日本の医療には希薄な、C/P比。
外国ではしっかり評価されます。
■ 小児期ワクチンへの投資利益率は高い
(2016-02-15:Reuters Health By C. Vidya Shankar MD)
ニューヨーク(ロイターヘルス) - 新しい研究によると、資源不足の国で実施する小児期ワクチンを投資と見なした場合、それは莫大な利益を生むということである。
貨幣価値で見ると、疾患の予防、死亡の回避、そして寿命の延長により、予防接種に費やした金額1ドル当たり44ドルの利益となるとHealth Affairs 2月号で研究者らが報告している。
「予防接種は優れた投資である」と、ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のSachiko Ozawa先生はReuters Healthへeメールで伝えた。「しかし2011年~2020年の推定投資利益率を現実のものとするためには、予防接種プログラム遂行のために必要と予測される財源を、それぞれの国は今後5年間得る必要がある」と、彼女は強調した。
投資利益率とは利益性の尺度で、利益と投資費用との比率である。利益を通貨単位で定量化しているため、費用対効果よりも理解し易い。
「各セクターに渡って財政上の決定を下すため、エビデンスを必要とする政策立案者にとっては、とりわけこの多用途性が重要である」と、研究者らは説明した。
研究者らは、2011年~2020年の、低中所得国94か国における10の疾患を対象とした予防接種プログラムに関して、投資利益率を推定した。費用と経済的利益との差を費用で除すことにより、投資利益率を算出した。
予防接種プログラムには、ヘモフィルスインフルエンザb菌、B型肝炎、ヒトパピローマウイルス、日本脳炎、麻疹、髄膜炎菌血清型A、ロタウイルス、風疹、肺炎球菌、そして黄熱病に対するものが含まれている。原価計算には、ワクチン費用、サプライチェーン、サービスの交付に関する各国の推定値を用いた。経済的利益については、治療コスト、交通費、生産性の損失を考慮に入れた「疾病費用」法を用いた。
寿命延長と障害の減少を含む「最大所得」の推定も行った。平均余命を1年延長させることを、一人当たり国内総生産(GDP)の1.6倍の価値と見なし、ワクチンで予防可能な疾患を原因とした障害は「障害の程度によるウエイト付け」を用いて推定した。推定には決定木経済モデルを用い、不確実性解析のために確率的感度分析を行った。
全体として、全地域と全てのワクチンに渡る予防接種の対投資利益の価値は、疾病費用モデルでは費用の16倍、最大所得推定を用いた場合は費用の44倍であった。GAVIアライアンスから支援を受けている低所得国の対投資利益は、二つのモデルについて、それぞれ17倍と47倍まで増加した。
推定利益は、南アジアとサハラ以南のアフリカで、それぞれ27倍、16倍と最も高く、米州が最も低かった(2倍)。使用されている混合ワクチンの差が、原因である可能性があると彼らは推論した。
それぞれのワクチンの間では麻疹ワクチンが最も利益性が高く、その利益は費用の58倍であったが、彼らはそれを価格の低さと接種率の高さ、そして有効性によるものであると考えた。
GDPなどのマクロ経済変数、集団免疫の効果、長期的なワクチンの有効性は考慮に入れておらず、ワクチンの費用と効果に関するデータが不足していたことからも制約を受けたと研究者らは記述している。しかしなお、「『ワクチンの10年』間の予防接種に関する投資利益率の推定値が、我々の分析から初めて得られている」と、Ozawa先生は述べた。
「予防接種プログラムから得られる、大きく肯定的な投資利益率を実現するためには、政府と援助資金供与者が必要な投資を行うことが絶対不可欠である」と研究者らは結論付けた。
外国ではしっかり評価されます。
■ 小児期ワクチンへの投資利益率は高い
(2016-02-15:Reuters Health By C. Vidya Shankar MD)
ニューヨーク(ロイターヘルス) - 新しい研究によると、資源不足の国で実施する小児期ワクチンを投資と見なした場合、それは莫大な利益を生むということである。
貨幣価値で見ると、疾患の予防、死亡の回避、そして寿命の延長により、予防接種に費やした金額1ドル当たり44ドルの利益となるとHealth Affairs 2月号で研究者らが報告している。
「予防接種は優れた投資である」と、ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のSachiko Ozawa先生はReuters Healthへeメールで伝えた。「しかし2011年~2020年の推定投資利益率を現実のものとするためには、予防接種プログラム遂行のために必要と予測される財源を、それぞれの国は今後5年間得る必要がある」と、彼女は強調した。
投資利益率とは利益性の尺度で、利益と投資費用との比率である。利益を通貨単位で定量化しているため、費用対効果よりも理解し易い。
「各セクターに渡って財政上の決定を下すため、エビデンスを必要とする政策立案者にとっては、とりわけこの多用途性が重要である」と、研究者らは説明した。
研究者らは、2011年~2020年の、低中所得国94か国における10の疾患を対象とした予防接種プログラムに関して、投資利益率を推定した。費用と経済的利益との差を費用で除すことにより、投資利益率を算出した。
予防接種プログラムには、ヘモフィルスインフルエンザb菌、B型肝炎、ヒトパピローマウイルス、日本脳炎、麻疹、髄膜炎菌血清型A、ロタウイルス、風疹、肺炎球菌、そして黄熱病に対するものが含まれている。原価計算には、ワクチン費用、サプライチェーン、サービスの交付に関する各国の推定値を用いた。経済的利益については、治療コスト、交通費、生産性の損失を考慮に入れた「疾病費用」法を用いた。
寿命延長と障害の減少を含む「最大所得」の推定も行った。平均余命を1年延長させることを、一人当たり国内総生産(GDP)の1.6倍の価値と見なし、ワクチンで予防可能な疾患を原因とした障害は「障害の程度によるウエイト付け」を用いて推定した。推定には決定木経済モデルを用い、不確実性解析のために確率的感度分析を行った。
全体として、全地域と全てのワクチンに渡る予防接種の対投資利益の価値は、疾病費用モデルでは費用の16倍、最大所得推定を用いた場合は費用の44倍であった。GAVIアライアンスから支援を受けている低所得国の対投資利益は、二つのモデルについて、それぞれ17倍と47倍まで増加した。
推定利益は、南アジアとサハラ以南のアフリカで、それぞれ27倍、16倍と最も高く、米州が最も低かった(2倍)。使用されている混合ワクチンの差が、原因である可能性があると彼らは推論した。
それぞれのワクチンの間では麻疹ワクチンが最も利益性が高く、その利益は費用の58倍であったが、彼らはそれを価格の低さと接種率の高さ、そして有効性によるものであると考えた。
GDPなどのマクロ経済変数、集団免疫の効果、長期的なワクチンの有効性は考慮に入れておらず、ワクチンの費用と効果に関するデータが不足していたことからも制約を受けたと研究者らは記述している。しかしなお、「『ワクチンの10年』間の予防接種に関する投資利益率の推定値が、我々の分析から初めて得られている」と、Ozawa先生は述べた。
「予防接種プログラムから得られる、大きく肯定的な投資利益率を実現するためには、政府と援助資金供与者が必要な投資を行うことが絶対不可欠である」と研究者らは結論付けた。