小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

新型コロナが五類に移行して1年、現在の状況は?

2024年05月18日 06時55分13秒 | 予防接種
2023年5月に新型コロナが五類相当に格下げされ、
感染対策が緩和されました。

その後、感染対策で抑制されていた他の感染症が、
「やっと出番が来た!」
とばかりにリバウンド流行しました。

それから約1年、現在の状況はどうなっているでしょう?
我々はコロナとどうつき合っていけばよいのでしょうか。

以下の記事を参考に確認してみました。

私がポイントと感じた箇所;

・感染対策が緩和されてもコロナ流行に大きな変化なし。逆に考えると、夏にまた流行がある可能性あり。

・若年者は軽症で済むが、高齢者は重症化のリスクがあることも変わりない。
 → 厚労省は65歳以上の高齢者を対象にワクチンの追加接種を行う予定

・インフルエンザは9月から流行が始まり4月まで続いた。これは感染対策緩和の反動と考えられる。今後は元の流行パターンに戻るだろう。

・影を潜めていた咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナ、A群溶連菌咽頭炎などが季節を問わず流行した。これも感染対策緩和の反動と思われ、今後は従来の流行パターンに戻るだろう。

・ただし、マイコプラズマ感染症だけはリバウンド流行が観察されていない、今後の動向に要注意。

・マスク着用を継続するのは非現実的だが、せめて頻繁な手洗いを続けていけば、呼吸器感染症は社会から少なくなっていくはず。

概ね頷けますが、最後の「せめて手洗いだけは続けよう」はちょっとさみしい表現ですね。
私は60歳で、持病持ちなのでハイリスク者です。コロナに感染したら重症化する可能性があり、人混みではマスクを外せません。
高齢者施設では、五類相当になってからもきびしい感染対策が続けられています。


■ コロナ5類移行で感染症全体に異変
2024/5/17:JIJI.com)より一部抜粋;

 新型コロナウイルス感染症が5類に移行して1年が経過しました。移行後に予防対策が緩和されても、新型コロナの流行状況に大きな変化は起きていませんが、インフルエンザなど、それ以外の呼吸器感染症の流行に影響が見られています。・・・
◇コロナに変化なし
・・・
 2023年5月8日、新型コロナが感染症法の2類相当から5類に移行されました。これに伴い、政府が国民に感染対策を一律に求めることはなくなり、個人や事業者の判断で実施するようになりました。すなわち、新型コロナの予防対策が大きく緩和されたのです。患者数の把握も、全数ではなく定点医療機関からの報告に基づく対応になりました。 
 こうした予防対策の緩和で新型コロナの拡大も懸念されましたが、この1年間は大きな変化なく経過しています。「変化がない」というのは、夏と冬の流行を5類移行前と同程度の規模で繰り返しているという意味です。 
 新型コロナの流行が始まってから、国民の多くは感染やワクチン接種により、新型コロナウイルスに一定の免疫を持つにようになりました。このように免疫を獲得した人が多い状況下であれば、予防対策をある程度緩和しても流行が大きく拡大することはないのです。さらに、この1年間はウイルスが大きな変異を起こしていないことも拡大しなかった要因と言えます。
◇高齢者はまだ重症化する
 5類移行後の1年間はウイルスの病原性も変化することはなく、若い人は感染してもほとんどが軽症で回復するようになりました。その一方で、高齢者の場合は重症化するケースも少なくありません。 
 厚生労働省が発表する人口動態統計によれば、5類移行後の23年5月から11月までの新型コロナによる死亡者数は約1万6000人で、その大多数は高齢者でした。移行前の22年5月から11月は、死亡者数が約2万4000人だったので減少していますが、相変わらず死亡者数の多いことが分かります。 
 つまり、高齢者にとって、新型コロナは今も5類移行前と同様に重症化する可能性があり、流行が拡大する冬の季節などには、十分な予防対策が必要になるのです。厚労省も今秋には、65歳以上の高齢者を対象にワクチンの追加接種を行う予定にしています。
◇インフルエンザの変則流行
 このように、5類移行後も新型コロナの流行に大きな変化は見られていませんが、それ以外の呼吸器感染症には異変が起きています。 
 顕著な例がインフルエンザです。日本では21年、22年とインフルエンザの流行が全く見られませんでした。要因は幾つかありますが、新型コロナ対策で国際交通を止めたことが大きいと思います。 
 23年は国際交通がある程度回復し、1~2月には3シーズンぶりにインフルエンザの流行が起こりました。ただ、この時期は新型コロナが2類相当で、国民の皆さんは予防対策を強化していたため、小規模で終わりました。そして、5類に移行した5月以降、インフルエンザの患者が少数ながら発生し、9月に入ってから大きな流行になったのです。これは24年4月まで続きました。 
 このように、23年秋から24年春まで長期にわたり流行が続いたのは、過去2シーズンにわたりインフルエンザの流行が無かったためです。それまで、私たちは毎年冬の季節、インフルエンザウイルスの暴露を受けて一定の免疫を得ていました。しかし、コロナ対策によってその機会が無くなり、免疫が低下していたのです。そんな状況下、コロナ対策を緩和したことで、インフルエンザが拡大したと考えられます。 
 23年からの流行では多くの国民が免疫を再獲得しており、次のシーズンには例年並みに戻ると思います。
◇小児の呼吸器感染症も増加
 咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルパンギーナ、A群溶連菌咽頭炎など、小児を中心にまん延する呼吸器感染症も、新型コロナが発生してからしばらくは流行が見られませんでした。こうした感染症は飛沫(ひまつ)や接触で感染するため、新型コロナ対策でマスク着用や手洗いを強化したことにより広がらなくなったのです。そして5類移行後、予防対策が緩和されてから流行が再燃しました。 
 これらの感染症への免疫も、流行がしばらく無かった間に低下しており、患者数がコロナ前より増えているとともに、変則的な流行も見られています。例えば咽頭結膜熱は、本来は夏に拡大しますが、23年は秋から冬にかけて患者数が増加しました。このような患者数増加や変則流行も、次第に本来の状況に戻っていくと思います。 
 一つ気がかりなのがマイコプラズマ肺炎です。この呼吸器感染症は小児だけでなく大人もかかりやすい病気ですが、新型コロナが発生してから患者発生はほとんどなく、5類移行後も再燃していません。そろそろ大きな流行が起きることを想定しておく必要があるでしょう。
◇手洗いだけは続けよう
 新型コロナが発生する前まで、インフルエンザなどの呼吸器感染症は国民の間で毎年のようにまん延し、医療にも大きな負荷をかけてきました。しかし、新型コロナ禍を受け、マスク着用や手洗いなどの感染対策を強化したことにより、呼吸器感染症そのものが一時的に減りました。「この影響で免疫が低下した」とも言えますが、もし、私たちがこうした感染対策を続けることができれば、呼吸器感染症による医療への負荷を今後も軽減できるかもしれません。  マスク着用を継続するのは非現実的ですが、せめて頻繁な手洗いを続けていけば、呼吸器感染症は社会から少なくなっていくはずです。これは、今回の新型コロナ禍を経験して私たちが学んだ貴重な知恵だと思います。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新型コロナウイルスは「空気... | トップ | 舌小帯短縮症は、どこから病気? »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

予防接種」カテゴリの最新記事