小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

「どの県でも適切なアレルギー治療」の体制構築へ議論進む

2018年01月30日 07時23分48秒 | 医療問題
 当院はアレルギー科も標榜しています(院長は一応「アレルギー専門医」ですので)。
 しかし開業医で出来ることは限られています。

 しばしば問題になるのは、食物アレルギーによりアナフィラキシーを起こす患者さん。
 卵や牛乳を摂取すると、じんましんだけではなく、吐いたり咳き込んだりする例は、摂取量が多いとショックまで進行する可能性があります。
 有事の際に人海戦術が取れない開業医では診療は無理(というか患者さんを危険にさらすことになる)です。
 
 すると、医師が複数在籍する総合病院小児科へその管理を依頼することになります。
 しかし当地域では、頼みの総合病院小児科には常勤医が1人しかいません。
 アナフィラキシー症例を紹介すると断られてしまうのが現状です。
 なので当地域のアナフィラキシー症例は、距離の遠い県内外の総合病院へ紹介しています。

 紹介する記事は「どの県でも適切なアレルギー治療」と掲げていますが、残念ながらこの状況を打破する方策とは思えません。
 「診療と研究」「予算」など、大切なこととは思いますが、「目の前にいる患者さんをどうするか?」という末端の現場とは悩む内容が異なりますね。

■ 「どの県でも適切なアレルギー治療」の体制構築へ議論進む 〜厚労省の協議会に予算案を報告
2018/1/26 :日経メディカル
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