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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

西郷どん 第22回 「偉大な兄、地ごろな弟」~どうしても行くと言うのなら、おいを斬れ。おいの屍を乗り越えていけばよか

2018年06月11日 | 大河ドラマ・時代劇
 吉之助(鈴木亮平)はオブラートにくるんだ言い方やゴマしが嫌いなようだ。
 兄の思いをかなえ、京に兵を派遣し、幕府に改革を迫ると息巻く島津久光(青木崇高)に直言。

「国父様には無理かと思います。亡き殿(=斉彬)でなければ実現できないことです」
「亡き殿には幕府にも諸侯にも同志がいました。しかし国父様のために戦う者はいません」
「世を変えるためには、まず世を知ることが寛容かと思います」

 正論だけど、これを言ったらおしまいだよ、西郷どん。
 久光にだってプライドはある。
 というか、兄・斉彬へのコンプレックスの裏返しで、むしろプライドの塊。
 もう少し上手く立ちまわれないかね?

 直言家・西郷は過激派・有馬新七(増田修一朗)に対しても。
 有馬は京都所司代を亡き者にし、京と帝を掌中におさめ、諸藩を糾合して〝倒幕〟しようとしている。
 血気にはやる有馬に対して、吉之助は腹を割って話し、
「今、幕府が倒れたとして、その後はどうなる?」
「どうしても行くと言うのなら、おいを斬れ。おいの屍を乗り越えていけばよか」

 久光も有馬も自分に都合のいいシミュレーションしかしていないんですよね。
・もし兵を挙げて諸藩がついて来なかったらどうなるか?
・京都所司代を亡き者にすれば志士たちは高揚するだろうが、果たして諸藩は動くのか?
 久光も有馬も世の中を知らない。
 世の中は利害で動くものであって、大半は強いものに付く。
 情熱や理念では動かない。
 過去、挫折し絶望してきた吉之助だからこそ言える言葉だろう。
 そして彼らに根本的に欠けているのが、吉之助が有馬に語った〝幕府を倒した後の構想〟。

 三年間島で暮らしたせいで、吉之助は時代の熱気に惑わされなかったんでしょうね。
 結果、物事を客観的に見ることができた。
 島での生活は過去の総括を含めた思索の時でもあった。

 では、直言家・西郷はどうだろう?
 一蔵(瑛太)のように久光を立てて、もう少しずるく立ちまわってもいいのでは?
 でも、これが〝人間の大きさ〟なのかもしれませんね。
 〝策謀〟よりは〝至誠〟
『至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり』
 今回、有馬も吉之助の至誠によって思いとどまったわけですし、おそらく大久保の説得では同じ結果にならなかっただろう。

 ………………

 物語の構造としては、
〝斉彬〟と〝久光〟
〝吉之助〟と〝信吾(錦戸亮)〟
 偉大な兄を持つ弟のコンプレックスを、二組の兄弟を通して描いていた。

 吉之助はこんな戸惑いも。
「おいが島に行っておる間に西郷吉之助の名前だけが大きくなってしもて。
 実際のおいの10倍ぐらい立派になってしもうた」

 まあ、幕末の志士たちにしてみれば、名君・島津斉彬の下で幕政改革のために奔走し、月照とともに入水した吉之助は〝自分たちの先駆け〟であり、〝伝説の人〟なんでしょうね。
 普通、人は死して伝説になるものだが、吉之助の場合は三年間のブランクが伝説にした。
 現代にたとえれば、〝山口百恵〟?

 それと歴史というのは、
 理論家=斉彬
 行動家=有馬を始めとする志士たち
 官僚=大久保
 によって動く。

 吉之助に欠けているのは〝官僚〟要素でしょうか。

コメント (4)
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