先日の私が≪わけわからん人≫と対決した月曜日、午前中がそれで午後からはまた
大変なことになったのです。
その日は午後からもまだ風が強く、いつもより少し早く散歩に出て早めに帰宅しようと
思ったのでした。こげは家を出るとすぐいつもの橋を渡り、我が家を見ながら広い道を
歩くのです。が、この日はいきなりこげグランドにむかう道をクンクンと臭いを嗅ぎな
がら進みます。立ち止まって見る先には、午前中に撤去を言い渡した可哀想な農機具が
二台置かれていたはずが、あのあと≪わけわからん親玉≫がなんとか稲刈り機だけを
運び出し、見ると農協の農機具の係りの人がやってきて貸し出した耕運機をいじってい
ました。こげはその人の匂いを嗅ぎとったのかそちらに行こうとしますが、私はそれを
抑え、そのままたんぼを横断して山側の道にむかいました。このまま奥にむかって歩い
て行けば、いつものしものほうに行かずにすむと考えたのです。なんとしてでも寒風か
ら逃れたい一心で・・・。ところがこげは山側の道をしもにむかって歩きだしたので、
「う~んそう来るか。なら いつもの川べりまで行って戻ってきて家ね」とこちらも
楽なコースを頭に設定しながら歩き続けました。角々を曲がって、川に架かる橋の
あと少しというところで、ガードレール側に私、リードを短くして右側にこげが歩き
という、いつもの、ごく普通の近所の人がいつも見る私達の散歩風景だったのが、
「え?何こげの背中に当たって来た白いモノは・・・」一瞬何が起こったのかわかり
ませんでした。白いモノ・・・は瞬時に身を躍らせて今度はこげの顔に近寄ります。
その時、私は「うわぁ!なんなんよ~、お前!あっち行け」もう悲鳴です。白いモノ
は川沿いのお寺さんに飼われている紀州犬。まだ生後一年足らず、7ヶ月くらいか、
いつもは門の中にいるはずが、なんでいきなり現れるのか!!とにかく、こげも紀州
犬もオスなので、一触即発状態にでもなったら私じゃ止められないどころか、二匹と
一人が血みどろの状態になるのは目にみえています。なんとかせねば、と私は必死に
こげのリードを手繰り寄せ、「あかん!あっちへ行け」と繰り返し、紀州犬に当たらぬ
よう小キックを繰り出しますが、紀州犬もピョンピョン跳ねてよけます。「くそー、
なんで出てくるのよ、あっちへ行けって、寄ってくるな、こげあかんで、噛んだらあか
んで。我慢、我慢」とこげの背中のハーネスをつかもうとするけど、こげもいきなり
現れたオス犬に驚いたのと、一瞬動きを止めたら今度はこげの匂いを若造が嗅ぎに鼻を
近づけてきます。それも唸りながら。私はいままで飼っていた犬同士がこんな状態に
なったことに立ち会ったことはあるけど、よその飼い犬がこんな風に接近するのには
体験したことがありません。でも、オス同士で噛みあって背中の皮がべろんちょと
なってしまったしし丸のことが浮かんできて、こげをそんなことにしてはいけないと
それにはこの紀州犬を一刻も早く、排除せな・・・でも寒風が吹きすぎ、護岸工事の
音がうるさく誰も道を歩く人もいません。紀州犬が飼われているお寺の門は閉まった
まま、いったいどこから出てきたのか、頭の中はパニック状態。「まったく飼い主は
なにしとんねん」私の犬に対する罵詈雑言もきっと聞こえてないのでしょう。そうする
あいだも紀州犬はこげのお尻に回って嗅ごうとしたりします。失礼なヤツやな、礼儀も
なにもない(?)嫌がってるやろ、こげは平和主義なんや!あっち行け、帰れ~!
私はこげをガードレールの押しつけお座りさせて、紀州犬との間に体を入れて(怖かっ
た)「あかんで、絶対先に咬んだらあかんで」を繰り返しこげを守りに入ります。
おばあちゃんから「紀州犬はそっと後ろからやってきていきなり、カブっと噛む」と
何度も言われていたので、この太い足を噛まれたりしたら痛いやろなぁ・・・とか
なんとかならんかと思いながらいました。相手がじりじりと近寄ってくるので、こげも
気が立ってきはじめたのか、お尻をあげるので私は必死で動くなと言い、リードが
緩むとこげが動き、その鼻先に相手が口を持ってきて、噛みかかります。こげも
「うじゃぁ、なんじゃてめー」というのでしょうか威嚇モードに変じ、グワッと相手の
鼻先に吠えかかります。しかし、紀州犬は高価だから怪我をさせてはなりません。
「噛んだらあかん」こげは私の言うとおり我慢していたのに、相手がいきなり背中の
ハーネスのところに飛びついて二匹が噛みあいながら広い道まで出てしまいました。
全く、このままどうなるのかと思っていたら運よく、奥から散歩でよく合う女性が車で
やってきています。「よし、あの人にお寺に行って人を呼んでもらおう」と私は大きく
手を振って橋の手前で止まってもらうことにしました。女性から見れば橋の上で二匹の
犬が喧嘩になって私が困っていると映ったと思い「お寺に行って家の人呼んできて」
と身振り手振りで言ったのです。その女性は大きくうなずいて、橋を渡らず私が歩いて
きた道の先にあるお寺の方向に車を走らせていきました。よかった~と思ったのも束の
間、なんとその車はさ~っとお寺を素通りして走り去ったのです。どうやら橋の上で
揉めているからそっちの道を迂回してと、彼女は理解したようです。「なんなよ~」
そうだ、携帯で、携帯でお寺に電話して・・しかし、片手でこげのリードをつかみ、
足でガードをしながら、相手が動くたびに体を右に左に引きまわされて、携帯を取り
出しても、ボタンを押せません。なんで市外局番からうち込まないといけないのか、
あたふたしている間に「あれ・何番やった・・」記憶も飛んでいきました。相変わらず
紀州犬は飛んだり跳ねたりこげの周りで唸ったり吠えたりしてくるので、「おばあちゃ
んから電話してもらおう」と母屋にかけて、受話器を取るまでが長く感じたわ。
「もしもし」「もしもし、私。今橋の上こげが、お寺の犬にからまれてるから、お寺に
電話して!」「え、え、なに?噛まれてる?わかった」これで何とか誰かが来てくれる
やろ。それにしてもその間もずっと、ガードの小キックを繰り出し、「でも蹴ると犬は
噛むし、叩いても噛みつくな」と防御の方法がないのです。怪我をさせずに退散させる
方法はないのです。橋の上からお寺のほうをみたら息子さんが出てくるのが見え、
やっと助かると思いきや、彼は閉まった門をかがみ込んで見ています「そうやないやろ
現にお宅の犬がこげにからんでるやろ。どこから出たとかはあとで調べてくれぇ」と
こっちはもう腕がしびれてくるのだ。「というか、しっかり走ってきてくれよ~って
おいおい手には何も持ってないのか。くくる紐は?」犬が逃げ出してるという一報を
受けたら、リードを持って出て来るやろ~。なんとか近くまで来て「あ~すみません」
と言いながら紀州犬の名前を呼び、呼び寄せようとしても当然犬は興奮して寄ってきま
せん。早くなんとか捕まえてくれよ・・・息子さんが伸ばした手をスルリ、スルリと
逃げて行くのは、完全にじゃれあう、遊びの状態です。息子さんが橋の真ん中まで追い
かけて行ったので、私とこげはその場からやっと脱出することができたのです。が、
今度は橋を渡って我が家の方に紀州犬が行き出したので「そのまま逃げたらつかまらへ
んやん」と思った時に、救世主のおばあちゃんが!おばあちゃんはこげのピンチに
自転車で来たら前から紀州犬が走ってくるので、自転車を盾に通せんぼをしてなんとか
挟みうちに。そこへお寺の高校生の息子さんがやってきて「紐、取ってくるわ」と
お寺に戻っていったとか。兄弟そろって自分の家の犬が逃げ出しているとは全然思って
なかったようです。私とこげは、もう後ろを見ずに奥への道を進みました。幸いこげの
体には傷も血もありません。相手の犬もチラリと見たけど血もなかったようだし大丈夫
やろ。でも何事もなくてよかったけど 紀州犬はこげより年下のくせに態度がデカイな
こげは他の犬との接触が皆無に近いし、家の中から 自分の散歩のテリトリーに入った
犬に吠えるだけの毎日です。タイマンなんてこげにも想定外のこと。シッポを下げて
相手の匂い嗅ぎにつきあうなんて、少々情けない気もしますが、喧嘩になってはもう
どうしようもないどちらかが勝ち負けを決めるまで。そうなると両方のダメージが半端
でないし、ケモノは順位付けをするからな。
そのあと、こげはまた同じコースでさっきのガードレールのところまで歩き、匂いを
嗅ぎまわって、おばあちゃんが防戦した場所にも立ち止まって匂いを嗅いでから家に
帰りました。私はすぐさま母屋に行き「さっきは驚いたやろ~、ありがとね」と声を
かけたら「もうびっくりしたで。電話で≪こげが噛まれやる≫というやろ?噛まれたの
はダイジョウブこ」と言うので「≪噛まれた≫じゃなくて≪からまれやる≫と言ったん
やけど。でも電話してくれたんや」「それも慌てたから(相手が紀州犬やし)、番号も
ほんまかどうかわからんけどかけたらかかって「お宅の犬がうちの犬を噛みやるから
捕まえて」と言っても「はい?うちの犬がぁ?」とスローな答えだったそうだ。おばあ
ちゃんは「散歩に行ったこげがお宅の犬に橋のところで、噛まれていると電話があった
から。早く行ってあげて!!」「はい」・・・おばあちゃんも、あれは犬が外に出てる
とはなっから思ってないようだったという。あ~だから、門は閉まってるのに犬が外で
騒いでるのが、まるでマジックのように思って門をしげしげと見てたんだね。
おばあちゃんの目の前までやって来た紀州犬を息子さんが捕まえようとするも、あっち
に逃げ、こっちに逃げで手首に噛みつきそうにグワっとやっていたそうだ。弟さんも
自転車で来たわぁ「紐持ってくるわ」と、やはりお寺さんだから落ち着いた物腰なのだ
ろう。前にも植木屋さんが「河原で遊んでいるのを見て、ちょっと相手をしたらその
力のすごいの。ありゃ子供やったら倒されるの」と言うのを聞いていたし、だから
私達はお寺の方に行くのをやめたのだ。小型犬ならなんとか処理できるけど、中型の
こげと同じくらいの犬となると怖いもん。お寺の裏山の急傾斜地から下りてきたのか
反対方向の山づたいに下りてきたのかのどちらかだろうけど、飼い主が抜け出すところ
を見つけてないのが、またも出くわすんじゃないかとそれから後方確認ばかりして歩
いています。おばあちゃんはその直後「胃が痛い」と言いだし私は薬局まで胃薬を買い
に走ったのでした。自分ちの犬は平気だけど、よその犬は気性も判らないし撫でたりす
るのは怖いんですよ。私ちゃんと≪からまれてる≫って言ったんだけどなぁ
大変なことになったのです。
その日は午後からもまだ風が強く、いつもより少し早く散歩に出て早めに帰宅しようと
思ったのでした。こげは家を出るとすぐいつもの橋を渡り、我が家を見ながら広い道を
歩くのです。が、この日はいきなりこげグランドにむかう道をクンクンと臭いを嗅ぎな
がら進みます。立ち止まって見る先には、午前中に撤去を言い渡した可哀想な農機具が
二台置かれていたはずが、あのあと≪わけわからん親玉≫がなんとか稲刈り機だけを
運び出し、見ると農協の農機具の係りの人がやってきて貸し出した耕運機をいじってい
ました。こげはその人の匂いを嗅ぎとったのかそちらに行こうとしますが、私はそれを
抑え、そのままたんぼを横断して山側の道にむかいました。このまま奥にむかって歩い
て行けば、いつものしものほうに行かずにすむと考えたのです。なんとしてでも寒風か
ら逃れたい一心で・・・。ところがこげは山側の道をしもにむかって歩きだしたので、
「う~んそう来るか。なら いつもの川べりまで行って戻ってきて家ね」とこちらも
楽なコースを頭に設定しながら歩き続けました。角々を曲がって、川に架かる橋の
あと少しというところで、ガードレール側に私、リードを短くして右側にこげが歩き
という、いつもの、ごく普通の近所の人がいつも見る私達の散歩風景だったのが、
「え?何こげの背中に当たって来た白いモノは・・・」一瞬何が起こったのかわかり
ませんでした。白いモノ・・・は瞬時に身を躍らせて今度はこげの顔に近寄ります。
その時、私は「うわぁ!なんなんよ~、お前!あっち行け」もう悲鳴です。白いモノ
は川沿いのお寺さんに飼われている紀州犬。まだ生後一年足らず、7ヶ月くらいか、
いつもは門の中にいるはずが、なんでいきなり現れるのか!!とにかく、こげも紀州
犬もオスなので、一触即発状態にでもなったら私じゃ止められないどころか、二匹と
一人が血みどろの状態になるのは目にみえています。なんとかせねば、と私は必死に
こげのリードを手繰り寄せ、「あかん!あっちへ行け」と繰り返し、紀州犬に当たらぬ
よう小キックを繰り出しますが、紀州犬もピョンピョン跳ねてよけます。「くそー、
なんで出てくるのよ、あっちへ行けって、寄ってくるな、こげあかんで、噛んだらあか
んで。我慢、我慢」とこげの背中のハーネスをつかもうとするけど、こげもいきなり
現れたオス犬に驚いたのと、一瞬動きを止めたら今度はこげの匂いを若造が嗅ぎに鼻を
近づけてきます。それも唸りながら。私はいままで飼っていた犬同士がこんな状態に
なったことに立ち会ったことはあるけど、よその飼い犬がこんな風に接近するのには
体験したことがありません。でも、オス同士で噛みあって背中の皮がべろんちょと
なってしまったしし丸のことが浮かんできて、こげをそんなことにしてはいけないと
それにはこの紀州犬を一刻も早く、排除せな・・・でも寒風が吹きすぎ、護岸工事の
音がうるさく誰も道を歩く人もいません。紀州犬が飼われているお寺の門は閉まった
まま、いったいどこから出てきたのか、頭の中はパニック状態。「まったく飼い主は
なにしとんねん」私の犬に対する罵詈雑言もきっと聞こえてないのでしょう。そうする
あいだも紀州犬はこげのお尻に回って嗅ごうとしたりします。失礼なヤツやな、礼儀も
なにもない(?)嫌がってるやろ、こげは平和主義なんや!あっち行け、帰れ~!
私はこげをガードレールの押しつけお座りさせて、紀州犬との間に体を入れて(怖かっ
た)「あかんで、絶対先に咬んだらあかんで」を繰り返しこげを守りに入ります。
おばあちゃんから「紀州犬はそっと後ろからやってきていきなり、カブっと噛む」と
何度も言われていたので、この太い足を噛まれたりしたら痛いやろなぁ・・・とか
なんとかならんかと思いながらいました。相手がじりじりと近寄ってくるので、こげも
気が立ってきはじめたのか、お尻をあげるので私は必死で動くなと言い、リードが
緩むとこげが動き、その鼻先に相手が口を持ってきて、噛みかかります。こげも
「うじゃぁ、なんじゃてめー」というのでしょうか威嚇モードに変じ、グワッと相手の
鼻先に吠えかかります。しかし、紀州犬は高価だから怪我をさせてはなりません。
「噛んだらあかん」こげは私の言うとおり我慢していたのに、相手がいきなり背中の
ハーネスのところに飛びついて二匹が噛みあいながら広い道まで出てしまいました。
全く、このままどうなるのかと思っていたら運よく、奥から散歩でよく合う女性が車で
やってきています。「よし、あの人にお寺に行って人を呼んでもらおう」と私は大きく
手を振って橋の手前で止まってもらうことにしました。女性から見れば橋の上で二匹の
犬が喧嘩になって私が困っていると映ったと思い「お寺に行って家の人呼んできて」
と身振り手振りで言ったのです。その女性は大きくうなずいて、橋を渡らず私が歩いて
きた道の先にあるお寺の方向に車を走らせていきました。よかった~と思ったのも束の
間、なんとその車はさ~っとお寺を素通りして走り去ったのです。どうやら橋の上で
揉めているからそっちの道を迂回してと、彼女は理解したようです。「なんなよ~」
そうだ、携帯で、携帯でお寺に電話して・・しかし、片手でこげのリードをつかみ、
足でガードをしながら、相手が動くたびに体を右に左に引きまわされて、携帯を取り
出しても、ボタンを押せません。なんで市外局番からうち込まないといけないのか、
あたふたしている間に「あれ・何番やった・・」記憶も飛んでいきました。相変わらず
紀州犬は飛んだり跳ねたりこげの周りで唸ったり吠えたりしてくるので、「おばあちゃ
んから電話してもらおう」と母屋にかけて、受話器を取るまでが長く感じたわ。
「もしもし」「もしもし、私。今橋の上こげが、お寺の犬にからまれてるから、お寺に
電話して!」「え、え、なに?噛まれてる?わかった」これで何とか誰かが来てくれる
やろ。それにしてもその間もずっと、ガードの小キックを繰り出し、「でも蹴ると犬は
噛むし、叩いても噛みつくな」と防御の方法がないのです。怪我をさせずに退散させる
方法はないのです。橋の上からお寺のほうをみたら息子さんが出てくるのが見え、
やっと助かると思いきや、彼は閉まった門をかがみ込んで見ています「そうやないやろ
現にお宅の犬がこげにからんでるやろ。どこから出たとかはあとで調べてくれぇ」と
こっちはもう腕がしびれてくるのだ。「というか、しっかり走ってきてくれよ~って
おいおい手には何も持ってないのか。くくる紐は?」犬が逃げ出してるという一報を
受けたら、リードを持って出て来るやろ~。なんとか近くまで来て「あ~すみません」
と言いながら紀州犬の名前を呼び、呼び寄せようとしても当然犬は興奮して寄ってきま
せん。早くなんとか捕まえてくれよ・・・息子さんが伸ばした手をスルリ、スルリと
逃げて行くのは、完全にじゃれあう、遊びの状態です。息子さんが橋の真ん中まで追い
かけて行ったので、私とこげはその場からやっと脱出することができたのです。が、
今度は橋を渡って我が家の方に紀州犬が行き出したので「そのまま逃げたらつかまらへ
んやん」と思った時に、救世主のおばあちゃんが!おばあちゃんはこげのピンチに
自転車で来たら前から紀州犬が走ってくるので、自転車を盾に通せんぼをしてなんとか
挟みうちに。そこへお寺の高校生の息子さんがやってきて「紐、取ってくるわ」と
お寺に戻っていったとか。兄弟そろって自分の家の犬が逃げ出しているとは全然思って
なかったようです。私とこげは、もう後ろを見ずに奥への道を進みました。幸いこげの
体には傷も血もありません。相手の犬もチラリと見たけど血もなかったようだし大丈夫
やろ。でも何事もなくてよかったけど 紀州犬はこげより年下のくせに態度がデカイな
こげは他の犬との接触が皆無に近いし、家の中から 自分の散歩のテリトリーに入った
犬に吠えるだけの毎日です。タイマンなんてこげにも想定外のこと。シッポを下げて
相手の匂い嗅ぎにつきあうなんて、少々情けない気もしますが、喧嘩になってはもう
どうしようもないどちらかが勝ち負けを決めるまで。そうなると両方のダメージが半端
でないし、ケモノは順位付けをするからな。
そのあと、こげはまた同じコースでさっきのガードレールのところまで歩き、匂いを
嗅ぎまわって、おばあちゃんが防戦した場所にも立ち止まって匂いを嗅いでから家に
帰りました。私はすぐさま母屋に行き「さっきは驚いたやろ~、ありがとね」と声を
かけたら「もうびっくりしたで。電話で≪こげが噛まれやる≫というやろ?噛まれたの
はダイジョウブこ」と言うので「≪噛まれた≫じゃなくて≪からまれやる≫と言ったん
やけど。でも電話してくれたんや」「それも慌てたから(相手が紀州犬やし)、番号も
ほんまかどうかわからんけどかけたらかかって「お宅の犬がうちの犬を噛みやるから
捕まえて」と言っても「はい?うちの犬がぁ?」とスローな答えだったそうだ。おばあ
ちゃんは「散歩に行ったこげがお宅の犬に橋のところで、噛まれていると電話があった
から。早く行ってあげて!!」「はい」・・・おばあちゃんも、あれは犬が外に出てる
とはなっから思ってないようだったという。あ~だから、門は閉まってるのに犬が外で
騒いでるのが、まるでマジックのように思って門をしげしげと見てたんだね。
おばあちゃんの目の前までやって来た紀州犬を息子さんが捕まえようとするも、あっち
に逃げ、こっちに逃げで手首に噛みつきそうにグワっとやっていたそうだ。弟さんも
自転車で来たわぁ「紐持ってくるわ」と、やはりお寺さんだから落ち着いた物腰なのだ
ろう。前にも植木屋さんが「河原で遊んでいるのを見て、ちょっと相手をしたらその
力のすごいの。ありゃ子供やったら倒されるの」と言うのを聞いていたし、だから
私達はお寺の方に行くのをやめたのだ。小型犬ならなんとか処理できるけど、中型の
こげと同じくらいの犬となると怖いもん。お寺の裏山の急傾斜地から下りてきたのか
反対方向の山づたいに下りてきたのかのどちらかだろうけど、飼い主が抜け出すところ
を見つけてないのが、またも出くわすんじゃないかとそれから後方確認ばかりして歩
いています。おばあちゃんはその直後「胃が痛い」と言いだし私は薬局まで胃薬を買い
に走ったのでした。自分ちの犬は平気だけど、よその犬は気性も判らないし撫でたりす
るのは怖いんですよ。私ちゃんと≪からまれてる≫って言ったんだけどなぁ