
先週、おとうさんの実家の法事でお土産にもらったものが前から食べてみたいと思って
いた『紅葉屋本舗®』の「幻の羊羹」でした。
以前、熊野新聞でも取り上げられていたので知ってはいたんだけど買うことはなかった
ので、ラッキーですね。なんで、幻かというと お店の創業は明治33年1900年に
『もみぢや菓子舗』の名前で始められ、明治から大正に頻繁に行われた和菓子の全国大
会でも数々の賞を受賞し、旧国鉄の車内販売もあり、遠方のお客さんにも愛され、わざ
わざ串本まで購入に来た人もいたとか。でも、四代続いたのちに1965年に惜しまれ
ながらものれんを下ろすことになったそうです。ところが2001年、仏壇から菓子製
法を書き記したメモ帳がみつかり、他の和菓子のレシピもあったのですが、お店の看板
でもある『もみぢや菓子舗』の羊羹だけは作りたいと思い立ち製造にとりかかりました
現店主五代目さんは 創業時から使われていた真鍮製の二つの大鍋と仏壇から出てきた
メモをたよりに「美味しくて安全なものを」という志を受け継ぎ試行錯誤を繰り返し、
やっと素材の良しあし、季節ごとの火加減や水の分量、素材の変化する感覚が徐々に
わかりだし、試作品を食べた当時の『もみぢや菓子舗』の味を知る親類たちに太鼓判を
もらうことができ、ついに『もみぢや菓子舗の羊羹』が古座に復活した・・・というわ
けです。
母屋のぶんも預ってきたのでおばあちゃんに「『紅葉屋』の幻の羊羹やで」というと
「昔、こざに『もみぢや』ていう菓子屋さんがあったけど、そこの?」その時は箱に
入っているしおりを読んでいなかったので「さぁ」と返事したけど、ほらこのとおり
そこの羊羹だったのです!
もらったのは抹茶羊羹と本練羊羹(両方とも竹皮包み)で、まずは抹茶羊羹をカットし
ましたらば、なんと竹皮をはずすともろに羊羹が出てきてびっくり!羊羹てさぁ、竹皮
模様の裏が銀がみになって完全密封されたものに包まれてるやん・・というか、その手
の羊羹しか食べたことないから、意外さにびっくりして、そのあと思わず「やった~」
と言ってしまった。羊羹を取り出しても手先がベタベタしないのだ。それはしおりにも
書かれてる ・・・羊羹を型に流し、7日間かけて表面を十分に乾かし手から竹皮に包
むことで、表面にうっすらと蜜の結晶が包み、表面はサクサク、中はしっとりと一度で
二つの食感を楽しめます・・・という状態なのだよ。
抹茶羊羹は白浜町の川添茶を使用、外側のサクサクがなんとも言えません。こんなの
好きだわ!黒光りする羊羹もあるけどあれは何かで突き刺して食べても、ベタベタする
のよね、それがないのがいいわぁ。しおりには他にも 古座川産柚子を使った柚子羊羹
本州最南端潮岬産桜使用の桜羊羹、紀州備長炭(食用備長炭)使用の紀州備長炭羊羹、
大島の金柑を使った金柑羊羹、塩羊羹が紹介されています。桜羊羹の桜が潮岬産という
は桜色だから花かしら?そんなに岬に桜があったかな・・・と思い、備長炭羊羹は
練炭みたいやんと思いました。本練羊羹は「食品のノーベル賞」とも称されるモンド
セレクション最高金賞を4度ももらってるんですと。08年から毎年出品してるみたい
柚子羊羹は5年連続。3年連続したら国際最高品質受賞モンドセレクション殿堂入り
しちゃってるよ~・・・いやぁ、そこまで賞をとっているとは知りませんでした。
イタリア・ミラノの超一流レストランのシェフが絶賛して大使・公使の食事会にも
デザートで提供されたとか・・、和歌山の食品としては海外進出というのも珍しい。
それで、お店なんだけど串本で見当たらないしと思っていたら潮岬にあるんだって。
それも町民グランドの方へ入って行くとあるらしい。
紅葉屋本舗®
子供の時に「やどりぎ」だったかそんな名前のお菓子があったけど、あれも、こんな
外側がサクッとして中が羊羹みたいな感じだった。ま、とにかく甘いものは心を平和に
するもので、この二本を食べながらみょうな安堵感を覚えたのでした。私は抹茶羊羹の
ほうが甘く感じたけど、どちらも美味しかった。あれ?橋杭岩の前にもお店なかったっ
け?移転したのかな・・・岬に。