前項に引きつづき、昔から疑問に思っているアレルギー症状の分類に「のどの違和感」があります。
「消化器症状」、いや「呼吸器症状」?
近年は「皮膚・粘膜症状」という表現も出てきました。
この分類にこだわる理由は、その帰属によりアナフィラキシーか、そうでないかが決まるためです。
例えば、卵を食べてじんま疹が出たほかに、のどの違和感を感じたら・・・
「皮膚・粘膜症状」と考えればアナフィラキシーではないし、
「消化器症状」「呼吸器症状」と捉えればアナフィラキシーの概念(複数選択可の臓器にまたがる症状)に当てはまるし・・・
重症度判定に影響が出そうです。
■ 「アナフィラキシーガイドライン2014」(日本アレルギー学会・作成)
ここでは「粘膜症状」(口唇・舌・口蓋垂の腫脹など)に含まれています。
■ 「食物アレルギーガイドライン2016」(日本小児アレルギー学会・作成)
ここではなんと一つのガイドラインの中に二つの解釈が記載されており、矛盾しています。
表1-3では「粘膜症状」(咽頭・舌の違和感)、
表10-1では「消化器症状」(のどの痒み、違和感)に分類されています。
■ 「一般向けエピペン®の適応」(日本小児アレルギー学会・作成)
ここでは「のどの違和感」という単語は見当たりません。
あえて近い表現を拾うとすれば、「呼吸器の症状」に分類される「のどが締めつけられる」でしょうか。
■ 「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」(東京都・2018年に作成)
ここでは新たな分類「顔面 ・ 目 ・ 口 ・ 鼻の症状」の中に「口の中の違和感」として含まれています。
「呼吸器症状」「消化器症状」「皮膚・粘膜症状」はそれぞれ別に記載があります。
はて?
「じんま疹」が出て、かつ「のどの違和感」があれば、複数臓器だからアナフィラキシーと見なしていいのでしょうか?
あ、「呼吸器の症状」の中に「のどが締めつけられる」という症状もありますね。
小学生以上なら「のどが変」「のどが苦しい」と区別して訴えられるかもしれませんが、
乳幼児ではぐずったりのどに手を当てて泣くだけなので、区別は困難です。
「意識消失」に引きつづき、「のどの違和感」も迷子になってしまいました。
混乱を避けるため、学会レベルで定義を統一していただくことを強く希望します。