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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

蜜の味~A Taste Of Honey~あの手この手で描かれる愛の情念

2011年10月14日 | 恋愛ドラマ
 愛は、凄まじいパワー。
 医者になろうなんてことを考えていなかった田舎の高校生を医学部に合格させたりする。
 人を最高の歓喜に導く。
 一方、反動もある。
 愛を獲得できなかった時の果てしない苦しみ。
 愛を奪った者へのドロドロの憎しみ。
 凄まじいパワーが逆に自分を苛む。
 嫉妬、憎しみ、絶望、狂気…………。
 人は愛さない方がいいのかもしれません。
 しかし、誰かを愛さずにはいられない。

 上手い脚本ですね。さすが大石静さん。
 直子(榮倉奈々)の気持ちを、原田彩(菅野美穂)の香水の香りを消すための<消臭洗剤>、雅人(ARATA)の部屋の窓から見える<花>、子供を助けて相合い傘で歩く<赤い傘>などで表現している。<赤い傘>をさして雅人と歩くのは自分だけだったはずなのに……。
 裏切り方も上手い。
 赤ちゃんが誕生して泣く直子。
 だが、その涙は生命の誕生に感動したからではなかった。直人に彩という恋人がいたから。
 彩が子供を助ける姿を見ていたのも、子供が心配だからではなく、彩が失敗するのを見たかったから。(←このことは彩の推測であり、直子が実際にそう思っていたかは今回だけでは定かでないが)
 いずれにしても直子の感情をあの手、この手を使って描いている。

 彩の人物造形も上手い。
 「研究は合理的だけど、患者は非合理だから病理を選んだ」
 これだけだと、彩はクールな合理主義者に見えるが、子供を必死に助ける熱い面も持っている。
 どこか謎の部分もある。
 「愛想がいい人間が信用できるとは限らない」
 「誰かの人生に誰かが責任を取ることなど出来ない」
 確かに真実なのだが、これらの言葉が出てくる彩のバックボーンとは何か?
 あるいは「私が失敗するのを見たかったから」と見抜いた分析力。
 これもどこから来たのか?
 謎の多いキャラクターである。
 クールな合理主義者の陰に、とんでもない心の闇を抱えているのかもしれない。だから同じ匂いのする直子のことが理解できる。

 これからの興味は、<彩の謎の部分の解明>と<直子がどの様に変わっていくか>?
 雅人も誰かがそばにいなければダメな性格みたいだし、穏やかな素敵なお兄ちゃんの裏で、何かを抱えていそう。それともふたりの女たちに翻弄されるただの平凡な男? 雅人が<心の闇>を抱えていたりすると、ドラマは俄然面白くなってくるのだが、果たして?
 二話以降に期待できる第一話でした。


コメント
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