小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

太る原因は脂質? 糖質?

2023年03月13日 14時11分22秒 | 予防接種
私自身、もう5年以上“ロカボ”(炭水化物制限≒糖質制限)をしてきました。
手応えありで、それまでジワジワ増え続けた体重は、
標準+αに維持できています。
まあ、循環器系の持病はよくもわるくもなく、それなりの経過ですが。

糖質制限というと「甘いものを絶つ」というイメージですが、
それだけではダイエット効果はありません。

炭水化物を摂取すると腸の中で消化され、
体内にはその最終分解物である「ブドウ糖」として吸収されます。

これって「甘いもの」と同じルートなんです。

つまり、炭水化物を制限しないとダイエット効果は期待できません。

炭水化物とは、いわゆる“主食”であり、穀類です。
米、小麦、トウモロコシ・・・

日本では弥生時代に農作が始まり、
米を主食としてから食物供給が安定し、
爆発的に人口が増えました。

視点を変えると、炭水化物に依存する食生活になりました。

もともとインスリンは、飢餓状態に備えるホルモンです。
食物にありつけたときに、
余剰の糖質を脂肪細胞に取り込んで、
食べ物がないときにそれを取り出して使うのです。

しかし飽食の時代と言われる現代では、
常に糖質を必要以上に摂取しているため、
「肥満ホルモン」などと不名誉な名前で呼ばれるようになりました。

視点を変えると、
ごはんを食べないだけでシンプルにダイエット可能です。
体が必要とする適切な糖質量に抑えることにより、
脂肪細胞にたまっている脂肪を燃焼させることができます。

逆に「米を食べないと食事した気になれない」人は、
「糖質中毒」「炭水化物中毒」
という“病名”がつきます。

さて、以前から糖質制限に関して、
密かに疑問を持ち続けてきました。

・ロカボでは炭水化物を取り過ぎると脂肪として貯まるという説明だが、脂肪を過剰摂取するとどうなるのか?
・ロカボではカロリー制限は必要ないとされるが、余ったカロリーはどこへ消えるのか?

最近コンビニで見つけて読んだ啓蒙本が、この疑問に答えてくれました。
面白いほどよくわかる糖質の新常識」(前川智著、宝島社、2022年発行)
カラーイラストや図が多く、わかりやすい言葉で書かれています。
そこには・・・

・過剰な糖質摂取は脂肪になるが、脂肪を過剰摂取しても脂肪になる。
・ロカボでもカロリーを取り過ぎるとダイエット効果を期待できない。

まあ、当然と言えば当然の答えですが、
従来の「ロカボ推進派」の方々はこれらの説明を端折ってきましたので。

さて、ほかにも参考になる知識がちりばめられていましたので、
メモしておきます。

・日本人の1日の糖質の平均摂取量は230g(角砂糖47個分)
 ダイエット外来に来る人は、平均450g(角砂糖112個分)
 
 → 太るはずです。

・誤った知識例;
「果物は食べても太らない」 → 果糖は砂糖より太りやすい。
「食事回数は多い方がよい」 → 回数ではなく合計カロリー量で決まります。

・日本人は食事≒米を食べるという意識が染みついている。
 まずそのイメージを払拭すべし;
 朝ご飯は朝食と呼ぼう!
 昼ご飯はランチと呼ぼう!
 ごはんを食事と呼ぼう!

・草食動物はだらだら食べる
 肉食動物はエネルギー不足になったときだけ補給する
 → 肉食動物の食事習慣の方が太らない

・・・身の回りに常にお菓子がないと落ち着かないあなた。
 だらだら食いをしていては脂肪は増えるばかりです。

・カロリー制限では脂質が肥満の原因とされているが、それは間違い。
 太る原因は脂質ではなく糖質。

 → 血糖値を上げるのは糖質のみで、
 脂肪やタンパク質は血糖値を上げません。
 脂肪に直結するのは脂肪、ではなく糖質が主役なのです。

・「脂質はいくらでも食べていい」も間違い。

 → 脂質も過剰であれば糖質の次に脂肪細胞に取り込まれます。

・果物はビタミンCが豊富で健康にいい → 果物は糖質の塊!
 果物にはブドウ糖の約2倍の甘味がある「果糖」という糖質が多く含まれており、
 ブドウ糖よりも脂肪として蓄積されやすく太りやすい。
 健康な人が常食すると、糖質過多により生活習慣病を引き起こし、
 逆に病気になりかねない。

 → 砂糖の成分であるブドウ糖よりも果糖の方が脂肪になりやすい!
 ダイエットで思うように体重の落ちないあなた、
 果物をたくさん食べていませんか?

・ビタミンCは緑黄食野菜(パプリカ、ブロッコリー、ミニトマト等)にも多く含まれる。
 ただし、ビタミンCは水溶性で、茹でると流れてしまう。

・ブドウ糖と果糖の違い
 ブドウ糖は小腸で吸収され閑蔵を通過して血中へ(血糖値が上がる)
 果糖は小腸で吸収された後そのまま肝臓に運ばれて代謝されるので、
 血糖値を上げないが脂肪に変換され肥満の原因になる。

 → これは“目からうろこ”ですねえ。

・果汁100%のジュースは体に悪い。
 果糖たっぷり → 肥満の素を飲んでいるようなもの。

・ペットボトルの清涼飲料水は糖質たっぷり。
500mlのペットボトルに含まれる砂糖の量を角砂糖に換算すると・・・
 コーラ  → 角砂糖14.3個
 オレンジジュース  → 角砂糖13.4個
 ミルクティー  → 角砂糖9.6個
 スポーツドリンク  → 角砂糖6.4個

・スポーツドリンクは熱中症対策にならない?
 糖質を多く含むため短時間に多量に飲むと、
 ペットボトル症候群につながるリスクがある。

TVのCMで盛んに宣伝されている「ポ〇リス〇ット」、
糖質をたっぷり含んでます。
500mlのペットボトルを2本飲むと、
なんと角砂糖13個分を食べるのと一緒です。
たくさん飲むとかえって健康に悪いので、気をつけましょう。
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