平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

功名が辻 一番出世

2006年04月10日 | 大河ドラマ・時代劇
 「功名が辻」第14回「出世一番」は大きなドラマはないが、良質のエッセイを読むような物語。

 モチーフは「400石と150石」。
 浅井攻めのことで400石に加増になった一豊。
 一方、150石のままの堀尾吉晴(生瀬勝久)と中村一氏(田村淳)。
 かつての同僚・一豊の出世に中村は妬みを抱く。

 千代の家で大きな風呂に入ったと夫に語る堀尾と中村の女房たち。
 夫のリアクションはそれぞれ違う。
 妬んで怒る中村と自分も頑張らなければと思う堀尾。
 堀尾は「大きな風呂に入ってピカピカよ」と自慢する妻にエッチな気分。
 堀尾は貧しいが現状の生活を楽しんでいる。

 同じモチーフで秀吉の母・なか(菅井きん)が描かれる。
 織田家で明智光秀と共に城持ちになった秀吉。(長浜城主)
 しかし、なかはあくまで百姓だ。
 城に畑を作る。
 千代が畑仕事を手伝うと、翌日獲れた作物をお礼にやって来る。
 秀吉に愛人がいてねねが悩んでいると知ると、秀吉を怒鳴りつける。
 どんなに偉くなっても秀吉の母なのだ。
 また、「親切にされればお礼をする」「妻を悲しませれば怒る」といった人としてのスタンスは変わらない。
 
 千代も同じだ。
 年寄りが畑仕事をしていれば手伝うし、秀吉の愛人のことでねねといっしょになって怒る。
 ここにはねねとの上下関係はない。
 ねねは「この率直な所が千代殿の良いところじゃ」と誉める。
 400石になっても変わらない千代のスタンスはこんなふうにも描写される。
 吉兵衛(武田鉄矢)は「400石のお方様らしくして下され」と言うが、着物をはしょっての風呂掃除をやめない。
 琵琶湖から小魚を獲ってきて一豊に食べさせる。

 人としてつき合う千代の所には人が集まる。
 秀吉の妹・旭(松本明子)が長浜に来る決心をしたのも千代を信じたから。

 ラストはこう。
 堀尾が妻と共に一豊の家に風呂を浴びに来る。
 大きい風呂に入ってみたいと言う。
 中村、堀尾と距離が出来て悩んでいた一豊は大喜びをする。

 「400石と150石」というモチーフを様々な形で表現していくこの物語作りのうまさ。

★研究ポイント
 物語の作り方~まずモチーフを作る。モチーフを手を変え品を変え表現する。
 構成の仕方

★名セリフ
 中村とうまく行っていない一豊の悩みに千代は言う。
 「150石でも400石でもそれぞれに苦労があるものですね」
 
コメント
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