鈴鹿市議会議員 中西だいすけの活動日誌

鈴鹿市議会議員として年齢も含め5期目のベテランになりました。日々の活動や感じたこと、議会での動きなどをつづります。

自治体は競争から共生へ①

2022年10月21日 13時01分55秒 | Weblog

フェイスブックに「自治体間競争から自治体共生へフェイズが移ったのでは」と書いたことについて、今回は書いていきたいと思います。まず、“ 共生 ”という言葉について、weblio辞書を参照したところ、生物学での意味として以下のようになっているのですが、この中で「片利共生」と「寄生」については、自分のイメージの中に入っていません。

「共生」******

1 共に同じ所で生活すること。

2 異種の生物が、相互に作用し合う状態で生活すること。相利共生と片利共生があり、寄生も含めることがある。

**********

では1の“共に同じ所で生活すること”を、鈴鹿市で考えてみます。

まず市町とのつながりから、鈴鹿市は亀山市と鈴鹿亀山地区広域連合を形成して介護保険事業に取り組んでいますし、三重県の医療圏構想の中で北勢医療圏の中の鈴鹿亀山医療圏となっていたり、はしご車の共有、中学校の大会でも鈴亀地区などなど、いろいろなつながりを持っています。次の括りは北勢地域として、いなべ市、桑名市、四日市市、亀山市、東員町、菰野町、木曽岬町、朝日町、川越町の中に入ります。最近では消防の通信業務について、津市と亀山市とで指令業務の一本化に取り組まれています。そして、三重県、東海三県、中京圏、中部地方、日本国といった流れで、“共に同じ所で生活すること”のつながりがあるのではないでしょうか。

そのような中で私たちは、地理的にはもちろん様々な移動手段で物理的なつながりを持っていることはもちろんのこと、移動することを通して、心理的な面でもつながりを持つことになっているのではないでしょうか。それぞれのつながりの太さに違いはあっても、まったく切り離されるようにして存在する地域はないように思います。

自分も「自治体間競争」という言葉を使ったりもしていたのですが、違和感を感じるようになりました。それは自分の中にもともとあったものが、いろいろと知るものが増える中で、雪玉が転がるうちに大きくなるように、自分の考えの中で大きくなったのだと思います。

 

自分は尾鷲出身で、学生の時に関大前に住んでいた時期を除いて、幼稚園くらいの時から鈴鹿に住んでいますが、冬休みや夏休みに尾鷲に帰省したこともあって、自分にとって尾鷲は愛着を感じるまちです。子どもの頃に見た海山からトンネルを抜けて見える尾鷲の夜景や、商店街の風景、港でカツオ漁師の方からカツオを一本「やろか」と言われたことなど、自分の記憶に残っているものがたくさんあります。

ですが、その尾鷲は年を重ねるにつれて活気を失い、最近では残っていた火力発電の煙突もなくなり、景色が大きく変わりました。商店街はそのずっと前からさびれてしまっていて、往時の面影を感じることはできません。とはいえ、そのようになっている地域でも頑張られている方や、若い世代がきてがんばっていることも、いろいろな情報で目にします。

日本のいろいろな地域、地方で見られていることだと言われればそれまでなのですが、自分の中にある「自治体間競争」に対する「違和感」の根源は、このようなところにあるのだと思います。

このグラフは厚生労働省の資料からの引用ですが、1990年代半ばにはじまる生産年齢人口(15~64歳)の減少が要因の一つであるだろうとは思いますが、それだけでは地方の衰退の説明はつかないでしょう。産業構造の変化で就労も変化し居住地の移動があったことや、就労場所となる企業も外部に出ていったことがあるかもしれません。

・・・これまで自治体間で競争を行った結果がどうなのか、図らずとも競争となった結果どうなったのか。それが現在の状況ではないでしょうか。であるとするなら、「競争」という考えから離れる必要があると思います。

そして人口減少についても、冷静に考えるべきではないでしょうか。リンク先は総務省統計局が公開している人口推計ですが、2022年9月20日公表の速報では前年の同月と比較して、日本の総人口は1億2475万人で、前年同月に比べ“ 81万人 ”減少しているとあります。

■総務省:人口推計(令和4年(2022年)4月確定値、令和4年(2022年)9月概算値) (2022年9月20日公表)

9月30日現在の鈴鹿市の人口は19万6693人ですから、極論ですが1年で日本から鈴鹿市が約4つ無くなっていると考えられます。1年で数十万人単位で減っていっている事実実から目をそらして、自治体運営を夢物語で考えるわけにはいかない、と私は考えます。

話は少しずれますが、尾鷲出身の方はけっこう鈴鹿市などにお住まいです。小さなまちですから、話をしていると身内と知りあいだったりすることも多く、ずいぶん前、ローカル三重で設計士の方が建てた住宅を取材していた時に、話をしているとそのお宅の方は尾鷲出身で、祖父母が営んでいたお店のことを良く知っているということがありました。就労場所の関係などで尾鷲から出て移住された方が多いことが、今の状況につながっていることを感じさせられます。。。

ということは、“移住”を前提において人口増加を考えることは、他の地域からの移住を増やすということであり、その地域の人口流出とセットになった動きだと考えるべきです。そのことに考えを巡らせずに、「競争」という考えや意識で政策に取り組んでいるとしたら、いつか競争に疲弊するときが来るでしょうし、そうなったときのダメージはより大きくなるのではないでしょうか。

やはり「競争」という考えから離れる必要があると思います。

⇒ 「自治体は競争から共生へ②」へつづく

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