「クロサギ」は、「世の中やったもん勝ち。正直者がバカをみる」という時代のテーマを反映した現在の作品だ。
詐欺という題材も新しい。
この「クロサギ」第1話を分解してみる。
★事件
新川波江(杉田かほる)は財団法人詐欺師。
中小企業融資公庫という架空の融資団体を事務所・従業員までそれらしく作り上げ、融資の相談に来たカモから金を巻き上げる。
融資の条件は担保金の5倍の金額を融資するというもの。
担保の最低金額は1000万円。
吉川氷柱(堀北真希)の叔父・圭祐(尾見としのり)は担保の1000万円を払うが
融資の金5000万円は振り込まれず、事務所に行ってみると事務所はもぬけの殻だった。
★新川をハメる。
クロサギの黒崎(山下智久)は新川をはめようとする。
黒崎は富士北工業という休眠会社の社員を装い、新川の所に融資の相談に行く。
担保金は2億で10億の融資を受けたいと持ちかける。
新川はよくできた話で怪しいと思うが、預金通帳を見せられ、富士北工業が創業して15年の会社であることが分かり信用する。
そして取り引き。
黒崎は2億の小切手を渡す代わりに10億の融資金を現金でほしいという。
10億の金など新川の所にないのはお見通しだ。
現金でなければ、この話はなかったことにしたいと駆け引きもする。
カモに逃げられては困るので、新川は「5000万は現金で、残りは手形でどうか」と持ちかける。
黒崎は了承。
2億の小切手を叔父の圭祐を使って新川の配下に渡す。
新川の配下は受け取った小切手を自分たちの口座に入金する。
しかし、これが黒崎の作戦だった。
口座に入金された小切手は翌々日しか現金化できない。
この空白の期間を利用して、黒崎は富士北工業の口座から2億の現金を引き出してしまう。
結果、新川は2億を受け取ることができない。
新川は刑事に言われる。
「小切手の決済日まで1日半。その間に富士北工業の当座預金はゼロにされ、小切手は不渡り。まぁ、紙切れみたいなもんですよ」
★不確定要素
黒崎が詐欺を成立させるためには数々の難関が登場する。
ひとつは新川をだませるかということ。
ふたつめは警察。
そして、氷柱。
黒崎にとって吉川氷柱は不確定要素だった。
叔父を詐欺に加担させてはならないと考えた氷柱は、警察に連絡する。
新川の事務所に警察が迫る。
黒崎は清掃人に変装して難を逃れるが。
★対立要素
黒崎と氷柱は意見を戦わせる。
これがドラマのテーマとなる。
氷柱「コツコツやっている人がバカを見る社会はおかしい」
黒崎「世の中やったもん勝ち」
氷柱「法律を破ることを叔父にさせられない」
黒崎「法律は人を守ってくれない。ならば、なぜ守る必要がある」
氷柱「あなたには大事なものが欠けている」
黒崎「きれい事でおじさんが救えたのか?お前が言っていることは全部建前なんだよ」
これは詐欺師に騙され一家心中した黒崎の過去から出た言葉だから、氷柱よりも重みがある。
もっとも氷柱にも地道に働かないで家族を苦しめた父親がいる様だが。
また、黒崎はこんな本音ももらす。
黒崎「俺が嫌いなのは詐欺師だ。自分の欲望のために平気で人をだませるやつを許せない」
さて、この決着を作者はどうつけるか?
★名セリフ
飛び込み自殺をしようとした圭祐に黒崎は言う。
「飛び込みはやめた方がいい。(列車を停めた)保証金なんかで保険金がふっとぶ」
冷たいようでいて、実は自殺を否定している。
こんなせりふも。
「家族のために生きられないんなら人の親になんかなるんじゃねえよ」
詐欺が成功して
舌を出して「毎度あり!」
★研究ポイント
テーマ 「世の中やったもん勝ち」の価値観
★注目ポイント
フィクサー桂木敏夫(山崎努)が黒崎を使う真意は何か?
「人間は面白い」と言っているが。
内部に入って詐欺を行う白石(加藤浩次)はどんな詐欺を行うのか?
この登場の仕方はかっこいい。
★ディティル
黒崎の本棚の後ろには隠し部屋があり、そこにはジュラルミンケースに入ったお金が山のようにある。
携帯電話も山のようにある。
桂木はぬかみそにこだわりがあるようだ。
休眠会社とは?(公式HPより)
「富士北工業は、15年前に設立し、5年前に営業停止した会社。営業を停止した後も名義だけが残っている。つまり、実体のない幽霊会社みたいなもの。書類上はちゃんと存在するから相手も信用するし、設立が古い休眠会社を使えば信用も高くなる」
吉川氷柱が通っているのは、政和大学。
友人三島ゆかり(文学部・市川由衣)、大沢夕有子(法学部先輩・麗菜)がいる。
神志名 将(哀川 翔)、桃山哲次(田山涼成)がいるのは上野東警察署。
桂木がいるのは、レストランバー「桂」。
★ちょっと一言
黒崎が自己投影する役割である圭祐の子供は必要か?
自転車のエピソードは必要か?
むしろ氷柱との対立に時間を割いた方がよかったのではないか?
氷柱は黒崎の言葉を受けて、彼の頬を叩くがあまり説得力がない。
ずっと1時間、黒崎に噛みついているのもメリハリがない。
新川役の杉田かほるが「世の中お金よ」というシーンはコミカル。
この作品はコミカルな演技は似合わないと思うのだが。
詐欺という題材も新しい。
この「クロサギ」第1話を分解してみる。
★事件
新川波江(杉田かほる)は財団法人詐欺師。
中小企業融資公庫という架空の融資団体を事務所・従業員までそれらしく作り上げ、融資の相談に来たカモから金を巻き上げる。
融資の条件は担保金の5倍の金額を融資するというもの。
担保の最低金額は1000万円。
吉川氷柱(堀北真希)の叔父・圭祐(尾見としのり)は担保の1000万円を払うが
融資の金5000万円は振り込まれず、事務所に行ってみると事務所はもぬけの殻だった。
★新川をハメる。
クロサギの黒崎(山下智久)は新川をはめようとする。
黒崎は富士北工業という休眠会社の社員を装い、新川の所に融資の相談に行く。
担保金は2億で10億の融資を受けたいと持ちかける。
新川はよくできた話で怪しいと思うが、預金通帳を見せられ、富士北工業が創業して15年の会社であることが分かり信用する。
そして取り引き。
黒崎は2億の小切手を渡す代わりに10億の融資金を現金でほしいという。
10億の金など新川の所にないのはお見通しだ。
現金でなければ、この話はなかったことにしたいと駆け引きもする。
カモに逃げられては困るので、新川は「5000万は現金で、残りは手形でどうか」と持ちかける。
黒崎は了承。
2億の小切手を叔父の圭祐を使って新川の配下に渡す。
新川の配下は受け取った小切手を自分たちの口座に入金する。
しかし、これが黒崎の作戦だった。
口座に入金された小切手は翌々日しか現金化できない。
この空白の期間を利用して、黒崎は富士北工業の口座から2億の現金を引き出してしまう。
結果、新川は2億を受け取ることができない。
新川は刑事に言われる。
「小切手の決済日まで1日半。その間に富士北工業の当座預金はゼロにされ、小切手は不渡り。まぁ、紙切れみたいなもんですよ」
★不確定要素
黒崎が詐欺を成立させるためには数々の難関が登場する。
ひとつは新川をだませるかということ。
ふたつめは警察。
そして、氷柱。
黒崎にとって吉川氷柱は不確定要素だった。
叔父を詐欺に加担させてはならないと考えた氷柱は、警察に連絡する。
新川の事務所に警察が迫る。
黒崎は清掃人に変装して難を逃れるが。
★対立要素
黒崎と氷柱は意見を戦わせる。
これがドラマのテーマとなる。
氷柱「コツコツやっている人がバカを見る社会はおかしい」
黒崎「世の中やったもん勝ち」
氷柱「法律を破ることを叔父にさせられない」
黒崎「法律は人を守ってくれない。ならば、なぜ守る必要がある」
氷柱「あなたには大事なものが欠けている」
黒崎「きれい事でおじさんが救えたのか?お前が言っていることは全部建前なんだよ」
これは詐欺師に騙され一家心中した黒崎の過去から出た言葉だから、氷柱よりも重みがある。
もっとも氷柱にも地道に働かないで家族を苦しめた父親がいる様だが。
また、黒崎はこんな本音ももらす。
黒崎「俺が嫌いなのは詐欺師だ。自分の欲望のために平気で人をだませるやつを許せない」
さて、この決着を作者はどうつけるか?
★名セリフ
飛び込み自殺をしようとした圭祐に黒崎は言う。
「飛び込みはやめた方がいい。(列車を停めた)保証金なんかで保険金がふっとぶ」
冷たいようでいて、実は自殺を否定している。
こんなせりふも。
「家族のために生きられないんなら人の親になんかなるんじゃねえよ」
詐欺が成功して
舌を出して「毎度あり!」
★研究ポイント
テーマ 「世の中やったもん勝ち」の価値観
★注目ポイント
フィクサー桂木敏夫(山崎努)が黒崎を使う真意は何か?
「人間は面白い」と言っているが。
内部に入って詐欺を行う白石(加藤浩次)はどんな詐欺を行うのか?
この登場の仕方はかっこいい。
★ディティル
黒崎の本棚の後ろには隠し部屋があり、そこにはジュラルミンケースに入ったお金が山のようにある。
携帯電話も山のようにある。
桂木はぬかみそにこだわりがあるようだ。
休眠会社とは?(公式HPより)
「富士北工業は、15年前に設立し、5年前に営業停止した会社。営業を停止した後も名義だけが残っている。つまり、実体のない幽霊会社みたいなもの。書類上はちゃんと存在するから相手も信用するし、設立が古い休眠会社を使えば信用も高くなる」
吉川氷柱が通っているのは、政和大学。
友人三島ゆかり(文学部・市川由衣)、大沢夕有子(法学部先輩・麗菜)がいる。
神志名 将(哀川 翔)、桃山哲次(田山涼成)がいるのは上野東警察署。
桂木がいるのは、レストランバー「桂」。
★ちょっと一言
黒崎が自己投影する役割である圭祐の子供は必要か?
自転車のエピソードは必要か?
むしろ氷柱との対立に時間を割いた方がよかったのではないか?
氷柱は黒崎の言葉を受けて、彼の頬を叩くがあまり説得力がない。
ずっと1時間、黒崎に噛みついているのもメリハリがない。
新川役の杉田かほるが「世の中お金よ」というシーンはコミカル。
この作品はコミカルな演技は似合わないと思うのだが。