど交渉先がおばあちゃ
んだと思っているようなので、出ては行かなかった。おばあちゃんは契約書は
おとうさんのいる時にと言って、連絡先を聞いておいた。自宅と旦那の携帯電話だ
その時の旦那の口ぶりでは「自宅にかけても家にいない」という。どこかほかにも
たんぼを借りているのか?噂ではあちこちで借りては うちのたんぼみたいにして
結局はもうやめてくれ・・らしい。そりゃそうだ、いま休耕田になってしまってい
るたんぼは おじいちゃん世代のお年寄りが 機械が発達するまえには牛やら自分
の手で作り上げてきたたんぼなのだ。それを「たんぼを作りたい」という若い世代
の人が訪ねてきたら それを喜び少しでも今までの知恵を伝授してあげよう・・と
生きる力(オーバーか)にもなるのだ。それをだ、このSはとんでもないやり方で
不信感をよくもまぁ たんぼに植えつけるようにばらまいたのだ。私は怒り心頭な
のだが、契約書も交わしてないしこんなの「打ち切りじゃー!」と叫びたい。
写真を見てわかるとおり、一度も水を張られたことのないたんぼだ。水はと言え
ば天からの恵みの雨だけ・・。当然蒔かれたモミは育っていない。育つ前にたんぼ
に来ないから、スズメや野鳥が敷きワラに潜りこんでつついていたもん。そのこと
をおばあちゃんがSに言ったところ「へぇ~」と言っただけとか・・・。
田舎の人間をバカにしとんかぁ~と言いたい。これも噂だけどこんな状態の人だ
からいろいろとパートとかに就いても 続かないというのだ。
たしかに、Sの種モミから育てる農法は遠い昔にあったそうだ。しかし今の時代
それをやるなら後々まで管理せなあかんでしょ。どうやら今年は作らないらしい感
じだ。そうなるとこのまま放っとかれても困る。たんぼの上は花を作って高収入を
得ている花農家、道のむこうは広く水田にしている別の兼業農家。カミには専業農
家のたんぼがある。草を茂らせ、病虫害が発生したらえらいこっちゃです。農家は
共存共栄のところがあって、今回もSがたんぼを借りたことで、おばあちゃんは
カミの農家に「今度たんぼを作ってくれる人ができたから、何かと頼みます」と
頼んだし、道むこうの兼業農家にも水を使うことをお願いしたのだ。水も奥の川か
ら取水して三軒の米作り農家が順番にたんぼに入れることに、昔から決めている。
そのため春の田起こし前に 三軒で取水口からたんぼまでの水路を清掃するのもき
まりだ。当然Sも次からはそれに従う、従わなければならないのだけど無理だな。
カミの専業農家のおじさんは、自分ちの残った苗をこのわけのわからんSのために
5月末まで置いていてくれたのだけど、現状をみてアカンなと思ったやろなぁ。
県も国も団塊の世代相手に、就農を勧めている。それはそれでいいのだがどこま
で根性据えてやる気があるのか、始める前に『儲けられません。出費だけで終わり
になるかもしれません』と口を酸っぱくして言わなきゃ土に触れあいたいだけでは
無理でしょね。この間BS放送で中高年が農業に憧れて農業学校に入校して
一年間畑作り、たんぼ作りを体験して過疎地に家を借り農業を始める・・・という
ドキュメンタリーをやっていた。体験農業学校の一年間も続けられずに途中で来な
くなったり、いまの仕事をやめて収入を得られるまで数年かかる農業に不安を覚え
悩んだり、農業学校を無事に卒業して土地も家も借り始めたけれど 現実に突き当
たって3年ほどで引き上げるという人が多いそうだ。Sはノウテンキな感じだから
パターンは違うみたいだけど、何もかもなげうちまるっきりのゼロからスタートで
きなきゃ個人では難しいと思う、農業は。
今度Sがやって来たら私も立ち会いたいと思っている。その場でこのたんぼを
今年はどうするのか聞いてみたいし、放置するなら来年は貸せないとも言いたい。
それよりなにより、いったいどこの誰に我が家の名前を教えられたのか・・聞く権
利はあるでしょう私にも。教えられないというのは 自分の名前を出さないでくれ
という約束なのか、それともまったく名前も知らない人に「休耕田を持っている人
を知りませんか?」と図々しく聞いたのか?その人も迷惑も考えずに教えたのか?
わけのわからん人種が増えてきて、巻き込まれたほうは我慢しなくちゃいけないこ
とはないと思うのだ!!