マクスウェルの悪魔による発電に成功?!?
NTTグループが「マクスウェルの悪魔」の原理を利用した回路の実現に成功したとニュースがありました。
何がすごいかわからない人へ。
この原理は今まで机上の空論で、実際にはこれを利用した回路の構築は無理だとされていたものらしく。
これを利用できるとすると、理論的にはエネルギーの不可逆性がなくなるわけで。恒久機関が作れることになる。
まだ、わかりにくいな。(^.^)
つまりはものすごく効率の良い、ロスの限りなく少ないエネルギー回路が構築できる可能性に繋がる知見らしい。
私もそんなに詳しくないけれど。
そんなに高効率なエネルギー回路が作れたら、世の中が変わるくらいのことは解る。
エネルギーに必要な燃料が不要となるのだ。
つまりは石油や石炭など、エネルギー資源と言われるものが枯渇する心配がなくなってくるということ。
世の中が変わるよね。
なんだかあまりニュースでも取り上げられていなくて、少し不思議なんだけれど。
世紀の大発見であるような気がする。
この先の展開に期待したい。
それこそ、原子力発電を海外に売り込んでる場合じゃなくならないかな。エネルギー問題に一石を投じてくれそうなこのニュース。
いつのまにか、他の会社に先を越されたりしないように、国を挙げて支援してくださるといいなぁ。
うーむ。
以下、参考リンク
NTTのホームページより
http://www.ntt.co.jp/news2017/1705/170516a.html
熱ノイズを選り分けて電流を流すことに成功
~マクスウェルの悪魔による発電~
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下 NTT)は、トランジスタ内でランダムな方向に動く電子(熱ノイズ)を観測し、一方向に動く電子のみを選り分けることで電流を流し、電力を発生することに成功しました。これは、熱力学分野で長年パラドックスとして議論されていたマクスウェルの悪魔の原理を利用することで実現したものです。
熱ノイズは無秩序な電子の動きであり、電子の動きを平均化すると、どの方向にも動いていません。一方、電流は一定の方向への電子の流れです。通常、外部電源などを用いず、無秩序な熱ノイズから、電流という秩序性を持った動きを生み出すことは不可能です。しかし、もし個々の電子の動きを観測し一定の方向に動く電子のみ選び出すことができれば、電流を生成することができるはずです。この、電子を選び出す作業をするのが「マクスウェルの悪魔」と呼ばれるもので、150年以上前に思考実験として提案されました。しかし、実際に「マクスウェルの悪魔」を実現することは困難であり、これまでの実験は基本的な原理実証に留まっていました。
NTTは、トランジスタ内の電子一個の動きを観測し、その結果に基づいてトランジスタを操作する技術を用いることにより、電流を生成することに成功しました。これにより、初めて「マクスウェルの悪魔」を利用した熱ノイズからの電力の生成が実現できました。ここで得られた知見は、電子デバイスの消費電力の下限や、生体中の微小な熱機関におけるエネルギー変換効率と深く関係しており、これを利用することにより、新たな高効率デバイスの創生に繋がると期待されます。
この成果は、2017年5月16日(英国時間)に英国科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」オンライン版で公開されます。
研究の背景
通常、熱ノイズのような無秩序な動きから、外部電源を用いずに、電流のような秩序を持った動きを生み出すことはできません(熱力学第二法則)。個々の電子の動きを観測して選び出すマクスウェルの悪魔は、この熱力学第二法則を破っているように見え、150年以上議論が続けられてきました。その結果、マクスウェルの悪魔が電子の動きを観測して、その情報を得る際にエネルギーが必要であり、これが電流を流す電源としての役割を果たし、熱力学第二法則を満たすことが分かってきました。この知見は、1ビットの情報を得るためには一定の量のエネルギーが必要であり、逆に1ビットの情報を持っていることにより最大でその量のエネルギーを生み出すことができる、ということを意味しており、情報とエネルギーを結びつけた情報熱力学へと発展しています。情報熱力学は、電子デバイスの電力の下限や、生体中の微小な熱機関におけるエネルギー変換効率と深く関係していることが知られており、これを利用することにより、新たな高効率デバイスの創生に繋がると期待されます。
マクスウェルの悪魔の原理を利用して熱ノイズから電力を生成するには、熱運動している電子を正確に観測すること、観測して得た情報を使って電子を選り分けること、そして選り分けた高いエネルギーを持った電子を外部に取り出すことが必要です。しかし、実際にこのようなデバイスを作製することは困難で、これまでの実験的研究は電子を選り分ける段階に留まっており、電力を取り出すことはできていませんでした。
研究の成果
今回、NTTは、ナノメートルスケールのシリコントランジスタから成る単電子デバイスを用いて、熱ノイズから電流を生成することに成功しました。生成された電流を使って、別のデバイスを駆動することが可能であり、マクスウェルの悪魔の原理を利用した発電が実現できたといえます。
行った実験の説明
実験では、2つのナノメートルスケールのシリコントランジスタを用いて形成した電子箱を利用しました。電子箱の入口側と出口側のトランジスタをオン・オフすることで、電子箱の入口側の扉(入口扉)と出口側の扉(出口扉)を別々に開閉することができます。電子箱中の電子数は、その近傍に作製された検出器の抵抗を測定することにより、リアルタイムで検出できます。
マクスウェルの悪魔の動作は以下の手順で実現しました。
1. 入口扉を開けて、入口と電子箱の間における電子のランダムな熱運動を観測する。
2. 電子が電子箱に入って来たときに、入口扉を閉めて、電子箱に電子を閉じ込める。
3. 出口扉を開けて、電子箱と出口の間における電子のランダムな熱運動を観測する。
4. 電子が電子箱から出て行ったときに、出口扉を閉めて、出口へ電子を追い出す。
この1―4を繰り返して電子を1個ずつ入口から出口に移動させることにより、電流を生成できます。通常、電流は電位差で決まる向きに流れますが、エネルギーの高い電子を選り分けることにより、電位差を登る向きに電流を流すことも可能です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/c5/deb60a4d07d4a512dda12af0e85fe7cb.png)
図1:デバイス構造
左図はデバイス構造の模式図、右図はデバイス構造をマクスウェルの悪魔の操作と対応させた模式図です。ナノメートルスケールのシリコントランジスタは電子の動きをオン・オフする扉として利用されます。電子は、平均として電位差で決まる向き(高い方から低い方)へ移動しますが、電子1個のレベルで見ると、電子は熱ノイズによってランダムに熱運動しています。この熱運動は、検出器用トランジスタの抵抗の変化を測定することで観測できます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/78/578455b1a46c68f900e3693f92cc7862.png)
図2:マクスウェルの悪魔の行う操作
マクスウェルの悪魔は、検出器を用いて熱ノイズによる電子のランダムな熱運動を観測し、その結果に応じて入口扉と出口扉を開け閉めします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/a2/1008c24fe52ded59f8754e276b58869f.png)
図3:マクスウェルの悪魔による発電
左図はマクスウェルの悪魔による発電の模式図です。熱運動している電子の中からエネルギーの高い電子を選り分けて出口に送り出します。出口に送り出された電子の持っているエネルギーは外部に取り出して電力として利用できます。
右図は電位差に対する電流です。電位差の正負は入口に対する出口の高さを表しています。青破線はマクスウェルの悪魔が存在しない場合に予想される電流で、電位差が-のときにだけ電子が入口から出口に向かって流れます。対して、赤実線はマクスウェルの悪魔が存在する場合に予想される電流で、電位差の正負に関係なく、電子が入口から出口に向かって流れます。黒丸は実験結果で、マクスウェルの悪魔が存在する場合に予想される電流と類似する振る舞いを示しました。また、電位差が+のときには、通常とは逆方向(電位差を登る向き)に電流が流れているため、発電が起こっています。
技術のポイント:シリコン単電子デバイスの集積化
マクスウェルの悪魔を実現するためには、電子一個の精度で正確な観測を行える検出器と正確に開閉できる扉が必要です。NTTでは、ナノメートルスケールのシリコントランジスタを用いて、電子をひとつひとつ観測・制御する技術について長年研究を重ねてきました。これまでの研究で、ナノメートルスケールの非常に小さな電荷検出器を作製し、室温で電子をひとつひとつ検出することに成功しています。また、電子一個を間違いなく閉じ込めておけるシリコントランジスタを作製する技術を利用することで、正確な扉の開閉を実現できています。これらの機能を、ひとつのシリコン単電子デバイスにまとめあげることで、熱運動する電子を選り分けるマクスウェルの悪魔を実現することができました。
今後の展開
ここで得られた知見は、電子デバイスの消費電力の下限や、分子モーター※5などの生体中の微小な熱機関におけるエネルギー変換効率と深く関係しています。分子モーターではマクスウェルの悪魔が活躍しており、熱ノイズのランダムな運動を利用しながら適切なタイミングで動作し、高いエネルギー変換効率を実現していると考えられています。電子デバイスにおいても、生体の仕組みを利用した、高効率な動作の実現を目指します。
NTTグループが「マクスウェルの悪魔」の原理を利用した回路の実現に成功したとニュースがありました。
何がすごいかわからない人へ。
この原理は今まで机上の空論で、実際にはこれを利用した回路の構築は無理だとされていたものらしく。
これを利用できるとすると、理論的にはエネルギーの不可逆性がなくなるわけで。恒久機関が作れることになる。
まだ、わかりにくいな。(^.^)
つまりはものすごく効率の良い、ロスの限りなく少ないエネルギー回路が構築できる可能性に繋がる知見らしい。
私もそんなに詳しくないけれど。
そんなに高効率なエネルギー回路が作れたら、世の中が変わるくらいのことは解る。
エネルギーに必要な燃料が不要となるのだ。
つまりは石油や石炭など、エネルギー資源と言われるものが枯渇する心配がなくなってくるということ。
世の中が変わるよね。
なんだかあまりニュースでも取り上げられていなくて、少し不思議なんだけれど。
世紀の大発見であるような気がする。
この先の展開に期待したい。
それこそ、原子力発電を海外に売り込んでる場合じゃなくならないかな。エネルギー問題に一石を投じてくれそうなこのニュース。
いつのまにか、他の会社に先を越されたりしないように、国を挙げて支援してくださるといいなぁ。
うーむ。
以下、参考リンク
NTTのホームページより
http://www.ntt.co.jp/news2017/1705/170516a.html
熱ノイズを選り分けて電流を流すことに成功
~マクスウェルの悪魔による発電~
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下 NTT)は、トランジスタ内でランダムな方向に動く電子(熱ノイズ)を観測し、一方向に動く電子のみを選り分けることで電流を流し、電力を発生することに成功しました。これは、熱力学分野で長年パラドックスとして議論されていたマクスウェルの悪魔の原理を利用することで実現したものです。
熱ノイズは無秩序な電子の動きであり、電子の動きを平均化すると、どの方向にも動いていません。一方、電流は一定の方向への電子の流れです。通常、外部電源などを用いず、無秩序な熱ノイズから、電流という秩序性を持った動きを生み出すことは不可能です。しかし、もし個々の電子の動きを観測し一定の方向に動く電子のみ選び出すことができれば、電流を生成することができるはずです。この、電子を選び出す作業をするのが「マクスウェルの悪魔」と呼ばれるもので、150年以上前に思考実験として提案されました。しかし、実際に「マクスウェルの悪魔」を実現することは困難であり、これまでの実験は基本的な原理実証に留まっていました。
NTTは、トランジスタ内の電子一個の動きを観測し、その結果に基づいてトランジスタを操作する技術を用いることにより、電流を生成することに成功しました。これにより、初めて「マクスウェルの悪魔」を利用した熱ノイズからの電力の生成が実現できました。ここで得られた知見は、電子デバイスの消費電力の下限や、生体中の微小な熱機関におけるエネルギー変換効率と深く関係しており、これを利用することにより、新たな高効率デバイスの創生に繋がると期待されます。
この成果は、2017年5月16日(英国時間)に英国科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」オンライン版で公開されます。
研究の背景
通常、熱ノイズのような無秩序な動きから、外部電源を用いずに、電流のような秩序を持った動きを生み出すことはできません(熱力学第二法則)。個々の電子の動きを観測して選び出すマクスウェルの悪魔は、この熱力学第二法則を破っているように見え、150年以上議論が続けられてきました。その結果、マクスウェルの悪魔が電子の動きを観測して、その情報を得る際にエネルギーが必要であり、これが電流を流す電源としての役割を果たし、熱力学第二法則を満たすことが分かってきました。この知見は、1ビットの情報を得るためには一定の量のエネルギーが必要であり、逆に1ビットの情報を持っていることにより最大でその量のエネルギーを生み出すことができる、ということを意味しており、情報とエネルギーを結びつけた情報熱力学へと発展しています。情報熱力学は、電子デバイスの電力の下限や、生体中の微小な熱機関におけるエネルギー変換効率と深く関係していることが知られており、これを利用することにより、新たな高効率デバイスの創生に繋がると期待されます。
マクスウェルの悪魔の原理を利用して熱ノイズから電力を生成するには、熱運動している電子を正確に観測すること、観測して得た情報を使って電子を選り分けること、そして選り分けた高いエネルギーを持った電子を外部に取り出すことが必要です。しかし、実際にこのようなデバイスを作製することは困難で、これまでの実験的研究は電子を選り分ける段階に留まっており、電力を取り出すことはできていませんでした。
研究の成果
今回、NTTは、ナノメートルスケールのシリコントランジスタから成る単電子デバイスを用いて、熱ノイズから電流を生成することに成功しました。生成された電流を使って、別のデバイスを駆動することが可能であり、マクスウェルの悪魔の原理を利用した発電が実現できたといえます。
行った実験の説明
実験では、2つのナノメートルスケールのシリコントランジスタを用いて形成した電子箱を利用しました。電子箱の入口側と出口側のトランジスタをオン・オフすることで、電子箱の入口側の扉(入口扉)と出口側の扉(出口扉)を別々に開閉することができます。電子箱中の電子数は、その近傍に作製された検出器の抵抗を測定することにより、リアルタイムで検出できます。
マクスウェルの悪魔の動作は以下の手順で実現しました。
1. 入口扉を開けて、入口と電子箱の間における電子のランダムな熱運動を観測する。
2. 電子が電子箱に入って来たときに、入口扉を閉めて、電子箱に電子を閉じ込める。
3. 出口扉を開けて、電子箱と出口の間における電子のランダムな熱運動を観測する。
4. 電子が電子箱から出て行ったときに、出口扉を閉めて、出口へ電子を追い出す。
この1―4を繰り返して電子を1個ずつ入口から出口に移動させることにより、電流を生成できます。通常、電流は電位差で決まる向きに流れますが、エネルギーの高い電子を選り分けることにより、電位差を登る向きに電流を流すことも可能です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/c5/deb60a4d07d4a512dda12af0e85fe7cb.png)
図1:デバイス構造
左図はデバイス構造の模式図、右図はデバイス構造をマクスウェルの悪魔の操作と対応させた模式図です。ナノメートルスケールのシリコントランジスタは電子の動きをオン・オフする扉として利用されます。電子は、平均として電位差で決まる向き(高い方から低い方)へ移動しますが、電子1個のレベルで見ると、電子は熱ノイズによってランダムに熱運動しています。この熱運動は、検出器用トランジスタの抵抗の変化を測定することで観測できます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/78/578455b1a46c68f900e3693f92cc7862.png)
図2:マクスウェルの悪魔の行う操作
マクスウェルの悪魔は、検出器を用いて熱ノイズによる電子のランダムな熱運動を観測し、その結果に応じて入口扉と出口扉を開け閉めします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/a2/1008c24fe52ded59f8754e276b58869f.png)
図3:マクスウェルの悪魔による発電
左図はマクスウェルの悪魔による発電の模式図です。熱運動している電子の中からエネルギーの高い電子を選り分けて出口に送り出します。出口に送り出された電子の持っているエネルギーは外部に取り出して電力として利用できます。
右図は電位差に対する電流です。電位差の正負は入口に対する出口の高さを表しています。青破線はマクスウェルの悪魔が存在しない場合に予想される電流で、電位差が-のときにだけ電子が入口から出口に向かって流れます。対して、赤実線はマクスウェルの悪魔が存在する場合に予想される電流で、電位差の正負に関係なく、電子が入口から出口に向かって流れます。黒丸は実験結果で、マクスウェルの悪魔が存在する場合に予想される電流と類似する振る舞いを示しました。また、電位差が+のときには、通常とは逆方向(電位差を登る向き)に電流が流れているため、発電が起こっています。
技術のポイント:シリコン単電子デバイスの集積化
マクスウェルの悪魔を実現するためには、電子一個の精度で正確な観測を行える検出器と正確に開閉できる扉が必要です。NTTでは、ナノメートルスケールのシリコントランジスタを用いて、電子をひとつひとつ観測・制御する技術について長年研究を重ねてきました。これまでの研究で、ナノメートルスケールの非常に小さな電荷検出器を作製し、室温で電子をひとつひとつ検出することに成功しています。また、電子一個を間違いなく閉じ込めておけるシリコントランジスタを作製する技術を利用することで、正確な扉の開閉を実現できています。これらの機能を、ひとつのシリコン単電子デバイスにまとめあげることで、熱運動する電子を選り分けるマクスウェルの悪魔を実現することができました。
今後の展開
ここで得られた知見は、電子デバイスの消費電力の下限や、分子モーター※5などの生体中の微小な熱機関におけるエネルギー変換効率と深く関係しています。分子モーターではマクスウェルの悪魔が活躍しており、熱ノイズのランダムな運動を利用しながら適切なタイミングで動作し、高いエネルギー変換効率を実現していると考えられています。電子デバイスにおいても、生体の仕組みを利用した、高効率な動作の実現を目指します。