平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

江~姫たちの戦国 第38回「最強の乳母」

2011年10月03日 | 大河ドラマ・時代劇
 乳母・福(富田靖子)の人物造形が面白い。
 前半、どうして福は、あんなに江(上野樹里)と竹千代を引き離したがるんだろう?と思って見ていた。職務に厳格で忠実な乳母なのか、などいろいろ考えたりして。
 しかし、その答えは後半に用意されていた。
 福の行動理由は<父親の復讐><豊臣家を滅ぼすこと>。
 江に対しても<秀吉の養女>であったことに反感。
 ここに来て、濃い強烈なキャラクターが登場したものである。
 今までこれほど江に敵対したキャラクターは秀吉以外、いなかった。
 さて、この対立どう描かれるか?
 福の恨みの根の深さを考えると、甘いお姫様の江は完全に圧倒されそうな気がしますが……。

 秀忠(向井理)の将軍就任に関しては、すっきりしなかった。
 「秀頼様が天下を治めることが良きことなのか?」(秀忠)
 「私は天下を太平にしてほしいのです。力をお持ち下さい」(江)
 太平の意思を持つ者が権力を持って、世を治めていくことには合意するが、秀忠が将軍になったら摩擦は大きくなり、災いのもとになることは明白。
 実際、淀(宮沢りえ)は激怒しているし、完全に家康の手のひらの上で踊らされている。
 これは明らかに描き込み不足。熱海の温泉での5分の会話で片付けてしまうことではない。
 もっと悩みに悩んで、放っておけば家康が豊臣を滅ぼすいくさを行うことになり、それを妨げるために「自分が将軍という権力を持つしかない」と最後の最後に秀忠が決断するくらいに描き込まなければ説得力がない。
 このあたりが、あっさり薄味なんですよね。

 もはやこの作品に本格ドラマは期待していないのですが、ドラマを面白くするのは、人間の強烈な情念。
 だから福が面白かったし、ラストの淀は迫力があった。
 江の言葉はすべてきれいごとで、上すべりな気がする。


コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする