平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

朝ドラ「らんまん」~万太郎の「植物論」と「自由民権思想」がリンクした! 

2023年04月30日 | その他ドラマ
 朝ドラ「らんまん」。
 植物学者・牧野富三郎(ドラマでは槙野万太郎)の話だ。

 そこで万太郎(神木隆之介)が高知の自由民権運動の運動家・早川逸馬(宮野真守)と意気投合するシーンがある。
 雑草をめぐる議論だ。
 演説で、逸馬は自分たちを「雑草」のように扱う明治政府への憤りを語る。
 それに対し、万太郎は「それは違う!」と叫ぶ。
 何が違うのか? と逸馬に問われてると、万太郎は雑草について語り出す。

「名も無き草なんてこの世にはないき。
 人はその名を知らんだけじゃ。
 名を知らんだけでなく、毒であるか、薬であるか、その草の力も知らん。
 どんな草やち同じ草はひとつもないき。
 ひとつひとつみんな違っちゅう。
 葉の形、花の形、そしてどこに生きるか、天が決めたかわからんが、ようできとる。
 そして根を張ったら生きるがじゃあ。
 強く根を張って、どの草も命を繋いでいく。
 それで厳しい季節の間も根っこどうし繋がりおうて生きる力を蓄える。
 元気いっぱい芽吹くために!」

 この万太郎の言葉に逸馬は共感する。
 なぜなら万太郎が語ったことは、逸馬が唱える「天賦人権論」「生存の権利」「同志の団結」に通じるものだからだ。

・植物には個性がある=それは人間も同じ。決して「雑草」として一括りにされるべきではない。
・植物には生きる権利がある=それは人間も同じ。「雑草」として蔑ろにされるべきではない。
・植物は自由に種を飛ばしてどこにでも根を張れる=人間もそうあるべきだ。
・植物は生きるために団結する=人間も団結すべきだ。

 面白いですね。
「植物論」と「自由民権運動」がリンクした。
 まあ、人間も植物も生き物である以上、リンクするのは当然なのだ。
 というか、人間の方が自然の法則から逸脱した不自然な存在なのだろう。

 万太郎は「植物オタク」で政治などに興味がなかった。
 でも、植物の知識が政治思想と繋がった。
 ひとつのことを突き詰めていくと、行き着く先は同じなのかもしれない。
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 こんな言葉もある。
 家業を存続させるために祖母の命じた結婚に悩む綾(佐久間由衣)に奉公人の竹雄(志尊淳)はこんな言葉をかける。
「綾様の欲は前に進むための力じゃ」

 そうなんですね。
 欲は前に進むための力。
 人は欲ゆえに苦しむのだが、それが生きるということ。
 仏教は悟りの境地に達するために「欲を捨てよ」と教えるが、世俗の人間にはなかなかできない。

 朝ドラ「らんまん」、いろいろ考えさせられることがあって面白い。
 綾役の佐久間由依さん、ヒロイン西村寿恵子役の浜辺美波さんはいい感じ。
 当り役になりそう。
 主人公がマニアックな人間(植物オタク)というのも魅力的だ。


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