HPVワクチン(≒ 子宮頚がんワクチン)が2022年4月に復権しました。
長らく続いた「定期接種勧奨停止」状態が解除されたのです。
つまり、「定期接種勧奨」に戻ったということ。
これで世界標準となり、たくさんの日本人女性の命が助かります。
なにせ、子宮頚がんで毎年3000人弱の日本人女性が死亡しているのですから。
以前から感じていることですが、
日本人は国民皆保険で医療が発達している副作用なのか、
予防医学に対する関心と価値観が乏しいですね。
そして予防医学、特にワクチンの副作用(副反応)には過剰反応を示します。
これって「平和ボケ」という側面もあるかと。
日本人には、
「病気になったら医者にかかればいい」
という観念が根底にありますよね。
しかし世界を見渡すと、適切な医療に手が届かない国民・民族がたくさん存在します。
「病気になっても医者にかかることができない」
そこでワクチンが重視される背景には、
「命に関わる病気を予防できるワクチンがあればそれが優先される」
という単純な論理があります。
さらに「ワクチン反対」を称えて金儲けをする輩も暗躍しています。
amazonで「ワクチン」と検索すると、
ワクチン反対本が上位を占め、評価が異常に高いことがわかります。
…人の不安・弱みにつけ込む商売は反社会勢力と同じニオイを感じます。
さて、本題に入ります。
HPVワクチンは3種類存在します。
それぞれ、含んでいるサブタイプ(血清型)の数が異なります。
発売された順に、含まれる血清型の数が増えてきました。
1.サーバリックス®(2価):16、18
2.ガーダシル®(4価):6、11、16、18
3.シルガード9®(9価):6、11、16、18、31、33、45、52、58
なお、6と11は子宮頚がんではなく尖圭コンジローマをターゲットとしています。
子宮頚がんの原因ウイルスの血清型は16と18で70%をカバーし、
シルガード9に含まれる血清型全部では90%以上をカバーするとされています。
そして3つのワクチンすべてが定期接種として、
小学6年生女子〜高校2年生女子に勧奨されています。
海外では男子も接種対象ですが、
現時点では日本では対象外です。
この3つのワクチン、
面倒くさいことに接種対象と接種間隔の設定が微妙に異なります。
1.サーバリックス:10歳以上
1回目と2回目の間隔は1ヶ月
2回目と3回目の間隔は2ヶ月半
2.ガーダシル:9歳以上
1回目と2回目の間隔は1ヶ月
2回目と3回目の間隔は3ヶ月
※ 男性も任意接種可
3.シルガード9:9歳以上
1回目と2回目の間隔は1ヶ月
2回目と3回目の間隔は3ヶ月
※ 15歳未満で開始した場合、5ヶ月以上間隔で2回接種で可
いつも思うのですが、予防接種行政ってこのズレを統一できないんでしょうか?
上記ルールから1日でもはずれると医師は犯罪者のように扱われ、
「定期接種外になるので補助は受けられません」
と開業医が持ち出しで費用を負担する❌️が発生します。
…予防接種に関してはあちこちにトラップがあると構えて日々対処する必要があります。
それからHPVワクチンに関しては、
「キャッチアップ接種」が話題となっています。
積極的勧奨停止で接種する機会を逃した女性に対する救済措置です。
その対象者は、
1997年4月2日〜2006年4月1日生まれの女性
(=2024年度に19〜27歳の誕生日を迎える女性)
過去にHPVワクチン接種を合計3回受けていないことが条件
→ 2022年4月から2025年3月までの3年間、公費接種可能
という内容です。
以上が現状ですが、複数のワクチンが存在する故の素朴な疑問が発生してきます。
Q.2価または4価ワクチン接種完了後(つまり子宮頚がん原因ウイルスの7割カバー)、さらなる効果を求めて9価ワクチン(子宮頚がん原因ウイルスの9割カバー)を追加可能か?
A.推奨しない。
Q.途中からほかのHPVワクチンに変更可能か?
A.原則として同じワクチンを接種(ただし医師と相談の上で変更可能)。
これを読むと、2025年3月までに3回接種終了するためには6ヶ月必要、
つまり2024年9月が実質上のタイムリミットになるはずでした…が!