建築家 磯崎新氏(故人)が設計した北九州市立美術館。独特の形状から、「丘の上の双眼鏡」と呼ばれるこの美術館は、西日本における公立美術館の先駆けとして1974年11月3日に開館しました。今年は創設50周年の節目にあたります。
丘の上の双眼鏡が、半世紀にわたって俯瞰してきた北九州の町並み。
市立美術館では現在、前身の八幡美術館から引き継いだものを含め、およそ8千点に及ぶ美術作品を保存・収集してきた50年の歩みを振り返る「大コレクション展 あの時、この場所で。 」を開催中です。
「大コレクション展 あの時、この場所で。 」のパンフレット。
この美術館のコレクションの中で最も印象的な(と私が思っている)のは、エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》。自宅で寛ぐ友人エドゥアール・マネ夫妻を描いたものですが、マネは何が気に入らなかったのか、ドガから贈られたこの絵の一部を切り裂いてしまったという、謎に満ちたいわくつきの絵です。10年ほど前、テレビ東京「美の巨人たち」で詳しく紹介され、この絵が北九州市にあることを初めて知りました。
ピアノを弾く妻の表情が気に入らなかったとか、ドガが透徹した画家の目でマネ夫婦に漂う倦怠感まで描き出してしまったためとも言われています。真相はわかりませんが、市立美術館に足を運べばいつでもこの絵に会えるという幸運に感謝です。
この謎について、2013年から2017年にかけて北九州市立美術館と北九州芸術劇場が共同制作した、エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》をめぐる推理劇『切り裂かれたキャンバス』が、10月12日・13日・14日の3日間再演されます。(それぞれ12:00と14:30の2回公演、日時指定、一般2,000円)
ピエール=オーギュスト・ルノワール《麦わら帽子を被った女》
カーテン越しのやわらかな光に包まれる女性。優しい印象を与えるルノワールらしい作品です。
ピエール・ボナール《パリの朝》
ボナールは、19世紀後半から20世紀初めにかけて活躍したフランス人画家。絵の左隅には、「Pour Kusumé Bonnard」=「クスメに ボナール」の署名があります。パリでボナールに師事し、結核に倒れて療養所に入院中だった北九州ゆかりの画家、楠目成照にお見舞いとして贈られた絵なのです。快癒することなく20代半ばの若さで亡くなった楠目成照は、ショパンやバルザック、モディリアーニなど多くの著名人が眠るパリの墓地に埋葬。没後、故国日本の遺族のもとに引き取られたこの絵は、73 年後の1996年、北九州市立美術館に寄贈されました。
ポール・セザンヌ《水浴者》
クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》
視力が衰えるなか、晩年まで睡蓮の連作に取り組んだクロード・モネ。生涯を通して250点にも及ぶ睡蓮の作品を残しました。
約1300点の浮世絵コレクションからもいくつか紹介されていました。
喜多川歌麿《名物富士乃白酒》
葛飾北斎《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》
ゴッホなどにも影響を与えたと言われる浮世絵で、海外でも「The Great Wave」として広く親しまれているそうです。
歌川広重《東海道五十三次 三島 朝霧》
東海道11番目の宿場、三島宿の朝の風景。朝霧の中に、三島大社の鳥居と燈籠、行き交う旅人の姿がシルエットで描かれています。
同じく歌川広重《名所江戸百景 深川洲崎十万坪》
上空を舞う鷲の目線で俯瞰した深川洲崎の広大な雪原。「名所江戸百景」は広重晩年の作品で、江戸時代後期に広く親しまれるようになった「名所絵」の集大成と言われています。
片多徳郎《N(中出氏)の像》
アリスティード・マイヨール《とらわれのアクションのトルソ》
マイヨールは、19世紀末から20世紀初めに活躍したフランス人彫刻家、画家。オーギュスト・ロダン、アントワーヌ・ブールデルとともに近代ヨーロッパを代表する彫刻家の一人とされています。
通路からの眺めです。
「大コレクション展 あの時、この場所で。 」は、9月7日(土)から11月10日(日)まで行われています。
丘の上の双眼鏡が、半世紀にわたって俯瞰してきた北九州の町並み。
市立美術館では現在、前身の八幡美術館から引き継いだものを含め、およそ8千点に及ぶ美術作品を保存・収集してきた50年の歩みを振り返る「大コレクション展
「大コレクション展
この美術館のコレクションの中で最も印象的な(と私が思っている)のは、エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》。自宅で寛ぐ友人エドゥアール・マネ夫妻を描いたものですが、マネは何が気に入らなかったのか、ドガから贈られたこの絵の一部を切り裂いてしまったという、謎に満ちたいわくつきの絵です。10年ほど前、テレビ東京「美の巨人たち」で詳しく紹介され、この絵が北九州市にあることを初めて知りました。
ピアノを弾く妻の表情が気に入らなかったとか、ドガが透徹した画家の目でマネ夫婦に漂う倦怠感まで描き出してしまったためとも言われています。真相はわかりませんが、市立美術館に足を運べばいつでもこの絵に会えるという幸運に感謝です。
この謎について、2013年から2017年にかけて北九州市立美術館と北九州芸術劇場が共同制作した、エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》をめぐる推理劇『切り裂かれたキャンバス』が、10月12日・13日・14日の3日間再演されます。(それぞれ12:00と14:30の2回公演、日時指定、一般2,000円)
ピエール=オーギュスト・ルノワール《麦わら帽子を被った女》
カーテン越しのやわらかな光に包まれる女性。優しい印象を与えるルノワールらしい作品です。
ピエール・ボナール《パリの朝》
ボナールは、19世紀後半から20世紀初めにかけて活躍したフランス人画家。絵の左隅には、「Pour Kusumé Bonnard」=「クスメに ボナール」の署名があります。パリでボナールに師事し、結核に倒れて療養所に入院中だった北九州ゆかりの画家、楠目成照にお見舞いとして贈られた絵なのです。快癒することなく20代半ばの若さで亡くなった楠目成照は、ショパンやバルザック、モディリアーニなど多くの著名人が眠るパリの墓地に埋葬。没後、故国日本の遺族のもとに引き取られたこの絵は、73 年後の1996年、北九州市立美術館に寄贈されました。
ポール・セザンヌ《水浴者》
クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》
視力が衰えるなか、晩年まで睡蓮の連作に取り組んだクロード・モネ。生涯を通して250点にも及ぶ睡蓮の作品を残しました。
約1300点の浮世絵コレクションからもいくつか紹介されていました。
喜多川歌麿《名物富士乃白酒》
葛飾北斎《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》
ゴッホなどにも影響を与えたと言われる浮世絵で、海外でも「The Great Wave」として広く親しまれているそうです。
歌川広重《東海道五十三次 三島 朝霧》
東海道11番目の宿場、三島宿の朝の風景。朝霧の中に、三島大社の鳥居と燈籠、行き交う旅人の姿がシルエットで描かれています。
同じく歌川広重《名所江戸百景 深川洲崎十万坪》
上空を舞う鷲の目線で俯瞰した深川洲崎の広大な雪原。「名所江戸百景」は広重晩年の作品で、江戸時代後期に広く親しまれるようになった「名所絵」の集大成と言われています。
片多徳郎《N(中出氏)の像》
アリスティード・マイヨール《とらわれのアクションのトルソ》
マイヨールは、19世紀末から20世紀初めに活躍したフランス人彫刻家、画家。オーギュスト・ロダン、アントワーヌ・ブールデルとともに近代ヨーロッパを代表する彫刻家の一人とされています。
通路からの眺めです。
「大コレクション展
知識がひとつ増えましたありがとうございます
観に行きたいなぁ。。。場所柄たぶん無理かなぁとは思いますが
頭の片隅に置いて、機会が出来ることを望みます。
地方の美術館は存外に掘り出し物が多いというか、こちら今は市立なんですね。
潤沢な資金を背景にした篤志家さんの功績を素晴らしく引き受けてくださったんでしょうか❓と想像します(事実はわからないけど)
青空のお写真にココロが晴れ晴れとしましたよ
いつも良いお写真ありがとうございます(*˘︶˘*).。.:*♡
三沢厚彦のもあるんですね。
可愛いから好きなんです。
「神奈川沖浪裏図」は、高校入試の過去問によく登場します。
「深川洲崎十万坪」を見て、思わずおお~
先日、数十年ぶりに亡母の友人にこの絵はがきでお便りを~
片多徳郎さん、存じ上げなかったけれど、一瞬佐伯祐三かと思いました。
建物も所蔵品も本当に素晴らしい美術館だと思います。
ドガの《マネとマネ夫人》、謎の多い作品ですよね。
「美の巨人たち」は、たくさんの興味深い題材を様々な視点で解説してくれました。
小林薫さんのナレーションも素敵で、大好きな番組だったんです。
この絵が、私にとって最も身近な美術館にあるなんて、まさに驚きと感動でした。
番組の翌日、即行で観に行ったんですよ(笑)
詳しいことは知らないのですが、展示された作品を紐解いてみると、仰るとおり篤志家からの寄贈が多いようにも思えます。
ありがたいことですよね。
残暑厳しい日も、深く濃い青空を仰ぐと少し暑さも和らぐような気がします。
あと少し頑張って乗り切りましょうね♪
地方の公共施設ですから難しいところが多いなか、北九州に美術の息吹を残そうという思いが連綿と息づいているのだと思います。
美術に対する造詣は深くありませんが、国内海外問わず様々な展覧会で原画に接するのは得難い機会ですので大事にしたいと思っています。
浮世絵は、日本独特の美術作品ですが、19世紀以来、様々な影響を及ぼしているのですね。
見慣れていても、楽しく充実したコレクション展でしたヽ(^o^)丿
静と動が重なりあっている見事な絵だと思います。
日本の代表作の一つですね。
ゴッホやモネなど、日本の浮世絵は、思いがけないほどヨーロッパで認知されているんですね。
中でも北斎の富嶽三十六景は素晴らしいと思います。
数年前から、パスポートの図柄としても採用されていますね。