小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

小児肥満診療ガイドライン(アメリカ小児科学会編)

2023年01月22日 15時30分43秒 | 予防接種
肥満の診療ができるよう、調べて整理中です。
しかし調べれば調べるほど資料が膨大な量になり、
まとめることができないでいます。

なぜって、肥満は生活習慣病ですから、
食生活だけではなく生活全体に問題が潜んでおり、
それをあぶりだして一つ一つ改善しなければ解決しないのです。

そして肥満症は自覚症状がなく、病識がありません。

つまり、問題点を指摘しても、
「別に今、困ってないし~」
と反応が悪いので、
医療側もそれにエネルギーを費やすモチベーションが続きにくい。

今回は日本より肥満体国のアメリカにおける、
小児肥満診療ガイドライン改定のニュースを紹介します。
なお、アメリカでは肥満症の評価に成人と同じBMIを使用していますが、日本では肥満度を採用しています。

あらかじめ、私が感じたポイントを列挙します;
・12歳未満:肥満症の治療という目的のためだけに減量薬の使用を推奨できるほどのエビデンスは存在しない。
・12歳以上:減量薬の処方のほか、行動療法やライフスタイル療法を推奨。
・13歳以上:高度肥満の子どもに対しては、減量手術を検討することも推奨。
・米国の小児肥満患者は1440万人を超え、2型糖尿病や睡眠時無呼吸症候群、胆のうの疾患、心臓病、ぜんそく、関節や骨の障害などの発症リスクが高くなっている。

12歳以上では薬物療法も選択肢に入ってくる、13歳以上の高度肥満では手術も視野に入る点が日本と異なりますね。
日本より重症肥満が多いアメリカでは、
より積極的な治療・介入が示されています。

▢ 子どもの肥満、年齢や程度によっては減量薬や手術も推奨 米学会
2023/1/15:Forbes JAPAN)より抜粋;
※ 下線は私が引きました。

米国小児科学会は、2歳以上の子どもの肥満治療に関するガイドラインを15年ぶりに改定した。12歳以上には減量薬の処方を推奨しているほか、13歳以上の高度肥満の場合は外科手術も検討すべきだとしている。 
ガイドラインでは肥満を、栄養価の高い食品を手に入れにくい、運動の機会が少ない、医療を利用しづらいといった要因に関連した慢性疾患と認めている。 12歳以上の肥満の子どもについては、減量薬の処方のほか、行動療法やライフスタイル療法を勧めている12歳未満に対しては、肥満症の治療という目的のためだけに減量薬の使用を推奨できるほどのエビデンスがなかったという。 13歳以上の高度肥満の子どもに対しては、減量手術を検討することも推奨している。減量のために胃や腸の手術を受けた子どもは、体格指数(BMI)が29%低下したという研究結果がある。

■米国の子ども1400万人超が肥満、糖尿病や心臓病に懸念 
ガイドラインでは、6歳以上の子どもはBMI測定や動機づけ面接などを通じて、肥満の検査を毎年受けるのが望ましいとしている。 米疾病対策センター(CDC)は、子どもの場合、BMIのパーセンタイル値(計測値を小さい順に並べたときに値の順位を百分率で表したもの。50パーセンタイルが中央値)が85パーセンタイル以上95パーセンタイル未満だと「過体重」、95パーセンタイル以上だと「肥満」と判断している。たとえば10歳の少年の場合、BMIが21だと85パーセンタイルとなり過体重、BMIが23だと95パーセンタイルに上がり肥満に該当する。
CDCによると、米国の小児肥満患者は1440万人を超え、2型糖尿病や睡眠時無呼吸症候群、胆のうの疾患、心臓病、ぜんそく、関節や骨の障害などの発症リスクが高くなっている。 小児科学会によると、今回のガイドラインは肥満の予防よりも肥満の治療に焦点を当てたものになっており、前者については別個文書を用意しているという。 改定作業にかかわったサンドラ・ハシンクはプレスリリースで、子どもの肥満患者がライフスタイルや行動、環境を持続可能なやり方で変えていくのを後押しするのが新ガイドラインの目的だと説明している。 米食品医薬品局(FDA)はこれまでに、ノボノルディスクの「ウェゴビー」など、子どもも服用できる減量薬をいくつか承認している。


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