健康塾通信

皆様がより健康であるための情報やご家庭でお手軽にできる健康法をお伝えいたします。

ピンクリボン

2008年10月06日 12時29分43秒 | Weblog
「ピンクリボン」皆様は最近胸にこのバッチを付けている方を見かけたり、マスコミや企業などがこの運動に協賛して独自のピンクリボンのシンボルで呼びかけているのをご存知でしょうか?

今月1日「ピンクリボンフェスティバル2008」が東京都庁の都民広場で開かれ、昨年手術をしたアグネス・チャンたちのトークショーが行われ、夜には都庁舎がピンク色にライトアップされたそうです。

このように「ピンクリボン」は乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるシンボルマークとして知られるようになりましたが、この運動は1980年代アメリカの小さな町で娘を乳がんで失った母親が同じ悲しみを繰り返さないようにと実孫にピンクのリボンを贈った事がきっかけで、その後は草の根運動によって全世界に広まったといわれています。

乳がんは日本人女性がもっともかかりやすい(20人に1人)といわれ、2007年厚生労働省の人口動態統計によると乳がんでなくなった女性は11,323人もいらっしゃいます。
また乳がんにかかる人は30代から50代にかけて多くピークは40代後半といわれます。

しかし、年齢に関係なく閉経後であっても、家族に乳がんの方がいなくてもかかりますので、安心はできません。
早期発見であれば約90%の人が治癒することからもセルフチェックや年に1回のマンモグラフィーなどの検診がとても重要なのです。

わたしは乳がん、子宮ガンなどの術後に発症するリンパ浮腫の治療と運動療法をさせていただき10年以上になりました。
開業当初は子宮ガンなどによる脚の浮腫みが大半でしたが3年前くらいから乳がん術後の腕の浮腫みの患者さんが全体の40%くらいに増えてきました。


今回大阪で第16回「日本乳癌学会学術総会」が開かれました。
数多くの貴重な研究によるシンポジウムやワークショップ・セミナーなどの中から
自分の専門など限られた発表しか拝聴できませんでしたが、いくつかご紹介いたします。

①「乳腺術後患者におけるリハビリプログラムの検証」という発表で術後翌日からの自分で行う関節(手首・肘)可動域の訓練やリハビリ室においての患者さんや看護士さんと一緒に病院独自のリハビリ体操を行うことにより全員の可動域の改善があり患者さん同志の交流や励ましあいになったという報告です。

これは当健康塾でも乳がん術後の患者さんが体操に参加され、1年後には可動域が
健側と同じまで回復された実例があります。
やはり運動の有効性が認められるのはうれしいことです。

②「リンパ浮腫の実態と治療・予防ガイドラインの作成」では患者さんがリンパ浮腫のリスクを正しく認識して早期に気付くことで重症化を防ぐことが出来るということで実態を1431例集積してガイドラインを作成したというものです。

これまで日本ではリンパ節切除による「リンパ浮腫」ということを病院での指導や患者さんの中にも認識が薄く、症状がかなり重くなってから気付いたり、また症状が出てからでも、何処で受診したらよいかなどの行き場に困っている患者さんたちがたくさんいらっしゃいました。

私が浮腫の患者さんに出会ったのもまさにまだ日本で医療リンパドレナージなどの
複合物理疎泄療法などが行われておらず、医師やセラピストでこの療法の情報を
さがすのが大変な時でした。

しかし、一人の足の患者さんとの出会いが「リンパ浮腫の治療」に取り組むきっかけとなりました。

嬉しいことに圧迫療法の弾性着衣の保険適用もこの4月から認められ、お医者さんのグループでもこうしたリンパ浮腫に対する治療や予防の方法などに取り組んでいただけることは浮腫を予防したり軽症で食い止めるための手段になることは間違いありません。

まずは乳がんの早期発見を合言葉に今後も多くの皆様にセルフチェックや年に1回のマンモグラフィーなどの検診を呼びかけて行きたいと思います。

では次回はセルフチェック法をお伝えいたします。
季節の変わり目で風邪が流行っていますのでどうぞ早めの対処を心掛けて下さい。