ルイガノ旅日記

あちこち出かけた場所で目にとまったもの、
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柳川 雛祭り さげもんめぐり

2021年02月25日 | 福岡
もうすぐ3月。桃の節句が近づいていますね。福岡県でもひな祭り関連イベントを行う地域が多いです。佐賀県との県境、水郷の町 柳川もそのひとつで、2月11日から4月3日までの期間、「柳川 雛祭り さげもんめぐり」が行われています。
写真は、日本初の雛のぼり・姫武者幟、長尺さげもん絵巻と野外さげもん展示が行われている「沖端舟溜り」と呼ばれる広場です。手前の4本の幟(のぼり)が雛のぼりと姫武者幟、さげもん絵巻と野外さげもんは、その後方に展示されています。


柳川は、明治を代表する詩人 北原白秋生誕の地。生家は江戸時代から続く商家で、白秋の父の代は筑後地方有数の酒造業を営んでいました。


白秋生家の入口を入ると、造り酒屋らしく酒樽と一升瓶が並んでいます。「潮」という名の日本酒は、北原家が醸し柳川藩御用達だった酒を復活させたもので、白秋生家・記念館で購入できます。


入口から続く土間。左の板の間は、使用人たちが食事をとった場所だそうです。


お座敷に飾られた雛人形やさげもん。柳川地方では女の子が生まれた家の初節句に、子供の健やかな成長を願い、ひな壇と一緒に色とりどりのさげもんを飾って盛大に祝う風習があります。


さげもんに吊るされる様々な飾りは、縁起が良いとされる鶴や亀をはじめ、うさぎやひよこ、這い人形などの布細工で、無病息災や良縁などの願いが込められているそうです。


鮮やかな色あいの糸で巻かれた柳川まり。旧柳川藩主立花家に仕えていた腰元たちの嗜みとして作られていたもので、七色の草木染め糸を用いた草木まりが原型と言われています。


生家の奥にある北原白秋記念館にも入ってみました。写真は、詩人北原白秋と作曲家山田耕筰の人生を描いた映画『この道』の一シーン(主演:大森南朋さん、EXILE AKIRAさん)。映画に出演した小島藤子さん、エグザイルのAKIRAさんが資料館に来館したときのサインが入っています。


《追記》
耕筰との友情を主軸に、波乱に満ちた白秋の半生を描いた、映画『この道』。記念館に展示されていた写真、終盤の印象的なシーンだったので追加しました。映画の最後で、エグザイル ATSUSHIさんが「この道」を静かに歌いあげます。印象に残る歌声でした。



記念館を出て生家を見ると、正面に「からたち」が植えられていました。


~からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ~
『からたちの花』は、作曲家 山田耕筰の少年時代の思い出を白秋が詩にしたもので、このからたちがモデルではないそうです (^-^)ゞ


白秋生家の後は柳川の町を散策。ひと足先に柳川に行かれたtangoさんのブログから想像はしていましたが、どこも閑散としていて掘割に浮かぶどんこ舟も寂しそうに見えました。


「御花(おはな)」の愛称で親しまれる旧柳川藩主立花家のお屋敷。この時期、例年なら人や車で一杯なのですが、ほとんど人と出会うこともなく、どこの駐車場もガラガラ。
御花の入口や順路、飾りつけまで例年とは変わっていて、寂しく感じられました。


100畳敷の大広間。日本家屋にしては天井が高く作られています。


掘割の水を引き入れた池を約280本のクロマツが囲い、立体感のあるつくりとなっている松濤園。この日は姿がありませんでしたが、冬場は多くの野鴨がこの池に飛来します。


明治43年に立花家の迎賓館として建てられた西洋館。鹿鳴館様式の流れをくむ造りで、明治の面影を今に伝える貴重な建築物です。


立花伯爵家に伝わる華麗な雛飾り・さげもんの数々。


柳川藩主、明治以降は伯爵となった立花家の華やかな暮らしぶりが伝わってくるようです。


精緻に手づくりされた柳川まり。


紅白の輪に吊るされる7本のさげもん飾り。それぞれの糸に7つ、計49個の縁起物が飾られます。これに加えて、中央に大きな柳川まりを2個吊るして51個にするのは、人生50年と言われた時代にあって、少しでも長生きしてほしいという親の願いを込めたものと言われています。


干菓子を思わせるこんな飾りもありました。


御花の敷地内にある立花家史料館。柳川藩主時代から伯爵家時代にわたる立花家の史料や美術工芸品を展示しています。
立花宗茂は、戦国大名で初代柳川藩主。柳川市では、宗茂のNHK大河ドラマ招致に取り組んでいるそうです。


武具や甲冑などだけではなく、雛人形や雛調度も展示されていました。




さげもんめぐりに関連する各種イベントのスケジュールは柳川雛祭りさげもんめぐり観光案内HPをご覧ください。
新型コロナによって各地の観光客が激減していますね。柳川もその影響をまともに被っているようでした。
立花家資料館も白秋生家も厳しい運営難で、閉館の危機に瀕しているそうです。職員の給与カットや国の雇用調整助成金で凌いでいますが、それも限界に近いというネットニュースを目にしました。新規感染者を抑制しつつ、ワクチンの効果が現れるまで何とか持ちこたえてほしいと思います。

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14 コメント

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Unknown (Duke)
2021-02-27 15:22:15
ビオラさん、こんにちは~(^^♪
年が明けてからもう2ヵ月、本当に早いですね。

ひな祭り……女の子の節句は華があっていいですね~
さげもんを観るたび、子を思う親心ってすごいなぁと思います。
私は転勤族でしたし、子供もいなかったので、大きなひな飾りはないのですが、妻が時々ちょこちょこっとした雛人形のようなものを買ったり、友達から貰ったりしていました。
それを毎年この時期には玄関に飾ってくれています (^-^)ゞ

『この道』という映画は知らなかったのですが、この機会に観てみようと思っています。
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Unknown (ビオラ)
2021-02-27 14:18:31
今日は~。

早いですね~、もうすぐ、3月・・・なのですね~♡

毎年、お雛祭りは楽しみにしていて、家でも飾ってみたり、また、昨年は、
伊丹で開催していたイベントで、明治・大正・昭和・・・の、立派なお雛飾りを拝見したりして、楽しみました~♫

「さげもん」は、存じていましたが、馴染みはないので、記事を拝見させていただき、新鮮な気持ちになりました~♫

『この道』と言う映画~、
機会があったら、観てみたいです~♪
Duke 様は、映画、ご覧になられたのでしょうか~?
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re:柳川! (Duke)
2021-02-27 09:12:08
桐花さん、おはようございます~ (^^♪
ひな祭りの時期の柳川は、明るく華やいだ風情が感じられます。
九州の旅、コロナが収まった暁にはぜひ実現してくださいね~♪

白秋生家の土蔵の前にからたちが植えられているのですが、11年前に初めて訪ねたときは、これが「からたちの花」のモデルだと勝手に決めつけていました (^-^)ゞ
白秋が初めて出した歌集、「桐の花」という題なんですね。
記念館の紹介映像で知り、桐花さんの名前の由来かもと、これまた勝手に想像してしまいました(笑)
さげもんって、一般には吊るし雛と言うんですね。
先に「さげもん」の方を知ったので、この呼び方にすっかり慣れてしまいました。

もうじき3月。春は目の前ですね。
そろそろ、タケノコの越境が始まる時期かもしれませんね(笑)
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柳川! (桐花)
2021-02-26 23:14:58
Dukeさん、こんばんは~
またまたDukeさんのお陰で九州に旅したくなってしまいました。
白秋の詩や短歌が大好きで、柳川はいつか訪れてみたい土地でした。ますます行ってみたくなりました。
映画『この道』の存在は知りませんでした。観てみたいと思います。
さげもんって、こっちで言う吊るし雛ですね^^ 色鮮やかできめ細かくてほんとうに美しい~。日本の美ですね。
なんだか飾る元気がなくて、今年はお雛さまを出さなかったのですが、素敵な写真を見せていただけてよかったです。ありがとうございます。
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re:柳川のひな祭り (Duke)
2021-02-26 13:07:55
tangoさん、こんにちは (^-^)ゞ
久しぶりの柳川ひな祭りを楽しんできました。
北川家や立花家に伝わる雛調度の数々、素晴らしいですね。
ただ、どちらも例年よりも控えめな様子が窺えて、ちょっと寂しくも感じました。

みやま市のお座敷盆梅ですね。
私もかなり前ですが、母と一緒に梅花園というところにお邪魔したことがあります。
当時、80種類200鉢と言われていましたが、見事な盆梅を楽しませていただきました。
今が見ごろかもしれませんね。
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re:柳川川下り (Duke)
2021-02-26 12:55:37
chorus-kazeアッコさん、こんにちは~ (^-^)ゞ
小鹿田焼を見学されたのですね。
私も以前、一度だけ見に行ったことがあります。
渓流の水を利用して、陶土を細かく砕く「唐臼」が印象的でした。

福岡県民になった2008年から、柳川は雛祭りの時期になると毎年のように出かけていましたが、ここ数年は足が遠のいていました。
久しぶりに見学した北原白秋生家や御花、懐かしかったです。
川下りの様子は見たことがあるのですが、舟に乗ったことはまだありません。
風情がありそうですね~♪
オノヨーコさんのルーツを辿ると、柳川に縁があるのだそうですね。
初めて知りました。
ありがとうございます。
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re:2月末最後の投稿のご挨拶~ (Duke)
2021-02-26 12:38:18
ひろし曽爺1840さん、こんにちは (^-^)ゞ
柳川のさげもんめぐりは7年ぶりでした。
長引くコロナ禍でとかく沈みがちな昨今、華やかできれいなひな飾りを見るのは気が和らぎますね。
ルーブル美術館の動画、懐かしく拝見しました。
ありがとうございました。
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柳川のひな祭り (tango)
2021-02-26 10:46:36
さすが、Duke様のアップの記事は素晴らしい
さすが・・流石・・感心します
記録や歴史や風景や柳川のことが良くわかる記事
何回見ても素晴らしいさげもんの飾り・・
ただおっしゃるように寂しさを感じましたが見学者には
ゆったり見えてよかったです!ね。あの雰囲気は大好きです、本当にブログを読ませていただいて2度楽しむことができました。
近くのみやまインターで降りたところにお座敷梅林の綺麗な場所があります。
時間があればよって帰ればと思いましたが、1昨年
参りましたので・・・
ここもおすすめです・お母さまがきっと喜ばれる場所かしら?
北原白秋館は寄りませんでした
日曜日は直方に納品がありますから足を延ばして嘉麻市の梅園を見てこようと思っています

雨が降らなければよいですが・・・・
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柳川川下り (chorus-kazeアッコ)
2021-02-26 10:16:03
おはようございます。
合唱団の恩師指揮者がご健在だった頃
日田市の小鹿田焼見学の時の旅程の中に
柳川も入れて、北原白秋の記念館も見学しました。
私はからたちのトゲは初めて見て
さげもんのお雛様も見ました。
川下りもし、川の土手にある女子像の
「待ちぼうけ」の歌碑を見て
みんなでこの歌を口ずさんだのも遠い昔。
小野ヨーコさんの故郷ということも知った
懐かしい思い出です。
記事掲載をありがとうございました。
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2月末最後の投稿のご挨拶~ (ひろし曽爺1840)
2021-02-26 09:16:51
◆👴◆ルイガノさん、お早う御座いま~す!
💻2月中も心温まるコメントや応援を有難う御座いました。来月も今月同様に宜しくお願いしますネ。
@(´・ω・`)@今日の「柳川ひな祭り・ブログ」を拝見し✍コメントで~す!
🎎この時期に行った事がなくご案内有難う御座いました。地方地方で色んなひな祭りが有りますネ。
☆彡今日のルイガノ旅日記・ブログFaceBookにも➡👍いいね!😍&👏で~す!
*👴*今朝のMyBlogにお誘い<👇>
🎥・☆彡👴☆彡今日は終日芸術を楽しんだパリ・ルーブル美術館見学回想録でごゆるりとお過ごしください!
見て頂いた感想コメントも宜しくお願いしますネ。
🔷それではまた週明け(3月)まで・👋・👋~イ!
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re:懐かしい〜 (Duke)
2021-02-26 08:13:47
すずさん、おはようございます (^-^)ゞ
この時期の柳川は至るところでひな飾りやさげもんを見ることができて、春らしいほのぼのとした雰囲気に浸ることができます。
川下りも楽しそうですね。
視点が変わると、街の風景も変わってくると思います。
私は逆に、ひな祭りシーズンにしか行ったことがないのですが、花々やどんこ舟、白秋を偲ぶイベントなど四季折々の見どころがあるみたいですね。

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懐かしい~ (すず)
2021-02-25 21:54:53
お雛祭りシーズンの柳川。
綺麗で華やかですね。

私の訪問時は秋だったので、さげもんは見ることが出来ませんでしたが、川下り体験をしたり、立花家の広いお屋敷内を散策しました。
訪問に合わせて北原白秋に関する本も図書館で借りて来て読んだ記憶があります。
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re:さげもんと (Duke)
2021-02-25 21:27:22
hirorinさん、こんばんは〜 (^-^)ゞ
はい、そうなんです。
「さげもん」は九州弁で「ぶら下げるもの」という意味なんですよ。
女の子の節句は可愛らしくて華があっていいですね。
女児の誕生を祝う両親や親族の喜びが伝わってくるようです。
「三方よし」の近江商人ですね。
そんな豪商のお屋敷のお雛様は、驚くほど豪奢でしょうね。
近くだったらきっと観に行くと思います。

御花は、増築や改築を経て現在の姿になったそうです。
建築史のことはわかりませんが、洋風建築とのミックスはこの時期の流行だったのでしょうか。
白秋の詩、本当に優しい言葉が使われていますね〜♪
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さげもんと (hirorin)
2021-02-25 20:43:47
言うのは、つるしびなのことだったのですね。
何なのだろ?と思いました。
お雛様の他にも縁起の良いきれいな可愛らしいものがたくさん。
豪華だし見ていて楽しく幸せになりますね。
やっぱり、きれいなものを見ると絶対に良い‘気‘もつくと思います。

私の市内でも近江商人の豪商の屋敷でお雛様巡りをしているのですが、案外近くだと行かないんですよね。

「御花」一度行ってみたいなと思っているのですが、さすがに豪華で広々としていて~
洋風建築とミックスされているんですね。
柳川は北原白秋の出身地でした。
白秋の詩は、優しいきれいな言葉使いのものが多いから好きです。
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