平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

セックスと嘘とビデオテープ

2008年06月15日 | 洋画
★アン(アンディ・マクドウェル)はセックスで疎外された人間。
 彼女は精神科医に言う。
 「セックスなんて大したことないわ。何であんなものに一生懸命になるのだろう」
 彼女は自己防衛や潔癖性、性に奔放な妹への反発などが原因でセックスを楽しめない。

 夫の友人グレアム(ジェームズ・スペイダー)はビデオテープを通してしか性的興奮を得られない。
 彼は女性に金を与え、ビデオに撮りながら女性の性遍歴を語らせる。
 それで性的満足を得る。
 彼もまた疎外された人間だ。
 彼には過去、愛した女性に裏切られたという心の傷がある。
 それが彼をビデオテープを通してしか愛せない人間に変えてしまった。

★そんなアンとグレアムが出会って物語は進行していく。
 アンは夫の浮気を知る。
 あろうことか浮気相手は自分の妹。
 妹は優秀な姉への劣等感からか、アンから夫を奪ったことに優越感をいだいている。
 彼女はアンの夫に言う。
 「姉さんのベッドであなたと寝てみたいわ」
 夫からアンとの夜の生活について聞くと「姉さんはベッドではサイテーと言いふらしたいわ」と言う。
 この事実を知り、調和しているかの様に見えたアンの日常が変貌する。
 夫も妹も自分を裏切っていた。
 自分は孤独だ。みじめだ。

 アンは自分を破壊しようとする。
 グレアムに自分のビデオを撮ってもらうのだ。
 アンはグレアムの行為を嫌悪している。
 その嫌悪している行為に身を委ねれば自分を壊すことが出来る。
 すさまじい心理劇だ。
 特に大きなアクションがあるわけではないが、アンの心の中に吹き荒れる嵐が伝わってくる。
 そして嵐の後にアンが得たことは……。

★同じ心の傷を負う者・グレアムとの共感。
 アンは夫と別れグレアムと生きていくことを決心する。
 グレアムもビデオテープを通さずにアンを愛することが出来るようになった。
 疎外された者どうしが見出す希望。

 この作品は性、性の疎外という視点から描かれた恋愛ドラマだ。
 現在放映中の「ラスト・フレンズ」を思わせる。
 これからの恋愛ドラマは『性』という視点を抜きにすることはできないのではないだろうか?


コメント
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