小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

糖質制限の是非

2017年12月08日 16時32分46秒 | 医療問題
 ブームとも言える「糖質制限」。
 反対派の意見も聞きましょう。
 と思って下記記事を読んでみたら、「腎機能が低下している人は要注意」だそうで、まあ当たり前と言えば当たり前ですね。
 糖質制限をすると必然的にタンパク質摂取量が増え、タンパク質代謝物の排泄は尿からなので腎臓に負荷がかかるというカラクリです。

 「糖質制限によるダイエット効果は長期には認められない」という報告には根拠が示されていませんので、今ひとつ納得できかねます。
 「糖質制限では死亡率が高くなる」という報告では、「植物性たんぱく質を多く摂取することで解消される」とあり、動物性たんぱく質だけを食べるのはよくないことがわかります。
 植物性たんぱく質とは・・・身近では大豆ですね。

■ 糖質制限は短期効果あるも長期不良か
2016年06月24日:メディカル・トリビューン
 京都府立医科大学大学院内分泌代謝内科学教授の福井道明氏は、第59回日本糖尿病学会年次学術集会(5月19~21日、会長=京都大学大学院糖尿病・内分泌・栄養内科学教授・稲垣暢也氏)のシンポジウム「食事療法の新たなエビデンスを求めて」において低炭水化物食のエビデンスとその功罪を中心に述べ、短期的には減量効果などが認められるが、長期的には生命予後が悪化する可能性もあるとした。

希少糖プシコースに耐糖能改善作用
 福井氏はまず、希少糖の一種でノンカロリーかつ甘味度が砂糖の7割程度の「D-プシコース」が血糖値の上昇を抑え、脂肪蓄積抑制作用やインスリン抵抗性改善作用があることを示した。1〜2年後には大量生産の道が開け、既存の人工甘味料に取って代わる可能性を示唆した。一方、フルクトースは肝臓の脂肪化を亢進させてインスリンの抵抗性を高め、炎症を引き起こすともいわれ、過剰摂取は避けるべきと指摘した。人工甘味料については、マウスに摂取させると腸内細菌叢の変化により耐糖能が悪化するとのデータを示し、今後このようなエビデンスが続けば摂取の推奨を検討する必要があるとした。

糖質制限は腎機能低下例には不向き
 次に、低炭水化物食のエビデンスとその功罪について述べた。
 低炭水化物食群と低脂肪食群で体重に与える影響を比較した研究(Arch Intern Med 2006)を示し、開始後半年間は低炭水化物食群で有意に体重が減少していたが、1年後では両群に有意差はなかったことから、低炭水化物食は減量のため短期的に実施するのが望ましいとした。
 低炭水化物食にすると蛋白質や脂質の摂取は増えるが、高蛋白質摂取が腎機能に与える影響を検討した研究(Ann Intern Med 2003)を紹介。軽度腎機能障害例では、蛋白質摂取の増加により推算糸球体濾過量(eGFR)の有意な低下が見られた(表)。このことから、福井氏は「糖尿病腎症3期例には低炭水化物食を勧めてはならない」と強調した。
 低炭水化物食の長期の安全性を検討した研究(Ann Intern Med 2010)を示し、低炭水化物食を導入すると死亡率が増えたことを明らかにした。炭水化物摂取割合を10段階でスコア化して検討すると、男女とも炭水化物摂取量が少なくなるほど死亡率は有意に高まった。しかし、植物性蛋白質を多く摂取した場合は逆に死亡率が低下した。「低炭水化物食を指導する場合は蛋白質や脂肪の質を考慮して行うべき」とした。
 以上から、同氏は「低炭水化物食の適応は腎機能正常の肥満者が好ましく、食物繊維・ビタミン・ミネラルが不足しないよう野菜を十分摂取し、脂質や蛋白質の質も考慮した食事指導が望ましい」と述べた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “Nature”誌がHPVワクチン反対... | トップ | 小児喘息への抗コリン薬追加... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療問題」カテゴリの最新記事