かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

たまには書物のレビューでもしてみましょう。「海島冐險奇譚 海底軍艦」です。

2014-10-27 21:09:29 | アニメ特撮
 昨日の夜は雷は鳴る大雨は降るで大変うるさい一夜でした。お陰で今日は寝不足気味でしたが、秋も深まろうというこの時にこんな嵐の一夜があろうとは、少々意表を突かれました。そして今日は近畿地方で木枯らし1号が吹いたのだそうです。そう言えばちょっと風が強いなと思った時もありましたが、にわか雨がバラバラ降っていた時がそれだったんでしょうか。その後急に冷え込みが強くなってきましたが、これからは雨が降る度に寒くなってくるんでしょうね。木枯らし1号も昨年より8日早いそうですから、今年の冬は早くやってくるのかも。とりあえず明日朝はぐっと冷え込むそうですから、暖かくして寝るようにしたいと思います。
 
 さて、たまには本の感想でも書いてみましょう。
 題名は「海島冐險奇譚 海底軍艦」、作者は押川春浪です。たまたまアマゾンの無料版で見かけたので、タブレットに入れて読んでみる気になりました。明治33年(1900年)の作品と言いますから、夏目漱石などとほぼ同時代の文学作品になります。その古色蒼然とした文章形式にニヤニヤしながら読んでいたのですが、なかなかどうして、人を引き込む冒険奇譚として、結構面白いものがありました。
 表題にもなっている「海底軍艦」こと電光艇は作中でほんの少ししか出てこないのですが、まだ石炭焚いてもくもくと黒煙を上げながらえっちらおっちら船が走っていた明治時代にあって、特殊な薬液をエネルギー源に100ノット以上の超高速で海中を突っ走るなんてよく想像できたものです。さすがにレーダーやソナーはおろか、無線すら出てこないという、電気科学関係はほとんど皆無なところはご愛嬌ではありますが、ラストの海戦描写などには結構迫力もありました。
 それにしても、よくこれを下敷きにして、「海底軍艦」なんて映画を作れたものだ、と昭和38年の東宝製作陣にはほとほと感心しました。なんと言うなればストーリー的にほとんどその面影など無いのですから。科学に堪能な海軍大佐が数十名の部下達と絶海の孤島で驚天動地の新戦闘艦を創り上げる、というところ以外、全く似ても似つかぬお話なのです。あと電光艇のデザインはちょっとだけ轟天号に反映されているようですね。でもさすがに私もここまで違う話だとは想像もしておらず、何時謎の敵が出て、電光艇の大活躍が出てくるのか、と思いながら読み進め、読み終えてからようやくそんなストーリーはない、ということに気づいた次第でした。これが実際の本なら左手に残る残ページ数でおよその見当もつくのですが、アプリで電子書籍として読んでいると、残りのページ数とか直感的に判りません。お陰で話がどこまで行くのか、とちょっとしたワクワク感が最後まで維持出来ましたが、終わった時の尻切れトンボ感もまた凄まじく、これはこれで電子書籍の欠点かな、と思わないでもありませんでした。
 
 まあ内容的には幼稚なほどにご都合主義が過ぎます。当時の少年読み物だったと聞きますから、それでよし、というところもあったのでしょう。今、アニメや漫画でスレた好きモノが読んでもそういう点では失笑するしか無いかもしれませんが、時代の空気感や古めかしい文体に耽溺でき、童心に帰ってのハラハラ・ドキドキを楽しみたい、と言った向きには良いのではないでしょうか。その文体だけでも、昨今の適当なラノベを読むよりよほど楽しいと私は思いました。


 
コメント
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