週末、録画してあった世界のドキュメンタリー「氷の世界に見る地球温暖化」とブラタモリ「東京湾~海の玄関口・東京湾原点は川にあり?~」を視聴したのですが、幕末以降、特に戦後の日本の状況から現在までにとらわれず、科学的な視点から今後を考えた取り組みの必要があると、ひしひしと感じていました。
ブラタモリでは、現在の東京湾が形成される中で、縄文海進の影響と利根川の東遷が取り上げられていました。縄文海進については、自分の過去の一般質問でも取り上げているのですが、縄文時代には“ 現在よりも気温が2℃高く、現在の標高4.4メートルのところが海岸線 ”だったといわれています。利根川上流河川事務所が公開している「利根川の東遷」に、そのことがわかりやすく書かれています。
■ブラタモリ「東京湾~海の玄関口・東京湾原点は川にあり?~」
これを見ると海進の影響だけでなく、利根川による「浸食、運搬、堆積」の力で、今の地形ができていることがよくわかります。
ということは、私たちはこれからの土地利用を考えるときに、“ 地形は自然の力で変わるものだ ”ということを前提にして、私たちの生活してきた時間や状況で考えるだけではなく、過去の状況について学び、それを踏まえながら可能性の未来をいくつも想定して、柔軟に適応していくようにするべきと思います。
世界のドキュメンタリー「氷の世界に見る地球温暖化」は、グリーンランドの氷河で夏季に氷河が融けることによってできる「甌穴」が取り上げられ、現地で調査をしている研究者を通して、それがどのような意味を持っているのかという内容でした。
内容の中で耳に残ったことは、言葉そのままではなく自分でまとめたもので、ニュアンスの違いがあるかもしれませんが、“ 現在の二酸化炭素排出抑制の動きは時間を稼ぐという程度 ”、“ 予測の幅が0~120センチあり正確に伝えるのは難しい ”、“ 甌穴を通じて氷河内部に流れている水は、夏季に融けた時のエネルギーを蓄えたままで、冬季も氷河を溶かし続けている ”、“ 融けた水がまた氷るには、再度氷期になる必要がある ”、ということでした。
今すぐ起こるとは言えないまでも、いずれ、どこかの時点で氷河が大きく動き、それによる影響が起こることは避けられないと、科学者は懸念しているというところで、番組は終わりました。
鈴鹿市はここ数年、大きな台風や豪雨などの気象災害に見舞われることが、日本のほかの地域と比べほとんどない状況です。ですが、全国では毎年どこかで大きな気象災害が起こってはいないでしょうか。
「特別警報」が発令されると、ニュースなどで“ 数十年に一度の ”という表現が流れます。それは異常災害ではなく、気候変動の影響が避けられず起こっていること、気候変動の影響から逃れられない時代に入っているからで、聞いていると自分は違和感を感じますし、具体的に災害状況がイメージできる表現が良いように思います。
気候変動の影響は、すでに短期的にもに出ていますし、長期的なものも視野に入っているでしょう。長期的な影響の海水面上昇は、もしかするとないかもしれないし、数百年で起こるかもしれないし、もしかすると、気温上昇が続くことで数十年で起こるかもしれません。
ですが、過去に気候変動の影響があったことは事実であることを考えると、想定できるリスクを未来の計画に織り込まないことは、リスクマネジメントの観点から課題があるはずです。
個人的な考えですが、いずれ大きく考え方や価値観を転換する必要が出る可能性が高い、数年単位ではなく数十年のうちにそれがもっとはっきりしてくるでしょう。次の画像は、資料「日本の気候変動2020」から引用したものです。
■出典:文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2020」概要版より引用
ここでは気温上昇に伴い、海水面は39センチから71センチの幅で上昇が予想されています。それに加えて、近年の台風などの状況を日本近海の海水面温度との関係から考えると、海水温の上昇があれば日本の近くで台風が発生し、衰えることなく、場合によっては成長して日本に来ることも考えられます。そうなると、高潮のリスクだけでなく、極端な豪雨による河川の氾濫や洪水のリスクも跳ね上がると考えます。
つまり、立ち止まっているのではなく真剣に考える必要がありますし、そのとき、次の世代の参画が重要な要素だと考えます。20年後、30年後を考えるとき、社会を担う中心がどの世代かを考えればはっきりしています。
政治に大切なのは、目の前の状況だけでなく、先を想像したり想定して、今の取り組みを考えて、実践していくことだと思います。