魚アレルギーは、結構複雑で一口に説明することが難しい。
さらに新しい事実が次々に出てくるのでアップデートする必要あり。
今回、島根医科大学の千貫DrのWEBレクチャーを聴講したら、
「あれ、そうだったんだ」
とうなづける内容が盛りだくさんだったので、メモ書きを残しておきます。
・アトピー性皮膚炎に合併する魚アレルギーの臨床症状はOAS(oral alergy syndrome, 口腔アレルギー症候群)が多く、原因アレルゲンはパルブアルブミンと思われる。
・魚のFDEIA(food dependent exercise induced anaphylaxis, 食物依存性運動誘発アナフィラキシー)の原因アレルゲンはゼラチン(コラーゲン)と思われる。
・経験ではアカウオに反応する症例が圧倒的に多い。アカウオとは、メヌケ類の流通上の名称で、一例をあげるとアラスカメヌケはカサゴ目フカサゴ科(あるいはメバル科)メバル属に属する海水魚でパルブアルブミン含有量が多い。
・各魚に含まれるパルブアルブミン量は多い順に、
マアジ(11.6-19.7)
ハモ(5.7-13.7)
ウナギ(10.2)
メバル(8.9-9.8)
アカアマダイ(3.9-9.6)
キンメダイ(6.9)
イサキ(4.4-6.8)
トビウオ(2.8-6.5)
マイワシ(2.6-3.4)
マサバ(2.4)
メバチマグロ(0.33)
カツオ(0.25)
トラフグ(0.1‐0.2)
→ アカウオ(メバル属)で症状が出る場合は、湿疹をタイトコントロールし、パルブアルブミン含有量の少ない魚(メバチマグロ、カツオ)から試すのがよい。
・各魚に含まれるコラーゲン量は多い順に、
キンメダイ(3.5)
ウナギ(2.3)
マサバ(1.5)
メバチマグロ(1.4)
カツオ(1.0)
・魚アレルギー(平均14.6歳)とアニサキスアレルギー(平均64.3歳)は40歳を境にきれいに分かれる(千貫Drの経験)。
・・・私の経験でも「アカウオ」を食べて症状が出た患者さんがいました。当時は「アカウオって何?」くらいの知識しかありませんでしたが、上記のようなバックグラウンドがあったのですね。
また、何を食べても症状が出てしまう魚アレルギー患者さんの治療方針も参考になりました。
「皮膚をつるつるにきれいにして、メバチマグロとカツオから試し始める」
明日からの診療に役立ちそうです。