小児アレルギー科医の視線

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妊婦感染症による先天性障害「TORCH(トーチ)症候群」

2017年05月03日 06時53分31秒 | 小児医療
 赤ちゃんには何の罪もないのに、生まれつき障害を抱えてしまう感染症。
 最近では先天性風疹症候群が社会問題になりましたが、他にもあります。
 私が学生の頃(30年前)からTORCH(トーチ)症候群として有名でした。
 
 T:Toxoplasma(トキソプラズマ)
 O:Others(その他:梅毒、HIV、HCV、HBV等)
 R:Rubella(風疹)
 C:Cytomegalo(サイトメガロ)
 H:Herpes simplex(単純ヘルペス)

 この中で、風疹とHBV(B型肝炎)のみワクチンで予防可能です。
 他の感染症を予防する手段はあるのでしょうか?
 以下の報告によると、

トキソプラズマ:肉の生食や猫の糞から感染することが多い。食生活や育児、ペットの飼育に関する指導が必要になる。「生肉やレアステーキ、ローストビーフ、生ハムなど加熱不十分な肉を食べないように」「妊娠中に子猫を飼わない、猫の糞を触らない」といった指導。

サイトメガロウイルス:集団生活を送っている子どもの体液(唾液や尿など)との接触が最大のリスクとなる。集団生活では密に子どもが接するため、唾液などに触れる機会が多く、そこで感染した子どもに妊婦が接すると新たな感染を起こす。そのため、「子どもと食べ物や食器を共用しない」「上の子がいる場合、おむつ替えの後は手洗いを徹底する」などの指導が有効。

 と記されています。これらを励行すると、感染リスクが1/10に減るそうです。

 生肉は食中毒対策としても避けた方がベター。
 屋内で猫を飼っている家庭はアウト。
 子育て中のお母さんは子どもから風邪をよくもらいますが、それを阻止する予防対策をふだんから習慣づけることが大切ですね。

■ 見逃される先天性感染症「TORCH症候群」
2017/4/3:日経メディカル

 もう一つ、上記記事でも触れられているサイトメガロウイルス対策の記事を。
 近年、妊婦の抗体保有率が低下傾向・・・つまり妊婦が初感染して胎児が感染し障害を抱えるリスクが高くなってきていることが報告されています。

<font size="3">■ サイトメガロウイルス感染、早期発見への挑戦
2017/4/4:日経メディカル
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