小児アレルギー科医の視線

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新型コロナウイルスは「空気感染」するとWHOが定義しました(2024年)

2024年05月16日 15時52分30秒 | 予防接種
病原体の感染経路は従来3つに分類されていました;

1.接触感染
2.飛沫感染
3.空気感染

新型コロナウイルスが登場したときからずっと、
この病原体の感染経路が議論されてきました。
リアルワールドでのデータは、

2.飛沫感染では説明しきれない感染拡大
3.空気感染するほど感染率は高くない

というもので、はてどう理解したらよいのか、
専門家の間でも一致した考えはなかなか出ませんでした。

そこで苦肉の策としてひねり出したのが「エアロゾル感染」というワード。
イメージとしては飛沫感染と空気感染の間に位置し、
一応、粒子の大きさで分類されるようですが、
未だに正式な医学用語として認められていません。

そこに今回の情報が入ってきました。
WHOが「新型コロナウイルスは空気感染する」と定義したのです。
そして「粒子の大きさにかかわらず空気中に飛散した物体を介して感染する経路を“空気感染”と再定義したのでした。
つまり、粒子の大きさをもとに分類してきた
「飛沫感染」「エアロゾル感染」「空気感染」
の3つをグイッと一つにまとめてしまったのです。
これは画期的!

解説記事を引用させていただきます;

■ 「合意された『空気感染』の定義─コロナ禍の轍をふまない対策を」
小倉和也(NPO地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク共同代表、医療法人はちのへファミリークリニック理事長)
2024-05-13:日本医事新報社)より一部抜粋;
 コロナ禍が始まった当初から、コロナが空気感染であるか否かと合わせて議論されてきた「空気感染」の定義について、WHOと各分野の専門家が合意したことが発表された1)。これにより、大きさを問わず空気中へ飛散した物体を介して感染する経路を、総じて「空気感染」とすることが確認され、コロナもこれに含まれることが明示された。
 そもそも空気中に放出された病原体を含む粒子が、飛沫としてすぐに落下してしまうか、エアロゾルとして空気中にとどまり飛沫が及ぶ距離や時間を越えて広がるかどうかは、粒子の大きさだけでは決まらず、空気の流れや湿度など様々な要因に左右される。にもかかわらず、医学においては長らく「5μm」までの粒子を飛沫、それより小さい粒子をエアロゾルと定められ、前者による感染は1〜2m以上離れていれば広まらないとされてきた。
 しかし、その大きさは最初の記載では肺の奥まで到達しやすい粒子の大きさとして言及されたものが、空気中にとどまるエアロゾルの大きさの基準と混同されただけであったことも既に示されていた2)。・・・
 また、ダイヤモンド・プリンセス号での感染拡大は、コロナが空気感染である可能性を最も早く理解する機会であり、海外からもそのような指摘があったがその後多くの命を救うことに結びつけられなかったことも残念でならない3)。
・・・
 コロナ禍が始まった当初、空気感染はしない、人から人への感染はない、だから広範な検査は必要ないとされたことは、その後多くの命を奪うことにつながった。この轍をふまず、早急に対策を進める必要があるとの指摘に強く同意する4)。

【文献】
1)WHO公式サイト:Global technical consultation report on proposed terminology for pathogens that transmit through the air.(2024年4月18日)
https://www.who.int/publications/m/item/global-technical-consultation-report-on-proposed-terminology-for-pathogens-that-transmit-through-the-air
2)Randall K, et al:Interface Focus. 2021;11(6):20210049.
3)Almiraji O:Aerosol Air Qual Res. 2020;21(4):200495.
4)The New York Times公式サイト:OPINION. This May Be Our Last Chance to Halt Bird Flu in Humans and We Are Blowing It.(2024年4月24日)
https://www.nytimes.com/2024/04/24/opinion/bird-flu-cow-outbreak.html


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